HTML5がついに勧告
やっと勧告ですか。。いやあ、長かったですねえ。
HTML (HyperText Markup Language) は、Webサイトを記述する言語で、HTML5はその最新版です。5の前は何だったかというと、HTML4.01です。これはなんと1999年に勧告されたものです。(勧告というのは、最終決定の意味だと思って下さい)
これだけ変化の速いインターネットの、根本を担う技術が15年間もアップデートされていなかったということに驚かされます。
Webブラウザをとりまく環境は、この15年で劇的に変化しました。中でも2004-5年頃のWeb2.0は大きな出来事で、これを境にWebブラウザで様々なメディアをインタラクティブに取り扱うことができるようになり、現在ではクラウドコンピューティングのためのクライアント環境として揺るぎない地位を確立しつつあります。
もともとWebブラウザは、インターネット上の情報を表示するためのソフトウェアです。(だから閲覧ソフトというのですね)基本的には、色やレイアウトを決めたりして情報を見やすくするのが目的で、アプリケーションとして使う際に必要なプルダウンメニューや、マウスによるドラッグ&ドロップのようなインタラクティブな操作は想定されていませんでした。どうしてもそういったことをしたい場合には、Webブラウザの機能を拡張するプラグイン機能を使ってFlashなどを組込んで使っていました。逆に、このプラグインによって様々な機能が追加できることで、本体のHTMLを拡張する必要がなかったと考えることもできます。
2004-5年にWeb2.0を実現させた技術であるAjaxは、こういったプラグインを使わず、当時のWebブラウザに備わっていた機能をうまく組み合わせて、Flashと同等の機能を実現しました。(ですから、Ajaxは新技術と言うよりも、Webブラウザの新しい使い方の発見と言った方が良いのかもしれません)標準のWebブラウザをそのままクラウドの高機能なクライアントとして利用できる目処がたったことで、多くの企業がFlashなどからAjaxに移行しました。Ajaxの発見を主導し、クラウドの名付け親となったGoogleが急先鋒ですが、以前書いたようにAppleなどもそのひとつです。
しかし、ベースとなるHTML4.01の機能がどうしても足りないため、Flashを超える機能を付加することができず、パフォーマンスもあげにくい状況も生んでいたのです。そこで、WHATWGという団体が独自に行っていたHTMLの拡張作業の成果を、Web標準を制定している機関であるW3Cに持ち込んで、HTML5として正式に標準化することになりました。W3Cにワーキンググループが発足したのが2007年です。そこからがまた長かったと言うことですね。(本当はもっと早くに勧告の予定だったのですが)
HTML5は民間企業が先行して開発した成果をまとめたものですので、実は今、世の中にあるWebブラウザは、ほとんどがHTML5の機能に対応しています。しかし、元となる基準がこれまで存在しなかったので、ブラウザ間で機能のバラツキがあり、あるブラウザでは使える機能でも他のブラウザで使えないなどの問題がありました。これでは、クラウドサービスを開発するのがやりにくくて仕方がありません。HTML5の仕様が最終的に確定できたことで、今後は安心してクラウドサービスの開発を行えるようになるでしょう。