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【308議席】 衆院選挙で再確認した、世の中は空気で動いている、ってこと

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 残暑が厳しかった選挙サンデーの今日。私は生まれて初めて、選挙事務所で当選確実のバンザイを生で見てきました。今し方帰宅し、このエントリーを書いています。

 私が事務所に出向いたのは投票終了時間の午後8時頃。すでに事務所には大勢の支持者が詰めかけていました。テレビ局のカメラが3台。事務所奥に儲けられた雛段に向けてスタンバイしています。集まった支持者たちは大型テレビの開票速報を見ながらも、あちこちで歓声が上がり、まるで事務所はお祭り騒ぎ。時間の経過とともにボルテージは高まり、事務所内ではくす玉の準備され、詰めかけた支持者にはクラッカーが配られ、当選確実の一報を今かと待ちかまえていました。

 午後9時過ぎ、待望の当選確実がテレビに映し出されると、事務所内には歓声と拍手の渦が巻き起こり、会場内では万歳三唱が何度も続きました。その後、大歓声に包まれて候補者が到着、雛段に上がると、ボルテージは最高潮に。選挙関係者の挨拶、テレビ局のインタビューなどが続き、熱気は冷めることがありませんでした。

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0908301_2    候補者は今回の選挙で、選挙区内を自転車で駆け回り、若さと情熱を訴えかけました。毎日のように駅前での街頭演説に立ち、地道な選挙戦を展開。結果、自民党の現職候補を大差で破り、初の当選を果たしました。

 私は、マニュフェストがどうとか言う前に、自分と1歳しか違わない同世代の男が、政治家になるという夢を結実させた瞬間に立ち会えたことは、大変光栄なことだと思いました。同時に、彼のひたむきな姿勢とがんばりには、本当に頭が下がりました。

0908302  歓声が渦巻く選挙事務所の中で、私がふと感じたこと・・・それは、
今回の衆院選挙を動かしたのは、世の中の「空気」だということです。思い返せば、前回の衆議院選挙が小泉旋風が吹き荒れた選挙であったように、世の中を動かしているのはいつも「空気」ではないかと感じます。人はこの空気に敏感であり、空気を読んで動いているのです。世の中にはKYな人もいるでしょうが、世論はやっぱり敏感。政党の戦略を含め、マニフェストを含め、候補者の人柄も含め、すべてを含め、それらを通じて流れる空気の流れを読んで、人は動いているのではないでしょうか。

 テレビに映し出される候補者の事務所風景を見れば、当選できそうな候補者の事務所は人が大勢集まって、どこもお祭りのように盛り上がっています。その一方で、厳しそうな候補者の事務所は人もまばらで、まるでお通夜のような雰囲気が漂っています。選挙というのは白黒がはっきりつきます。人は「空気」によってその明暗を読み取り、どちらがメイン・ストリームなのかを敏感に読み取っているのではないでしょうか。これは大変不謹慎な言い方かもしれませんが、
 
多くの国民はマニフェストを読む以上に、空気を読んだ
のではないでしょうか。


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 帰りがけに秘書のSさんが、心境を話してくれました。

「昨日までは、勝ったらどれほど嬉しいだろうかと思っていた。でも当確が出て、すっごく嬉しいはずなのに、今は嬉しさよりもプレッシャーの方が強くなってる。勝たせていただいた以上、明日からは約束を果たせるように全力を注がないといけない。みなさんからの熱い空気が、ビンビン伝わってくるんです。今日という日は、戦いが終わった日じゃなくて、始まった日なのかもしれません」

 今日8月30日は、民主党が最終的に【308議席】を獲得したことで、久しぶりの政権交代が実現することが決まった歴史的な日となりました。S秘書の言葉を借りるまでもなく、注目しなければいけないのは選挙結果ではなく、これからの政権運営力であり、またマニフェストの実行力です。今回、新しく議員になったみなさんは、これからどんな「空気」を生み出してくれるのでしょうか。明日からの新しい戦いに期待したいと思います。
 
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  ※2009.8.30.23:47 エントリー作成、8.31.09:25議席数修正

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