Chromium版Edgeが正式リリース ~その互換性は?
先週、MicrosoftがChromiumベースのEdgeブラウザを正式にリリースしました。
このブログでも以前書きましたが、
初期のIEはMosaicベースでしたが、MicrosoftはIE3以降ブラウザエンジンを自社開発してきました。今回のChromiumへのエンジン変更はMicrosoftの大きな戦略転換と言って良いでしょう。
上のブログでも引用したように、Microsoftはエンジン変更の理由を「ユーザーやWeb開発者のため」と説明しています。HTML5の開発目標のひとつにブラウザ間の互換性の向上がありましたが、「向上」はしても「完全」では無いようで、HTML5対応を謳うブラウザ間でも対応機能の違いや微妙なレンダリングの違いなどは残っています。わずかな違いがあっても、Web開発者はそれに対応しなければなりませんし、ユーザーも混乱します。
完全な互換性を達成する方法のひとつは、皆が同じブラウザを使うことです。ユーザーの90%がIEを使っていた頃も互換性問題は(今よりも)ありましたが、最悪「このサイトはIEに最適化されています」と書いておけば許されていました。となると、現時点で最もシェアの高いChromeのエンジンを使っておくことは、ユーザーと開発者のためということなら理にかなっています。
それに、ブログにも書いたように、Microsoft側の開発リソースの削減という効果もあります。そして、そこにMicrosoft独自技術の「IEモード」を埋め込めば、IE11を将来的に置き換え、サポートを打ち切るという悲願も達成できます。
IEとの互換性は?
ところが、気になる記事を見つけました。
あれ?おかしいな。そもそもChromium版Edgeは、IE11との100%互換を目指すと言っていたはず。。
ひょっとして、バグでもあってe-taxで不具合でも出たのでしょうか? まあ、「100%」といっても、「目指す」だけで、そうはいかないということもよくあることです。
確定申告書等作成コーナーを見てみました。推奨ブラウザは以下の様になっています。
FireFoxとかChromeも対応ブラウザに入っています。これならnew Edgeで使えても良さそうですし、IE11モードが「100%互換」なら、マイナンバーカード方式ですらサポートされてもおかしくないですね。
しかし、この件とは関係ないですが、何故マイナンバーカード方式に対応しているのが未だにIE11のみなのでしょうか。マイナンバーの普及を促進したいなら、この部分こそ対応を早めたら良さそうな気がしますが。。
使い勝手の問題か?
いや、ひょっとすると、互換性はあるものの、それを使う方法がハードルが高すぎるのかも知れません。
Microsoftのサイトに、Chromium版EdgeをIEモードで使用する方法が載っていますが、
IEモードを有効にするためには、
- ポリシーテンプレートをダウンロード
- グループポリシーを使用してIEモードを有効にする
- どのサイトをIEモードで開くかを構成する
という手順を踏む必要があるようです。これは確かにハードルは高そうです。少なくとも個人がe-taxを使おうとする際に(たとえ互換性が100%だったとしても)この手順を踏んでくれると期待するのは、ほぼ無理でしょう。国税とMicrosoftはそれを心配したのかも知れません。
入れてみました なかなかよさげです
日本での自動アップグレードが4月ということで、待ちきれない(&e-taxを使う予定の無い)私は、USのダウンロードサイトからNew Edgeをダウンロードしてみました。まだ使い始めたばかりですが、以前のEdgeにあった細かな問題点(終了前のウィンドウが正しく再現されない、ウィンドウの位置がずれるなど)は解消されており、動作も速くなったように感じます。なにより、
でも指摘されているように、Chromeには無い機能が入っていたりします。
new Edgeは初期設定でトラッキングが無効になっている。多くの広告とほとんどのサードパーティーのトラッキングコードをブロックする「バランス」という設定だ。
これは収益の90%を広告に頼るGoogleでは実現不可能(とは言わないまでも、少なくとも難しい)機能でしょう。
ブロックされるページの4つに1つはGoogleのものだった
MicrosoftのGoogleに対する微妙な嫌がらせともとれますが、互換性を維持した上でこういった多様性が生まれることは良いことでは無いでしょうか。
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