Gartner のハイプサイクル 2018 ~ VRはどこへ?
毎年夏のお楽しみ、Gartnerのハイプサイクルが今年も発表されました。
ガートナー、「先進テクノロジのハイプ・サイクル:2018年」を発表
人とマシンの境界を曖昧にする5つの先進テクノロジ・トレンドが明らかに
ハイプサイクルについては去年もエントリを書いていますが、
こういうのは毎年の変化を見るのが面白いのです。今年のハイプサイクルを見て最初に思ったのは「ディープラーニングは相変わらず強いなあ。あれ? VRは?」でした。
トレンド
それでは、トレンドから見ていきましょう。昨年書いたエントリでは、Gartnerが挙げたメガトレンドについて、以下の様に書いています。
Gartnerは今年、今後5-10年で重要になる3つのメガトレンドとしてAI everyware、透過的没入体験(AR/VR)、Digital Platformを挙げています。
これが、今年は「5つの先進テクノロジ・トレンド」として、① AIの民主化 ② エコシステムのデジタル化 ③ DIY (自己流) バイオハッキング ④ 透過的なイマーシブ・スペース ⑤ ユビキタスなインフラストラクチャ を挙げています。昨年からだいぶ変わったようにも思えますが、①はAIが今後も普及するだろうということで昨年の延長線上、②④⑤はDigital Platformが細分化したもの(そもそもDigital Platform自体がだいぶ広い概念でしたから)という感じでしょうか。AR/VRを単独で扱うのをやめて、医療やバイオ関連のいろいろな技術と一緒に③にまとめたところが今回新しいと言えます。これまでAR/VRはゲームやエンターテイメント向けの扱いになっていましたが、医療面での活用が見えてきたということで、まとめたのでしょうね。
このトレンドは、以下のテクノロジによって実現されます:バイオチップ、バイオ技術(培養組織/人工生体組織)、ブレイン・コンピュータ・インタフェース、拡張現実(AR)、複合現実(MR)、スマート・ファブリック
過去のハイプサイクルを調べると、2013年にはすでにブレーン・コンピュータ・インタフェースやバイオチップが黎明期に現れています。点と点がやっと繋がってきた、ということでしょうか。
ディープ・ラーニングが相変わらず強い
ハイプサイクルの方を見てみると、ディープ・ニューラル・ネット(ディープ・ラーニング)が昨年に引き続き過度な期待のピークにあります。(昨年はマシンラーニングとディープラーニングが別々にピークにありましたが、今年はひとつにまとめたのでしょうね)ちょっと調べてみたら、2015年に「機械学習」、2016年には「人工知能」がピークにあります。このへんは同じ物と考えても良さそうですので、もう4年もピークにいることになります。これだけ長くピークに居続けるのは、クラウドコンピューティング以来のことかもしれません。技術としてのインパクトがそれだけ強力で広範囲だということでしょう。しかも、2014年には「自然言語による質疑応答システム」、2013年は自然言語質疑応答」と、かなりそれっぽいものがピークにあります。これらも広義にはAIと言えますから、そうすると6年以上ということになりますか。(キリが無いのでこれ以上は調べてません)
ARは変わらず。VRはどこへ?
AIがいつからハイプサイクルに現れたのかを調べていて、ちょっと面白かったのが、AR(拡張現実)は2013年のハイプサイクルですでに幻滅期の真ん中あたりにあったことです。その後2014、2015と微妙に上下しながら推移し、2016年にいったん消えた後で2017年に幻滅期のくぼ地に現れました。今年も同じところにあります。さらに面白いのがVRで、2013年に「仮想世界」として幻滅期のくぼ地にあり、その後じりじりと右へ移動して2016年にいったん消えて2017年の啓蒙活動期に再度現れ、今年はまた居なくなっています。
冒頭にも書いたように、VRはMR/ARに吸収され、(MR/ARももうすぐひとつになりそうな気もしますが)具体的なアプリケーションを構成する要素技術という位置づけになって来たのでしょう。今年はそれがバイオハッキングだったということで、来年もこの流れが続くのか、新しい活用法が見えてくるのか、楽しみなところです。
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