ポッドキャスティングはビジネスとして伸びるのか-
【ポッドキャスティング市場への期待】
2006/3「電通報(電通が出版している新聞)」に米ポッドキャスティングの広告市場が2010
年に3億ドルに達するとの予測を公表したとの記事が掲載されておりました。
データ発表を公表した企業は米国オンライン・マーケティングのイーマーケター社であ
る。同社では2006年の米ポッドキャスティング視聴者は1,000万人にまで達し、常時利用
者は300万人になると話している。これが、2010年には視聴者5,000万人、常時利用者が
1,500万人まで増えているとのことです。
「この急成長のメディア市場を放っておく事こともなく、既にポッドキャスティングベースの
プロモーションが増えており、今後もこの流れは加速するだろう」とイーマーケター調査
責任者マイク・チャップソンも指摘しているという記事でした。
【ポッドキャスティング市場に対する疑問】
ただ、本当にポッドキャスティングビジネスが伸びるのでしょうか?そこに疑問をもっており
ます。それは収益モデルが少ないことと、ポッドキャスティング視聴者が増えるとは限らな
いという2点の疑問があるからです。
【収益モデルに対する疑問】
個人的な考えとして、現状のポッドキャスティング(ブログなども含む)の収益モデルは
①広告
②コンテンツ課金
③サービスのプレミアム課金(使用容量のアップなど)
④その他ビジネスモデルとの融合による収益アップ
(例えばSeesaaがECと絡ませてブログ、ポッドキャスティングビジネスを展開しているなど)
の4つに絞られます。コンテンツ課金に関しては著作権の問題やラジオ的な番組に視聴
者がお金を払うか、サービスのプレミアム課金に関しては俗に言うWeb2.0系のビジネスが
無償化になりつつある中でプレミアムはよほどの魅力あるものでないと収益を上げられる
か疑問だと考えております。
そのためイーマーケターのアナリストの言うように『広告』が収益の中心であるの見解を
持っております。そして広告以外の収益モデルが見出しにくいのがポッドキャスティング
ビジネスの問題です。
【ポッドキャスティング視聴者増加予測に対する疑問】
ただ一点疑問が・・・。イーマケターではポッドキャスティングについては強気の根拠が見
えにくいです。
例えばイーマケターでは5,000万人の利用者人口だと、アメリカ人の4人に1人がポッド
キャスティングを利用考えになります。日本にこの数値を当てはめると3,000万人規模のポ
ッドキャスティングの視聴者人口になります。
しかしながらインターネット白書2006年度版の調査によるとポッドキャスティングの試聴
経験者数は6%程度と少ないです。またニフティの調査ではポッドキャスティングの視聴者
の内、週に1回以上ラジオを聴くユーザーは60%以上にのぼり、ポッドキャスティング試聴
との相関性は高いと思われます。ポッドキャスティング市場が生まれ1年以上が経過しま
すが視聴者が依然少ない点、また男性中年層に視聴者層が偏っている点を考えると
ポッドキャスティングの、成長性は???と感じております。
皆さんは今注目されているポッドキャスティングビジネスは果たして伸びるのか、また
新たなビジネス/収益モデルができるのか疑問を持ちつつ、期待してます。
<参考>
ポッドキャスティング視聴率:http://internet.watch.impress.co.jp/cda/special/2006/06/21/12414.html
ポッドキャスティング視聴者属性:http://www.nifty.com/ad/pdf/nifty_podcasting_research_200606.pdf
※ポッドキャスティングの定義
ポッドキャスティングとは、ウェブサイト上にあるRSSの音声ファイルを、ユーザーが
アグリゲーターに登録しておけば、選択した音声ファイルがアップロードされた際、
アグリゲーターが新規にアップロードした音声ファイルを自動的にダウンロードして、
PC上やiPodなど携帯オーディオプレーヤー、好きなときに聞ける仕組みです。