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Gartner のハイプサイクル 2019

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毎年、Gartnerのハイプサイクルを取り上げて前年からの変化を見ていますが、今年も先週末に発表されました。

ガートナー、「先進テクノロジのハイプ・サイクル:2019年」を発表

20190830-01.png昨年のハイプサイクルはこれなのですが、

Gartner のハイプサイクル 2018 ~ VRはどこへ?

一目見て、「あれ?だいぶ変わったな」と思いました。昨年載っていたテクノロジで無くなったものが沢山有ります。啓蒙期に行っちゃったのかな?と思ったのですが、どうやら今年から編集方針が変わったようですね。リリースの最後のほうに書いてあります。

2019年版の「先進テクノロジのハイプ・サイクル」では方針を見直し、過去の同ハイプ・サイクルでは取り上げていなかった最新テクノロジを紹介することに注力しました。このため、2018年版に掲載されたテクノロジのほとんどが2019年版では除外されていますが、そうしたテクノロジが引き続き重要であることに変わりはありません。

新しいテクノロジが多すぎて、過去に触れたテクノロジを残しておくことができない(書く場所が無い?)ということなのでしょうか。しかし、これまでは「新しいハイプサイクルに出てこない=Gartnerがもう重要ではないと判断した」という理解でいられたのが、無くなっても「そうしたテクノロジが引き続き重要であることに変わりはありません」と括られてしまうのは困ります。その中にはもう重要でなくなったものも含まれているはずで、それがわかりにくくなってしまいました。

黎明期のテクノロジは順当にピークへ、新テクノロジ多数

細かく見てみると、昨年から残っているテクノロジの多くは黎明期からピーク期へ移動しています。5G、バイオチップ、AI SaaS、自律走行(レベル5)などです。まあ、この辺は順当なところでしょう。

無くなったものは本当に多いのですが、目立つところでは量子コンピューティング、ブロックチェーンによるデータセキュリティ、ニューロモルフィック・ハードウェアなどでしょうか。これらはまだまだ進化の余地はありそうですが、あまり動きが無いと言うことなんでしょうか。汎用AIやブレイン・コンピュータ・インターフェースも無くなりましたが、すぐに動くという感じではありませんね。何か動きがあれば復活してくるのでしょう。AR、MRも無くなっていますが、これらは「オーグメンテッド・ヒューマン」(後述)という大きなトレンドに含まれ、単体のテクノロジとしてはもう取り扱われないのかも知れません。

新しく入ったものも多いですが、説明可能なAI、転移学習、敵対的生成ネットワークなど、やはりAI関連が多い印象です。空飛ぶ車というのもありますね。非中央集権型自立組織(DAO)というのは、ブロックチェーンを使った新しい組織形態です。非中央集権型Webもブロックチェーンがらみですね。検索するとWeb3.0とか出てきます。

テクノロジ・トレンドは変わったようで、あまり変わっていない?

テクノロジ・トレンドは昨年からもだいぶ変わったように見えますが、中身をよく見てみると、昨年にも出ていたテクノロジの組み合わせが変わってタイトルを付け替えたものもあります。

2017年のハイプサイクルでは、メガトレンドとして挙げられていたのは次の3つでした。

① AI everyware ② 透過的没入体験(AR/VR) ③ Digital Platform

2018年は「5つの先進テクノロジ・トレンド」として、以下が挙げられています。

① AIの民主化 ② エコシステムのデジタル化 ③ DIY (自己流) バイオハッキング ④ 透過的なイマーシブ・スペース ⑤ ユビキタスなインフラストラクチャ

この変化について、昨年はこう書きました。

①はAIが今後も普及するだろうということで昨年の延長線上、②④⑤はDigital Platformが細分化したもの(そもそもDigital Platform自体がだいぶ広い概念でしたから)という感じでしょうか。AR/VRを単独で扱うのをやめて、医療やバイオ関連のいろいろな技術と一緒に③にまとめたところが今回新しいと言えます。これまでAR/VRはゲームやエンターテイメント向けの扱いになっていましたが、医療面での活用が見えてきたということで、まとめたのでしょうね。

3つが5つになっても、項目の細分化や組み替え、あるいは書き方が変わったりしただけのものも多いと書いたのですが、今年も昨年を踏襲しながらいろいろ組み替えられています。今年の5つのトレンドは、

① センシングとモビリティ ② オーグメンテッド・ヒューマン ③ ポストクラシカルなコンピューティングとコミュニケーション ④ デジタル・エコシステム ⑤ 高度なAI/アナリティクス

となっています。① はIoTに昨年の③⑤あたりが組み込まれた感じで、②にも昨年の③④⑤が入っています。しかし、人を中心に据えて、その能力を拡大するという視点でテクノロジーをまとめたのは新しいですね。③は②⑤に次世代メモリポストノイマンのコンピュータ・アーキテクチャを組み合わせたものでしょうか。④は②そのままですね。⑤も①と同じです。

本質を見極め、トレンドを理解する

もちろん中身はアップデートされ、新しいテクノロジも入ってきていますが、字面から受ける印象ほどには変わっていないということには気をつけるべきでしょう。ただGartnerとしては、様々なテクノロジの組み合わせが目指す方向性が年々変化する中、トレンドを最も適切に表現すべく視点を変えているのだと思います。読む側としては、本質を見極めつつ、Gartnerの視点の変化に潜む、それらの解釈やトレンドをつかみ取ったほうが良いのでしょう。

 

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