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人間は物理的 UI から逃れられないのか

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今晩、Apple恒例の製品発表イベントがありますが、iPadがマウスをサポートするのでは、というニュースが入ってきました。

今秋、iPadに魔法が宿る。iPadOSを触ってわかった9つの新機能

これはなかなか難しい問題です。マウスに代わる究極の入力デバイスとして「指」を強調したのは、他ならぬSteve Jobsです。(違うか、「ペン」に代わるでしたね)しかし、私もたまに「ここはマウス使いたいなあ」ということは感じていました。デジタルネイティブならそんなことは思わないのかも、と思っていましたが、やはり要望は多かったのでしょうね。

computer_mouse.png最近では、米軍がタッチパネルから元の物理的なレバーによる操作に戻したというニュースもありました。

米海軍が駆逐艦からタッチパネルを撤廃、旧来のスロットル操縦に戻す

記事によると、

同艦は2017年、リベリア船籍のタンカーと衝突し10人の海軍船員が死亡する事故を起こしていますが、調査報告書によれば、複雑なタッチスクリーン操作のインターフェイスと操作者の訓練不足が事故の一因とされています。

まさに

「できるからと言って、そうすべきということではない」

ということですね。緊急時にはどうしても物理的なインターフェースの方が良いというのは、体験的にもわかります。なんといっても、人間自身が「物理的存在」であり、UIはやはりそこに寄り添うべきだからです。ペンから指への移行も、「介在物」をひとつ減らすことでより直感的な操作を可能にしたという点で画期的でしたが、どうしても人間は「物理的」対話を欲するのかもしれません。

スマホを使えなかった母

私事で恐縮ですが、先日、私の89歳になる母が「私もスマホが欲しい」というので、私のお下がりのiPhoneを使って貰うことにしました。ガラケーはなんとか使えていたので、スマホなら家族の写真を共有できたり、操作もわかりやすいだろうと考えたのです。しかし、結局使いこなせずに終わりました。

何が駄目だったのかというと、「タッチの感触が掴めない」ことでした。ガラケーならばスイッチの凹凸があり、ボタンを押したという「感触」があるのですが、スマホだとそれが無い。画面のアイコンを「押そう」としてしまい、結果としてスマホ側に認識されないのです。「チョン」と触ることができず、一生懸命にアイコンを「押して」しまうのです。結果、スマホ側からはタッチと認識されません。「誰でも使える」とされていたタッチパネルにも、限界はあるのです。

#もうひとつ実は問題がありまして、それは「重い」ということです。これも、私たちにとっては思いつかないことでした。

母は現在施設にお世話になっており、もう少し付きっきりで使い方を教えられれば違ったのかも知れませんが、なんといってもこの歳では習得に時間がかかります。

UIについては以前もエントリを書いていますが、やはり人間の「直感」に訴えることができないUIはよろしくないのです。Jobs渾身のイノベーションも、89歳の母には届きませんでした。

 

「?」をそのままにしておかないために

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