サービス部門を分社化した IBM は上々の滑り出し
IBMは2021年11月にマネージドインフラサービス部門を分社化し、キンドリル・ホールディングスが誕生しましたが、この度そのキンドリルとIBMの決算が発表されました。結果としては、IBM本体は増収と大幅な増益、キンドリルは売上・利益共に小幅な減少という結果になりました。
記事タイトルの「収益源は日本」というのも気になりますが、それは後ほど。
もっとも、IBMの収益の伸びの一部はキンドリルからの増収(それまで社内価格が設定されていたのが廃止された)分もあるために過渡的に業績が良くなっている部分もあるようです。一方のキンドリルはキンドリルで、のれん代の償却で利益が圧迫されているなどのマイナス要素があり、本当の業績はもう少し時間をかけないとわからないのかも知れません。
増収増益となったことはIBMにとって良いことですが、まだ分社して間もないですから、計画段階でここまでの予測は立てていたでしょう。本当に成長軌道に乗れるのかどうかは、これからにかかっています。ただ、記事にもあるように、その前は22四半期連続減収という暗黒時代があったわけですから、歴代の社長ができなかったことを達成できたわけで、これはクリシュナさんの功績でしょう。まずは順調な滑り出し、といったところではないでしょうか。
私はIBMが分社化を発表したときにもブログを書いていますが、
その中で、こう書いています。
新会社のビジネスは成長率は大きくなく、利益率も低くなると思われますが、独立した会社になることでコストや人員の最適化を図ることができます。そして残るIBM本体は高収益なビジネス分野にフォーカスし、DXによってビジネス速度を上げる、という目論見なのでしょうね。
今のところ当たっているようですが、上にも書いたように本当にこの基調が続くのかどうかは今後にかかっています。
「収益源は日本」の意味
さて、元記事のタイトルにある「収益源は日本」についてですが、これはキンドリルの地域別利益で日本が40%を締めていることから注目されたようです。これまでIBMの決算では地域別でここまで細かい数字は出ていなかったのではないかと思うのですが、分社化のおかげで見えるようになったのでしょうね。
それによると、全世界の売上に占める日本の割合は16%なのに、総利益に占める日本の割合は40%なのです。これ、日本がお金持ちだから沢山払っているわけではないと思うのですよね。それどころか、「良いカモ」になってしまってはいないか、心配です。
キンドリルのビジネスはインフラサービスであり、いわばオンプレミスのビジネスです。だからこそ、これからのクラウド時代にはどうしても縮小していかざるを得ない、と言われているのであって、その中で日本の利益率だけが突出して高いのは、まだまだオンプレミスにしがみついていて、クラウドへの移行が進んでいないということを現わしてはいないでしょうか。クラウドに移行していないのであれば、内製化もDXも遅れていると見るべきでしょう。こんなところからも、日本のDXがなかなか進んでいないことが見て取れます。
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