オルタナティブ・ブログ > 中村昭典の気ままな数値解析 >

●人、●%、●億円…メディアにあふれる「数値」から、世の中のことをちょっと考えてみましょう

【100億円】 中国製ギョーザ中毒事件で痛感した、日本人のギョーザ好き度

»

 先日、仕事で味の素ライフサイエンス研究所・主席研究員の沖山敦さんにお会いしました。私が在籍する中部大学で実施している「食の環境」をテーマにした公開講座で、講師をお願いした時のことです。沖山さんによれば、人間が感じる味覚は、生理学的には「甘味」「苦味」「酸味」「塩味」の4種を基本味としていたのだそうです。ここに5番目の味覚として「うま味」が加わったのはまだ最近のこと。英語でも『umami』と表記されることからもわかるように、発見したのは日本人。1908年に東京帝国大学教授の池田菊苗博士が、昆布のうま味成分がグルタミン酸ナトリウムであることを発見したのがきっかけだと言われています。その工業化に成功したのが、味の素株式会社の創業者である二代目鈴木三郎助氏といわけです。

 さて、講座終了後に内輪で開いた、沖山さんを囲む懇談会の席でのこと。話が中国製ギョーザ中毒事件の話題になったとき、同席していた味の素の広報担当課長・大野淳夫さんが、こんな話をしてくれました。
「味の素のメイン商品のひとつに、冷凍ギョーザがあります。これ、年間でどれくらい売れているかご存じですか? 実は【100億円】を突破しているんです…」
 もちろん単品で年間これだけ売れる冷凍食品は、日本では他にありません。正直、私はとても驚きました。

 ::: ::: :::

 あとで調べてみてわかったことですが、定番中の定番ともいうべきこの商品も、実は最近大変革を遂げていました。味の素が冷凍ギョーザを世に送り出したのは、今から36年も前の1972年。以来、味の素の看板商品として、今日までロングセラー商品となっているわけですが、単品での売り上げは最近まで、「エビシューマイ」の方が上だったどか。そのギョーザが、2003年に立ち上がった『ギョーザプロジェクト』を経て生まれ変わったらしいんです。2006年には、なんとメイン食材の肉が、鶏肉から豚肉に変更! それが功を奏してか、ギョーザの売り上げはグングン上昇し、2006年度には単品で売上高【100億円】を達成するビッグヒット商品となったわけです。

 残念なことに、一連のギョーザ事件の影響を避けきれず、今年に入って売り上げは大幅ダウン。「具体的な数値は…勘弁してください」と大野課長。さすがに悔しさを隠し切れない感じでした。

 ちなみに100億の売上というのは、約6,000万袋(12個入り)とのことですから、個数に換算すると、7億2,000万個にもなります。ギョーザ1個のサイズは…自宅の冷凍庫にあったモノを早速計測してみました…約7cm。仮に、もし誰かが、このギョーザを1列に並べた場合(誰も並べませんが)、単純計算すると、720,000,000個×7cm=5,040,000,000cm。ってことは、、、5万400kmですから、地球を1.35周しちゃうことになります。味の素製冷凍ギョーザだけで年間地球1周分以上を食する日本人のギョーザ好き度って…何だかすごくないですか。まさに今回の中毒事件は、味の素関係者だけでなく、日本中の誰もが悔しがっているに違いありません。。。

Comment(0)