【9.6%】 日本企業で留学生採用が少ないのは、食わず嫌い…かも
新年度になって早くも半月以上が過ぎ、職場で新人が配属されて動き出しているところも多いと思います。大学でも新入生ってどこか初々しさがあって、見ると何となくわかります。みなさんの職場の新人君はいかがですか?
さて、新年度早々の4月3日、独立行政法人 労働政策研究・研修機構が「外国人留学生の採用に関する調査」結果を発表しています。企業の採用動向に関する調査は多数ありますが、外国人留学生に絞ったものはあまり例がないと思い、ちょっと見てみました。調査は多岐に渡って留学生採用を俯瞰しており、とても興味深い結果が散見されます。ランダムですが、私が気になった項目を以下にピックアップしておきます。
1)過去3年間に留学生を採用した企業は【9.6%】 ←少ない!
2)留学生を採用した理由は
・国籍に関係なく優秀な人材を確保するため…52.2%
・職務上、外国語の使用が必要なため…38.8% ← コレが1位だと思ってました
3)留学生のイメージ(「そう思う」という企業の割合)
・協調性がある
………26.0%(採用企業) 5.2%(非採用企業)
・仕事への意欲が高い
………54.2%(採用企業) 27.1%(非採用企業)
・能力が高い
………36.5%(採用企業) 10.6%(非採用企業)
・キャリア意識が明確
………42.0%(採用企業) 27.0%(非採用企業)
・日本の雇用慣行になじまない
………12.8%(採用企業) 29.8%(非採用企業)
↑ 採用企業と非採用企業でこんなにもイメージギャップがあるんですね
4)留学生採用によって職場で生じたマイナス面
・日本語能力の不足によって従事させる職種が限定…18.9%
・会社の方針や慣行を理解できなかった…10.9%
・定着率が低い…9.6%
・日本人社員との間の人間関係トラブル…6.1% ←多そうな気がするのに少ないですね
・人事管理しづらい…4.2%
・得に問題なし…53.8% ← 過半数が問題なしなんですね
5)今後、留学生を採用すると思うか
・採用すると思う……79.5%(採用企業) 19.7%(非採用企業)
・採用しないと思う…16.7%(採用企業) 77.7%(非採用企業)
↑ 採用企業と非採用企業はまったく方針が逆なんですね
紹介した項目を眺めていただければ、何となくお判りいただけるかと思いますが、採用したことがある企業と、そうでない企業では、随分と留学生に対する印象値が違うんですね。もちろん調査結果というのは、見方ひとつでいろんな色が付きますので、興味のある方は是非ご自身でご覧いただくことをオススメします。
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採用という企業においては重要なテーマに対して、「食わず嫌い」という表現は不適切だとお叱りを受けるかもしれませんが、私はそんな印象を持ちました。もちろん、採用したことがある、わずか1割弱の企業に対して、「必要性があるからプラスの見方をしているんだ」という声もあるでしょう。でも、上記に挙げた項目3)のイメージギャップに典型的に見られるように、マジョリティである非採用企業の留学生に対するイメージは、やっぱり先入観でしかないという見方が正しいのではないでしょうか。
また見方を変えれば、留学生の採用市場はまだ未開拓であり、現在留学生を採用している企業は、その中から優秀な(能力が高く、かつその企業に対して順応できる)人材を確保することができているからかもしれません。今後、留学生の採用が積極化し、採用レベルを落とさざるを得ない状況が出てきたら、見方が変わってくる可能性もあるでしょう。
最近の新卒採用市場は、求人倍率があがって競争が激しくなっています。同時に多種多彩な能力・意欲を持った人材の確保が必要とされている時代でもあります。そして何より、留学生採用は、日本企業が国際化する第一歩のはず。これを機に、留学生の採用を検討されてはいかがでしょうか…と、リクルートの編集長時代ならきっと記事に書いた…かなぁ。。。