進化するWeb2.0モデル ~第1回 Web2.0を土台に新たなビジネスモデルが出現~
【これまでのWeb2.0型モデル】
先日Web2.0ビジネスに関する疑問のブログ(参考)を執筆していたが、近年Web2.0及び
Web3.0から脱却したビジネスモデルを策定する企業が出現しつつあると感じる。Web2.0
ビジネスのビジネスモデル・収益モデルはいまさらいうまでもないが、細かな点を除き、
ざっくり言ってしまえば『個人間のネットワーク化』の策定、及び『情報発信者と情報の
受信者が双方向でコミュニケーションを取れる』の大きく2点である。Web3.0のビジネス
定義もWeb3.0とさほど変わらない。日経トレンディ2006年11月号の『そんなにすごいか?
Web2.0 次の"Web3.0"こそ本命だ』の記事によるとWeb3.0の定義について、ネットベンチ
ャーフィードパス の小川氏によれば「携帯電話や家電、無線LANのアクセスポイント
などどこでもつながるような時代になる・・・・以下続く」と説明している。
つまり『Web2.0のネットワークが今後更に大幅に拡大している世界』これをWeb3.0の
時代としている。異論反論はあるものの、Web2.0、Web3.0のネットワークの広がりがある
ものの、上記説明を聞く限りあまり、ビジネスモデルや収益モデルに革新をもったモデル
ではないと考える。
これまでWeb2.0ビジネスは『広告』が収益モデルの中心であった。個人的にもこのビジ
ネスは『OG型モデル』と考えている。広告収入はGoogle、Overtureに集中し、一般ポータ
ルサイトへの収益の還元があまりに少ないと考える。例えばネットれティングスの調査で
ユニークユーザー数でトップ10にはいる(最近は定かではないが)ライブドアですら、収益
を稼げていない。また、最近上場したmixiに関しても700~800万人のユーザーがいるのに
対して、広告収入はイマイチである。『Web2.0』は言葉こそティムオライリーやクリスアンダ
ーソン(ロングテール提唱者)など海外有名人が語るカッコイイモデルではあるが、広告
収入を稼げる企業が一極集中したモデル、所謂ビジネスの根幹ともなる『Win-Win』の
ビジネスになるかは微妙である。
【新しいビジネスWebマーケティングビジネスの出現】
そのような中、新たなビジネスモデルが出現している。インターネット(ここではあえて
Web2.0はカッコでくくる)で集客した顧客をマーケティング的なインフラとしているケース
である。インフルエンサー(アーリーアダプター)を人工的、自然発生的に作り出し、
その情報をもとにマーケティングツール、プロモーションツールとして活用するビジネス
である。
一番最初にこうしたビジネスモデルを活用している事業者として発見した企業は
エイベック研究所である。同社は企業向けにSNSサービスを提供している企業であ
る。詳細は述べないが、集客したデータ(コミュニティの動向など)をリサーチに利用しつ
つ、結果をもとにインフルエンサー見込み客にプロモーションまで行っている。また、
SNS会員とのオンラインMTGなども活用し、顧客の生の声を聞くようにしている。
同社は独立系のベンチャー企業であるにもかかわらず、既にぴあ、ベネッセ、タカラ、
トミー、日本テレビ放送網、地球の歩き方T&E、オリエントコーポレーションなど大手
企業70社への導入実績がある。
その他、先日開催された『ACフォーラム2006』ではブルーカレントジャパンという
クチコミマーケティング事業を行っている事業者とも出会った。同社では企業と
ブロガーのマッチングビジネスなどを手がけている。こちらも既にP&Gなどが顧客
としている。またサイバーエージェントでもこうしたこれまで蓄積した顧客インフラを
もとにマーケティングサービスに注力している動きが見られる。
上記ビジネスは以前から注目されてはいたが、クライアント企業がブロガーに対して
『広告的な記事を書かせる』というケースも良く見られた。しかし、この場合消費者から
ブロガー記事ではなく、広告として捉えられ逆に嫌悪感を抱かせてしまう結果にいたる
こともあるので、どのようにインフルエンサーとなる消費者及びブロガーを活用するかは
工夫が必要がある。また、インフルエンサー的でない一般のユーザーからの意見を集め
る方法もあるが、これもバイネームでは出さないが、自分の知る企業ではあまりうまく
いかないと感じる。
『企業が的確なインフルエンサーを獲得し、インフルエンサーが響く記事を自ら
進んで執筆してらう』
これが、ビジネスの肝となる。
ただし、上記ビジネスは各企業のビジネスの仕組み、仕掛けをうまく作り上げること
ができれば、どの企業にもマーケティングを切り口にしたビジネスモデル策定は可能
であると考える。一つ必要なのであれば、自社のメディア(メディア利用者)をいかに
持っているかが重要になるといえる。
【総括】
上記ビジネスがWeb2.0的なビジネスかWeb3.0的なビジネスであるかは分からない。もっと
極端な言い方をすればWeb2.0、Web3.0的ビジネスかと評価すること自体意味がない事
だと思う。これまで企業(一般事業者及びWeb2.0企業も含む)が血と汗を流して獲得した
顧客と一緒に成功モデルを作り上げる、そして収益を確保する。
個人的に『Web2.0』、『Web3.0』は単なる顧客をネットワーク化するためのインフラに過ぎ
ないと感じる。これらネットワークを活用した新たなビジネス、Web2.0というビジネスからの
脱却そして新たなビジネスモデルの台頭を期待する。