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NVIDIA 株価急落の理由を考える

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GPUベンダーのNVIDIAの株価が冴えません。

エヌビディア、11-1月期見通しは軟調-時間外で株価急落

NVIDIAの4位株主であるソフトバンクは、株式の売却を考えているようです。(今売ればかなり儲かるのだとか)

ソフトバンク、エヌビディア株を来年売却する計画

GPU(Graphics Processing Unit)というのはその名の通り、グラフィック処理用の専用プロセッサで、3次元グラフィックス処理の座標変換やレンダリング、画像処理などを高速に処理するための物です。メインのマーケットはゲームやCAD、あるいは映画向けのCG製作などということですが、ゲーム以外の市場はそれほど数がでるものでも無く、昔は知る人ぞ知る会社でした。それで、注目され始めた頃にはこんな記事も出ました。

詳報:トヨタが頼った謎のAI半導体メーカー

関係者の間では、知名度が低いことは事実だが、「謎の」は無いだろう、ということで話題になりました。

kabu_chart_man_cry.png業績悪化の主な原因

最初の記事で、軟調の原因は「仮想通貨のマイニング低迷」と説明されています。ビットコインは昨年末に1BTC=230万円の高値を付けましたが、今日現在は42万5千円くらいです。大暴落と言って良いでしょう。

仮想通貨は、そのマイニングに協力すると、報酬として仮想通貨が支払われるので、仮想通貨の価値が高いうちは皆頑張ってマイニングに参加します。マイニングには莫大なコンピューティングパワーが必要なため、その計算の高速化のためにGPUが大量に必要となり、そのためここ数年はGPUの価格が高騰していました。

しかし、ビットコインに限らず仮想通貨はバブルがはじけ、価格は低迷しています。現在のレートではマイニングのための電気代も出ないレベルと言われており、GPUの需要も急激に減少している、ということです。

AI分野での需要も減少

NVIDIAのGPUがグラフィックス以外に使われている分野がもう一つあって、それがAIの機械学習です。なぜGPUが機械学習の処理に向いているかというのはこちらに書きました。

GPUのメーカーとしてはNVIDIAとAMDが有名ですが、NVIDIAはグラフィックス以外の用途へのGPUの適用に早くから取り組んでおり、2006年にCUDAを発表しました。グラフィックス以外の汎用用途に使うと言うことで、GPGPU(General-Purpose computing on Graphics Processing Units)と呼ばれます。

安価なスパコンとして様々な科学技術計算に利用されてきましたが、AI研究の盛り上がりとともにGoogleなどがデータセンターに導入するようになったのです。しかし、GoogleやMicrosoftなどの開発力のあるベンダーは、AI専用のプロセッサを開発しています。これは当然GPUよりも処理能力が高く、コストも安いため、AI分野でのGPUの需要は減少しています。先月にはAmazonも自社開発のAIチップを発表しました。

どちらかというと、AIでの活用が先で、マイニングはここ数年急激に立ち上がった活用方法なのですが、これら二つの需要が同時に落ち込むこととなり、業績の低迷に繋がっているということでしょう。

さらにもう一つの原因とは

私が密かにもう一つの原因と考えているのは、一般のデータセンターでのGPU需要の低迷なのではないかということです。AI処理のためにデータセンターで大量にGPUを導入し、それをサービスとして提供するというビジネスが立ち上がりつつあった昨年末、NVIDIAが突然EULA(使用許諾)の条項を修正し、データセンターでのGPU利用を制限しました。

データセンターでのGPUの使用を制限するエヌビディアの狙いは何なのか

正確には、コンシューマ向けの安価なGPUをデータセンターで使うことを禁止し、データセンターではサーバー向けの高価なGPUを使うよう仕向けるような変更が行われたのです。さくらインターネットでも影響があったようです。

上の記事には、「EULA(使用許諾)変更によって、安価なハードウェアが使えなくなり、コストが10倍に跳ね上がる(=エヌビディアがものすごく儲かる)という構図」と書きました。こちらの記事でも、「高いモデルを売リつけようとして、規約を変えたんじゃないか」とコメントされています。まあ、そう思いますよね。

この変更により、データセンターでのGPU需要は減少していたのではないでしょうか。つまり、隠れた第3の要因もあって、今回の低迷に繋がっているのでは無いかと思います。

 

【募集開始】ITソリューション塾・第30期/2019年2月開講
リアルタイム・録画によるオンライン受講も可能になりました!

次期・第30期で11年目を迎えるITソリューション塾が、2019年2月7日(木)より始まります。

リアルタイムでのオンライン受講や録画での受講も可能となります。地方からのご参加や出張先、会場に間に合わない、あるいは、どうしてもその日だけは参加できないといった方々も講義を受けて頂くことができるようになりました。

デジタル・トランスフォーメーションが叫ばれるいま、変革を進めようとするお客様は、変革への意志や問題意識はあっても、「どこに向かって変革し、どのようにイノベーションを起こせばいいのか」分かりません。そんなお客様に「課題は何ですか、何をすればいいでしょうか」と尋ねても答えようがありません。そんなお客様に私たちが果たすべき役割は、お客様の「あるべき姿」を提言し、お客様を未来に導いてゆくことです。

お客様との人間関係を作ること、手配や調達に長けていることだけでは、役割を果たせない時代になろうとしています。ITソリューション塾は、こんな時代を生き抜くために、お客様の「あるべき姿」を提言できるようになるために必要な知識とスキルを磨くプログラムです。

  • 期間:2019年2月7日(木)開講・毎週1回18:30-20:30・全11回
  • 会場:東京・市ヶ谷/オンラインでの受講(リアルタイムと録画)
  • 費用:9万円(+消費税)

詳しくは、こちらをご覧下さい。

ITソリューション塾

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