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【25万人】 床屋のご主人から聞いた経営学~なぜ床屋は潰れないのか 前編

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 ちょっと前にベストセラーになった「さおだけ屋はなぜ潰れないのか」(光文社新書)。読まれた方もいらっしゃるかと思います。買ってる人をほとんど見かけないのに、なぜ「さおだけ屋」の商売が成り立つのか。そこには私たちに見えていない構造・からくりがあると、著者の山田真哉氏は解説しています。
 
 それに似た話を、今日散髪に出かけた先で耳にしました。理容店のご主人はユニークでアイデアマン。いつも感心させられるのですが、今日はふとしたことから、理容店の経営の話になりました。
 
 実はこのお店、私は待たされたことが1度しかありません。だから予約もしたことありません。早い話、ほとんど空いているんです。そんなこともあって、私が「このご時世、何かと大変ですよね~」などと、些か失礼な質問をしてしまったのですが、ご主人は待ってましたと言わんばかりに持論を展開し始めました。

  • 美容室の方がよっぽど大変ですよ。だって競争がめちゃくちゃ激しい。新規開店も多いから、お客さんの取り合いでしょ。
  • 美容組合もあるけど、競争しないと勝てないから、みんな組合のルールを守ってないでしょ、営業時間も営業日も。料金も店毎にバラバラですよね。
  • タウン誌を見ればわかりますよ。美容室のクーポンなんか売るほどついてるけど、床屋さんのクーポンって見たことありますか? ないでしょ。だって競争してないから。
  • 床屋は辞める人も少なければ、新たになる人も少ない。つまり新陳代謝がほとんど同じくらいなんです。新規開店がないわけじゃないけど、同じくらい廃業がある。だから極端にお客さんを奪い合うことがないんです。
  • 地元固定客が安定してきて下さる店がほとんど。お客さんは半径2キロ程度、自転車圏内の、子どもか年配者。彼らは美容室行きませんからね。
  • 床屋はほとんどの店が組合に入っていて、休みも営業時間もきちんと守ってる。料金も組合価格があるから、組合加盟店はみな同じです。だからムダな争いは起こらない。
  • 基本的に腕一本、技術で商売させてもらってますから、利益率はそこそこ高いんです。だから、大きく儲かる商売じゃないけど、潰れないんですよ、床屋は。廃業は、継ぐ人がいなくて辞める店がほとんどだと思いますよ。

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 なるほどなるほど、そんな構造になってるんですか。帰宅して少し調べてみたところ、見事なまでに裏付けるデータが出てきました。特に注目なのが、理容師数。平成3年で252,241人だったのが、平成19年では246,330人と、この16年で6,000人しか変化していないんです。しかも、ここ2年で少し減少幅が大きくなっているだけで、
平成3年~17年までの15年間、理容師数は毎年【25万人】台でほぼ横ばいであることが判ります。
 
 100208  
週刊スタイリスト情報より一部引用
 
 一方で美容師数・美容室数は年々増加傾向にあり、必然的に競争が激しくなっています。これが美容院のクーポン合戦につながっているというわけです。それに比べて理容店は、ご主人が仰ったように、小さなマーケットを確実にシェアし、固定客相手に安定した経営を続けているということのようです。ただ、潰れないけど若手の理容師も少ない。当然、理容師は美容師に比べて高齢化傾向にあります。
 
 ご主人は、ボクたちの世代は大丈夫だけど、あと20年したらどうかなぁと疑問を投げかけています。美容室に行くのが普通という感覚の若者たちが中年、熟年と歳を重ねたとき、今の床屋さんは存在しているのか。さて、どうなるのでしょうか。また次回、この続きを書いてみたいと思います。。。
 
  
※「床屋のご主人から聞いた経営学~なぜ床屋は潰れないのか 後編」も是非ご覧ください

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