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Windows Server on Arm に残る課題とは

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先々週のエントリで、AmazonがArmベースの独自チップを開発した話を書きましたが、Amazonはこのチップを搭載したサーバーをクラウドで利用できるEC2インスタンスを提供すると言うことです。そして、TechCrunchの記事には、

AWSがEC2向けARMベースのサーバを発表

こんなことが書かれています。

現段階では、これらのマシンのOSとしては、Amazon Linux 2、RHEL、そしてUbuntuしか利用することができない。だがAWSは将来的には追加のオペレーティングシステムサポートが提供されることを約束している。

「追加のオペレーティングシステム」って、気になりますねえ。Linuxの他のディストリビューションでしょうか? しかし、この書きようだとWindows Serverという可能性もあります。ただ、いろいろ調べてみてもこの件でWindows Serverは引っかかってきませんでした。

system_integration.pngWindows Server on Armは動いている

その代わりに、Windows Server on Armというキーワードでは、いろいろ引っかかってきます。そもそもWindows on Armについては、このブログでも2017年3月に書いていますが、今回見つけたのは2017年6月の記事。

ARMプロセッサ対応のWindows Serverと「Project Olympus」

実際に動いているものが披露されたようです。

ARMプロセッサ版のWindows Serverに関しても、OCPベースのハードウェアで動作するモノが披露された。これにより、Azure上のサービスの評価を行っているという。

ということですね。同時期に他の記事もありますが、今年に入ってからはこれの続報は出ていないようです。うまく動いているのなら、Amazonで提供される日も来るのかも知れませんが、それよりはAzureでサポートされる方が先になりますよね。進捗が気になります。

一方、クライアント用のWindows on Armは、これもブログで書きましたが、既に実機が販売されています。ただ、あまり盛り上がっているようにも見えませんし、それほど需要は無かったようですね。

サーバーの方が需要はありそう

でも、サーバーはまた違うと思います。今のデータセンターの大きな悩みは消費電力と発熱で、莫大な電力を使って出た熱をさらに電力を使って冷やさねばならないことだそうですから、Armの省電力性は魅力でしょうし、自由に設計をいじれるArmなら、アプリケーションに最適化したプロセッサも作れます。チップもIntelよりはだいぶ安くなるでしょうから、大規模なクラウド事業者なら十分に開発費の元がとれるでしょう。

それに、クラウドサービスであれば、ユーザーコードのバイナリ互換性もそれほど問題にはなりません。プラットフォームを再コンパイルで対応させれば、その上のスクリプトなどはそのまま動くでしょうから。

ただ、ひとつ懸念事項があるとすると、ArmにはIntelサーバーでのPC/ATのような標準ハードウェアが存在しないことなのかも知れません。標準が無いと、いろいろなハードウェア向けのWindows Serverを作らなければならず、Microsoftにとってはあまり魅力は無いかも知れません。Linuxなら、各自勝手にいじれますから問題無いのでしょうが。

そこで気になるのがOCPです。上の記事にあった「Project Olympus」というのは、MicrosoftがOCPに提案しているサーバー仕様なのです。もしや、これがハードウェア標準化のためのステップなのでしょうか?

OCPって何だ?

OCPというのは「Open Computing Project」の略で、サーバーやデータセンターの設計図をみんなで公開して相互に利用しよう、という集まりです。Facebookが始めたものですが、今では200社以上が参加しているとか。Microsoftもそのうちの1社で、Azureで使っているサーバーの設計図を公開して、その上でWindows Serverの動作を評価しているのでしょう。

OCPで公開するって、OCPの標準サーバーとして認定をとったりするってことなのかな? と思って調べたのですが、どうやら違うようです。

5分で解る OCP - Open Compute Project Japan

この中に

そもそも
OCP規格のサーバって
あんの?

というスライドがあり、

ありません

と続いています。結局、みんなが自分のサーバー仕様を公開して、良かったら使ってね、というような団体のようです。これだと、Armベースのハードウェアの標準化は、なかなか難しそうですね。Windows Server on Armは、MicrosoftがAzureで勝手に動かすか、Microsoft仕様のサーバーを導入してくれた事業者に提供するか、というのが当面の目標でしょうか。

 

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