モバイルビジネスの転換 -第1回携帯電話の高速通信化と収益モデルの変化-
最近モバイル関連のビジネスのスピードを改めて感じている今日この頃です。
CMでは「ボーダフォンがソフトバンクに」とか「au無期限繰り越し」など見られます。ニュー
スでも多機能を搭載した携帯電話が続々と出る旨の記事を良くみます。ビジネスでもモバ
イルに関連したビジネスは注目されています。
ただここで一つの疑問が浮かんできます。
「本当にモバイルって良いの・・・?」
実はモバイルビジネス、特に携帯キャリアは厳しい時期に直面しつつあります。MNP
様々な問題がありますが、本流を考えると二つの問題に分けられると思います。
①ARPUが年々減少しており、携帯キャリアの収益性が圧迫されている。
②携帯電話の普及率が70%を超えており、加入者数の成長が鈍化している。
こうした問題に対して携帯キャリアはビジネスモデルの転換に迫られております。大きく
『携帯通信の高速通信化と収益モデルの変化』、『MVNOビジネスなど新規ビジネスの登
場によるユーザーの変化』の2つの変化が起きつつあると感じております。
今回第1回目は携帯通信の高速化と収益モデルの変化について触れていきたいと思い
ます。
先にも述べたとおり、携帯電話事業者のARPUは「音声」、「パケット」ともに下がっており
ます(参考資料(1)を参照)。基本料金や音声通信の割引やパケット定額制などにより
ARPUが低下していると考えられます。
ただ、各社ともコンテンツビジネスからの収入確保により、ARPUの増加を狙う動きが出
ていると思われます。つまりはこれまでの「回線(音声・パケット)使用料金」のみを収益
モデルとしてみるのではなく、「コンテンツ(物販も含む)課金」を新たな収益になりつつあ
ると強く感じます。
参考資料(6)はソフトバンク決算説明会資料より引用したものです。ソフトバンク携帯で
はYahooのコンテンツを携帯にも活用して課金する収益モデルを打ち出しております。
また、NTTドコモやauでも、同様の動きが見られております。
NRIの調査でも、モバイルソリューションの市場規模は今後急拡大すると予想されており
ます。
なぜ、今コンテンツビジネスが伸びているのでしょうか?
それは、携帯の通信速度のブロードバンド化が影響しているといえます。「HSPDA」、
「EV-DO Rev.A」など高速通信の登場により、シームレスにコンテンツを受信するインフラ
が整備されたことが大きいと考えてます。2000年代前半におけるPCのブロードバンド化に
よるECビジネス等が伸びたことと同じようなことが起きようとしてます(蛇足までにauでは
動画圧縮方針にH.264を採用するなど高画質の配信も予定している)。
コンテンツビジネスが伸びることにより、情報収集を効率化するために検索サービスの
ニーズが起きること、その他広告ビジネスやアクセス解析のニーズも出てきております。
検索サービスでは既にNTTドコモが検索サービス各社との提携を行ったり、auがgoogle
と提携したり、ソフトバンクがヤフーの検索エンジンを利用する動きも出ています。また、
広告ビジネスもアクセス解析のビジネスも出現しつつあります。
『携帯通信の高速通信化と収益モデルの変化』により、様々なビジネスが出てくると期待
しているこのごろです。
上記記事に関する皆様のご意見をお待ちしております!!
次回、『MVNOビジネスなど新規ビジネスの登場によるユーザーの変化』に続く。
参考資料:http://tanaka-akira.up.seesaa.net/image/mobile.appendix.1.pdf
参考ニュース
◎au下り回線のみでなく上り通信も高速化に
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060828-00000061-zdn_m-sci
◎ソフトバンク戦略(決算説明会資料)
https://www.softbank.co.jp/irlibrary/presentation/pdf/softbank_presentation_2006q4_001.pdf
◎NTTドコモ着うたフルを開始
http://it.nikkei.co.jp/mobile/news/index.aspx?n=MMIT0f000009082006
◎NTTドコモ、検索サービスで提携
http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000056023,20155828,00.htm
◎au、携帯サービスで提携
http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/29207.html