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Intelはどこへ行く? ~業績は好調だが、次の戦略を描ききれず

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世界的な半導体不足の中で、半導体各社の業績が堅調です。先週、Intelは市場予想を上回る四半期決算を発表しました。

インテル、第4四半期決算は予想超え 外部委託拡大を明言せず

発表直後は株価も上げたと言うことですが、その後の次期CEOの発言によって反落したようです。

パット・ゲルシンガー次期最高経営責任者(CEO)が「2023年の製品の大半が自社生産になると確信している」とし、「特定の技術や製品」については外部委託が増える可能性が高いと述べて外部委託への明確なシフトを示さなかったことから、時間外取引で株価は4.7%下落した。

記事にあるように、Intelはこのところ製造技術の進化が停滞してライバル企業に遅れをとっており、製造を外部へ委託すべく検討を進めていました。しかし、今回明確な方向性を示せなかったことで、株価に影響したという構図のようです。

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ライバル企業とのライセンス契約?

別の記事ではなにやら怪しい話も出ています。

米インテルとのライセンス契約、ライバル企業は消極的か

「Intelと外部の企業の間の半導体製造技術に関するライセンス契約」とありますが、誰から誰へのライセンスなのでしょう?Intelは技術的に遅れをとっている立場ですから、他社にライセンスするというのも解せません。一瞬混乱しましたが、記事にはこうあります。

退任するボブ・スワン最高経営責任者(CEO)は決算会見で「大雑把に言えば、当社が保有している技術を共有して他社が利用できる形にする、他社が開発した技術を活用して当社も利用できる形にする、といったことになるかもしれない」と述べた。

「大雑把に」とか「かもしれない」とか、よくわからない表現です。この発言をした人が「退任する」CEOというのも、なんだかよくわかりません。どうも、まだあまり決まっていないことについてコメントしてしまった、ということのようです。ロイターの記事も分かれていますので、発表本体ではなく、その後の質疑などの場面で出た言葉なのかも知れません。

この発言をしたボブ・スワンCEOは2月15日付で退任することが1月13日に発表されています。

IntelのCEOが交代へ、初代CTOのPat Gelsinger氏が古巣に戻る

つまり、四半期決算発表の直前にCEOの交代が発表され、恐らくは新旧CEOの戦略の摺り合わせが十分でないままに決算発表に臨んでしまったためにメッセージが混乱してしまった、ということではないでしょうか。

「約束」を果たせなかった現CEO

さらに、伏線は昨年10月に行われた「前回の」四半期決算発表にあったようです。

Intel、2023年の製品計画プランを延期。ゲルシンガー氏の新体制で強いIntelへの回帰なるか

この記事自身は今回の決算発表に関するものですが、その中に

10月に行なわれたIntelの2020年第3四半期(7月~9月期)の決算会見のなかで、Intel CEO ボブ・スワン氏は「次の決算会見のなかで外部ファウンダリの利用も含めた2023年の製品計画について明らかにしたい」と説明していた

という下りがあります。次の決算発表とは、今回の発表のことになりますから、「今回明らかにするって行ってたじゃ無いか!」ということで株主が怒った、ということなのでしょう。そして記事では、「おそらく新しいCEOのプランとの「食い違い」が見つかったため見直されたということなのだろう」と書いてあります。やはり、戦略を確定できずに発表に臨んでしまったために中途半端なコメントになってしまった、というのが実態のようです。

Intelの技術力の劣化がすべての原因

そもそも、この背景にあるのは、Intelの技術力の劣化です。以下の日経の記事にもあるように、

インテルCEO交代 ヴイエムウェアから招聘、技術てこ入れ

Intelは、CPUの設計だけで無く、製造技術でもかつて世界の最先端でしたが、ここ数年は微細化のレベルで台湾TSMCや韓国のSumsungに遅れをとるようになっていたのです。スワンCEOが外部ファンダリの利用を模索し始めたのは、そういった背景があったからですが、「物言う株主」もそれを後押ししました。

岐路に立つIntel、物言う株主がIDM事業の抜本的な見直しを要求 - 海外報道

IDMはIntegrated Device Manufacturerの略で、IPの開発からチップ設計、製造、販売まで全てを垂直統合で行なうメーカーのことです。そのIDMを見直すと言うことは、製造の切り離し(外注)を意味すると思われます。しかし記事にはこうもあります。

Intelにとっての喫緊の課題が「Intelトップの現状維持方針で士気を失った多くの有能な半導体設計技術者が離職していることに歯止めをかけること」であるとした

さらに「設計部門と製造部門の切り離しについては、製造部門の他社との合弁会社設立も含まれる」ということです。単純に外注するのではなく、合弁などの手段で技術力を維持することを求めたともとれます。これらの流れの結果として、一方的な「外注」ではなく、相互的な「ライセンス契約」という考えが浮上してきたのではないでしょうか。

CEOの交代は、タイミングからしてこれら一連の流れの結果なのではないかと考えられますが、外部からは本当のところはわかりません。しかし、なにしろ急なことで細部までは決められなかったために曖昧な表現になり、さらにそれを退任予定のCEOが発表する、という形になってしまったというのが実態のように思われます。しかも記事にあるように、ライセンス契約の相手と目されるTSMCやSumsungにとってのメリットについては、今のところあまり考えられていないようです。

今回、重大な意思決定を先延ばしした形ですが、次回は明確なメッセージの発信が求められるでしょう新CEOの戦略がどうなるのか、興味深いところです。

 

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