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どうしたらネットで力づけられたり、助けられたりするのでしょう?コミュニケーションを観察します。

「小女子」殺害予告は匿名だから通報された

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「小女子焼き殺す」と2ちゃんねるに「殺害予告」をして逮捕された人が、「コウナゴという魚の意味」として殺意を否認というニュース。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0807/16/news119.html

具体的に小学校の名前を挙げていたことに対して、威力業務妨害になったとのこと。それは確かに問題です。

それなら、小学校の名前があがっていなければ、小女子(こうなご)を焼き殺すという表現で逮捕されることはなかったのでしょうか。既にネットでは、「小女子を煮てぱくぱく食べた」と言ったパロディも出現しています。

小学校の名前を挙げなかったとして、「小女子を焼き殺す」という表現が個人の実名ブログで出現したらどうなっていたか。とても実験をする勇気はありませんが、逮捕まではいかなかったのではないでしょうか。ちょっと変わった比喩表現をする人だとは思われるでしょうけれど。匿名掲示板に匿名で書き込むことの方が、より大きな責任を取らされる結果になるのかもしれません。

なぜか。
以前、(仮名が)リンク可能な範囲について書きましたが、実名ブログや個人が比較的長く書いているブログでは、関連付けられる投稿が多いために、ある表現を文脈の一部としてとらえることができます。一方で、匿名性が高いほど関連付けられる投稿は少なくなり、表現がどういう意図や文脈のもとになされたかは見えなくなってしまいます。
たとえば、もともとちょっと変わった詩的表現をする人のブログで「小女子」発言がされるのと、匿名による一投稿で「小女子」発言がされるのでは、後者では判断材料が少ないためにリスク回避方向に走るという可能性が考えられるわけです。

小女子を「焼く」のが一般的でなく、かつ「殺す」という表現が、料理の表現としては不自然だったというのも、通報のきっかけになったかもしれません。「活き〆にして煮る」とか「生きたままあぶる」(※小女子をこう食べる人は珍しいかもしれないが)なら問題はなかったのかな?
小女子の食べ方を調べてみると、佃煮にするほか炒めたり、パスタに入れたり、炊き込んだりといろいろな食べ方があるようです。煮るだけかと思っていましたが、思いのほかいろいろな食べ方ががありました。
日本語は魚の表現も豊かで、「魚等にかかわる漢字」(PDF)を見ると、山女、赤女、口女といった魚もあるようです。生きた小女子をさっと焼いて食べるのを、「焼き殺す」という表現で書く詩人もいるかもしれません。そもそも、料理は生き物の命をいただく行為なのだし、それを敢えて文学的な表現として書く人もいるでしょう。○○山の△川で山女を追いかけて火あぶりにしてかぶりつきたい、とは2ちゃんねるには書けません。

ちなみに、該当するスレッドによれば、書いた本人は直後に冗談であったことを認め、小女子の解説も書き込んでいます。後から否定しても逮捕を免れなかったようです。

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