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IT技術についてのトレンドや、ベンダーの戦略についての考察などを書いていきます。

DX ~すべてのユーザーが「開発者」になる時代

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2020年の注目キーワードがDXであることは論を待たないでしょうが、Xtechに「もうひとつのDX」という記事が出ていました。

2020年はもう1つのDXに注目、システム開発の常識を変える「開発者体験」とは

「Developer eXperience=開発者体験」ということですが、このポイントは確かにDXの一つの側面と言えます。この記事は「仮説検証能力の向上」のために開発者体験が重要という主旨ですが、私は一般ユーザーのためにも開発者体験の向上(≒開発しやすい環境の整備)が重要だと思います。DX時代には、関係者すべてがサービスの提供に関与すべきであり、そのためには全員が「開発者」になる必要がある(少なくともそのマインドを持つ)と考えられるからです。本来のDX(デジタルトランスフォーメーション)は企業のビジネス構造を作り直し、すべての企業がサービス化することであり、当然その中の社員の働き方・役割も変わってきます。

computer_programming_man.png以前書いたように、DXへの取り組みには、経営者が自ら取り組まなければなりません。

名前が付くと改革が進まなくなる現象 ~DXの功罪~

しかし同時に、DX後のデジタルなプロセスを回していくためには、ユーザーを含む組織全体がデジタル対応し、チームの処理速度を極限まで上げる必要があります。そのためには、新たなサービスの導入やシステムの改善についてシステム部門に頼らず、自らの課題は自らが解決していくという体制にならないと、ビジネススピードは十分には上がりません。そのためにはユーザーが自らツールを使いこなし、マッシュアップやプログラミングによって課題を解決できるようになることが重要になるのではないでしょうか。

「基礎学力」としてのプログラミング

今は、クラウドサービスをマッシュアップすることで大抵のことはできてしまう時代でもあります。AIだろうがIoTだろうが、コードを1行も書かなくても実現できます。しかし、だからといってプログラミングの知識が要らないわけではありません。プログラムがどのようにして動き、サーバーとどのような役割分担になっているのか、プログラミングの基礎的な知識があれば、サービスをどう構築するか、どう活かすか、どのような可能性があるのかを直感的に理解し、将来へ向けて適切な判断を行うことができます。

「学び」のハードルが劇的に下がった時代

今は、クラウドサービスを使えばあらゆる最先端技術を簡単に、多くは無償で使うことができます。さらにそれらの使い方も、UdemyやProgateといったサイトを使えば、無料もしくは数千円と言った金額で学べるのです。各種の勉強会やコミュニティも活発に活動しており、最先端の開発者・研究者の方々のお話を無料で聞くこともできます。(これは東京に偏っているかも知れませんが)時間とやる気さえあれば、何でもできる時代なのです。

開発者をサポートする企業達

企業にとって開発者体験が重要である以前に、ITベンダーは自社の環境用にプログラムを作ってくれる開発者を囲い込もうと、様々なサポートを提供してきました。その中でも、開発者を大事にしてきた企業としてトップクラスと言えるのがMicrosoftです。意外に感じる方も多いかも知れませんが、この有名な動画に見られるように、Microsoftは古くから開発者の囲い込みを行ってきました。最近ではGitHubの買収もありましたね。

OracleやRedHatなどが認定資格を作っているのも、囲い込みの一環でしょう。AWSやGoogleも開発者会議などのイベントを行っていますが、どちらかというと「できあがった、プロの開発者」をターゲットにしているのに対し、Microsoftは開発者をいちから育て、ファンにしていくという段階から取り組んでいるように思えます。ナデラCEO就任の際にも、MicrosoftのDNAは開発者サポートであると言っています。

Microsoftのビジネスとは他の人々にソフトウェアなどのプロダクトを開発する力を与えるところにある

Microsoftには、Visual Studioという強力な開発ツールがあります。これは、おそらくこれまでも最もユーザー数の多い開発環境でしたが、いまはOSSにも対応しており、さらにユーザー数を増やしていると考えられます。私自身はお遊び程度にしかプログラミングしないのですが、実際のユーザーの方に聞いてみるとやはり使いやすいのだそうです。OSSではEclipseが有名ですし、さまざまな言語やツール毎にも専用の開発環境があり、それらはそれなりに考えられているのですが、同じUIで様々な言語・環境に対応できるというのはやはり便利なのでしょう。

Amazonのデプロイ回数は?

ちなみにこの冒頭の記事の「米アマゾン・ドット・コム(Amazon.com)は1時間に1000回デプロイしている。」というのは少々古いデータと思われます。これが元ネタかと思うのですが、

Amazonは1時間に最大1000回もデプロイする。クラウドネイティブなデプロイとはどういうものか? AWS re:Invent基調講演(Day2 AM)

これは2012年の記事です。その後、2015年に

年間5000万件のデプロイを可能に--アマゾンの社内システム「Apollo」とは

と言う記事が出ています。これだと1時間に5,700回ですね。1分間に95回。3秒で2回。気が遠くなりそうです。その後のデータは検索でも出てきませんが、今はもっと回数は多くなっているのではないでしょうか。

 

【募集開始】第33期 ITソリューション塾

遠隔地からもオンラインでご参加いただけます。

ITソリューション塾・第33期(2月4日開講)の募集を開始しました。
既に多くの方からお申し込みをいただいております。

次の特別講師にもご登壇頂きます。
・デジタル・トランスフォーメーションと次世代ERP・SAP Japan 社長 福田譲 氏
・ゼロトラスト・ネットワーク・セキュリティとビジネス戦略・日本マイクロソフト CSO  河野省二 氏
・アジャイル開発とDevOpsの実践・戦略スタッフ・サービス・代表取締役 戸田孝一郎 氏

デジタル・トランスフォーメーションを軸に、AIやIoT、クラウドやインフラ、これからのビジネス戦略について、体系的かつ網羅的に整理してゆきます。

特にDXについては、事業戦略や実践と絡めながら丁寧に話をして行こうと考えています。

ぜひ、ご参加下さい。

  • 日程 初回2020年2月4日(火)〜最終回4月18日(水)
  • 毎週18:30〜20:30
  • 回数 全10回+特別補講
  • 定員 80名
  • 会場 アシスト本社/東京・市ヶ谷
  • 料金 ¥90,000- (税込み¥99,000)全期間の参加費と資料・教材を含む参加登録された方はオンラインでも受講頂けます。出張中、あるいは打ち合わせが長引いて間に合わないなどの場合でも大丈夫。PCやスマホからライブ動画でご参加頂けます。
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