【2586億1400万円】 経営者らしい未来予想図
6月25日に開催された、ソフトバンクの第27回定期株主総会。その内容がメディアを駆けめぐっています。私は出席したわけではありませんので、残念ながらリアルな感想を述べることができませんが、報道を見る限り、すごく経営者らしい未来予想図を示したものだったことを感じさせます。
先に発表された2008年3月期の連結決算では、売上高が2兆7761億6800万円で、前年同期比で9.1%増。営業利益は3242億8700万円で前年同期比19.6%増、経常利益は【2586億1400万円】で前年同期比68.6%増という大幅な伸びを記録しています。こうした好決算を残したことが、経営戦略の裏付けとなり、それが今回の株主総会での自信に満ちた孫社長の発表につながったのではないでしょうか。
今回の株主総会の発表で、私がすごいなぁと感じたことは、2つあります。ひとつは、ボーダフォン買収を振り返っての発言で、
- 「音声サービスをやるために携帯電話事業に参入したのではなく、インターネット事業をやるためにボーダフォンを買収した」
※ケータイWatch最新ニュースより引用
ボーダフォン買収は、今から約2年前の2006年3月。ようやく利益の黒字化を達成した矢先のことでした。1兆7500億円という巨額を投じ、ソフトバンク史上最大の投資を決断したわけですが、当時は逆風の方が強く、株価は急降下して、経営を危ぶむ声さえ出ていました。そんな懸念を振り払い、ソフトバンクの携帯事業は大躍進を見せます。MNPでも大方の予想を裏切って純増を達成し、2007年度は年間で純増No.1になるなど、大きな成果をもたらしています。
躍進の原動力は、言うまでもなく、ホワイトプラン。980円という低額、そして加入者同士の通話料無料という画期的料金システムは、言い換えれば、「携帯は、音声通話で儲ける時代は終わった。これからの携帯は、インターネットの時代」という当初の戦略通りの展開を具現化したものです。そして今回のiPhone発売のニュース。こちらも通話端末ではなく、インターネット端末。こうして考えてみると、将来ビジョンを描き、それを単に絵空事に終わらせず、決断してきた孫社長の経営戦略が、とても具体的にわかりますよね。
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そしてもうひとつは、今後の経営戦略を語る中での発言で、今後アジア戦略にフォーカスしていくという経営方針を明示している点です。
- 「世界最大の経済大国は米国である。だが、あと数年で中国が抜き、インドも米国に追いつき、追い越すことが見えている。世界のインターネット人口は、米国が50%を占めており、アジアが19%。しかし、2015年にはアジアが50%、米国は12%という時代がやってくる。これまでのように、米国で一番を取らないと世界で一番にならないというのではなく、アジアで一番にならないと世界の一番にはならない時代となる。中国で圧倒的ナンバーワンであるアリババ、タオバオ、アリペイ、シャオネイというネット企業がソフトバンクグループにはある。また、日本にはヤフージャパンという圧倒的ナンバーワンの企業がある。アジアでは確実に1位であり、これを維持するためにアジアの国に広く展開していく」
※ケータイWatch最新ニュースより引用
いろんなニュースを見れば見るほど、孫社長の発表はデータに裏付けされ、かなり具体的なものであったことが推察できます。「アジアから世界トップへ」「モバイル・インターネットで勝負する」という将来ビジョンの明快さが伝わってきます。
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株主総会で発表する孫社長には、ジャパネットたかた・高田明社長のような人肌の語りや、Apple・Steve Jobs CEOのようなかっこよさはないかもしれません。でも、孫社長には、経営者に求められる、将来ビジョンを具体的に示す力を強く感じます。株主総会に出てみたいと思ったのは、今回がはじめてです。オンデマンドの公開を楽しみに待つことにします。。。