ついに経営者の尻を叩いた日本政府 しかし問題の根は深い
最近の経産省はなかなかアグレッシブです。昨年の「2025年の崖」も民間企業にレガシーシステムの刷新を促す(強いる?)内容でしたが、今回も踏み込んできました。
記事の中で木村さんも触れているように、7payの問題では経営者にIT知識が欠如していた(のではないかという)ことが話題になりました。もはや、ITリテラシーの低い経営者は企業のリスク要因になりかねないのです。
「2025年の崖」問題とは、レガシーシステムや技術的負債がDX推進の足枷になっており、経営トップのコミットメントの元、問題の克服に取り組まないと手遅れになる、というものでした。そのときも経営トップのコミットメントというのが入っていたわけですが、今回は説明責任に踏み込んでいます。本当は「ITリテラシーの向上」とか入れたかったのかも知れませんが、それは年齢等考えると難しい場合もあるということでしょう。何らかの具体的な役割を持って貰うことで、もう少し本気で考えて貰いたい、ということでしょうか。
同時期に「DX格付け制度」というのも発表されたようです。
こちらは、DXの進捗状況を可視化して、投資家などの判断材料にしてもらおうという狙いで、経営者に別の形でプレッシャーをかけようという施策のようです。
経営者のリテラシー向上が急務
逆に、経営者が適切なITリテラシーを持ってさえいれば、旅館業のような労働集約型の成熟産業でも、十分に効率化の予知はあるのです。
逆に言えば、これだけIT化が遅れている日本は、一度IT化に舵を切れば、ものすごい伸び代があるという見方もできるのではないでしょうか。
別に、経営者が今からITエンジニアになるための勉強を始める必要はありません。しかし、せめてスマホを自分で使い、SNSに触れてみるくらいのことは初めて見なければなりません。少し前ですが、電子メールを全て秘書にプリントアウトさせている、という社長の話をテレビで見ました。今はだいぶ変わっているかと思いますが、少なくとも自分でメールやSNS、あるいは新しいツールを使ってみるくらいの好奇心がないと、これからは難しいのではないでしょうか。
DXというと、ものすごくお金のかかる話に思えますが、要は発想の転換です。スマホカメラとLineの組み合わせで工事の進捗管理を行っている会社もあります。自分で使ってみて、便利であればどんどん業務に取込んでいく、という姿勢こそが、DXの基本なのではないでしょうか。
しかし、問題の根は深い
と、いうところでブログを締めようと思っていたのですが、書いている途中でこんな記事を見つけてしまいました。
三部作で、現時点で中編までしか公開されていないのですが、地方でSaaSを普及させようと頑張っている社長さんのnoteですが、「ITリテラシーの向上」とかいっている場合ではない現状が綴られています。
iPadのOSの更新も、音量調整ですら、地方企業にとっては"難しい"のである。
東京で仕事をしていると見えてこない部分ですが、地方こそIT導入の効果が大きいと思うのですよね。経営者の自助努力に期待するだけでは駄目ということなのでしょうか。教育制度の根本から変えていかなければならないとなると、2025年にはとても間に合いそうにありません。。
「?」をそのままにしておかないために
時代の変化は速く、特にITの分野での技術革新、環境変化は激しく、時代のトレンドに取り残されることは企業にとって大きなリスクとなります。しかし、一歩引いて様々な技術革新を見ていくと、「まったく未知の技術」など、そうそうありません。ほとんどの技術は過去の技術の延長線上にあり、異分野の技術と組み合わせることで新しい技術となっていることが多いのです。
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