【書評】『スティーブ・ジョブズ 驚異のイノベーション』
日経BP社さんから『スティーブ・ジョブズ 驚異のイノベーション』をいただきました。ありがとうございます。ということで、いつものようにご紹介と感想を簡単に。
昨年『スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン』という本が話題になりましたが(実は僕も『このビジネス書を読め! ビジネス書大賞2011』の審査員をさせていただいた際、同書に1票を投じさせていただきました)、タイトルから一目瞭然なように、本書はその続編にあたります。
著者のカーマイン・ガロ氏は、ジョブズのプレゼンを徹底解剖した前書『驚異のプレゼン』に対して寄せられた感想に「プレゼンだけでなく、仕事やキャリアに対するアプローチが変わった」というコメントが多いことに気づき、今度はジョブズのイノベーション手法を解説した本書を書き上げたとのこと。と聞くと二番煎じになるのでは?という不安が頭をよぎるかもしれませんが、ご心配なく。前作と同様、本書は非常に刺激的なアドバイスが満載の一冊でした。
例えば本書には……とあれこれ内容を解説したいところですが、スティーブ・ジョブズが基本とする7つの法則の5番目に「1000ものことにノーと言う」(不要なものを極限まで取り除け)という戒めがありますので、1つだけ。前作もそうだったのですが、本書の最大の魅力は「実践」へと駆り立ててくれることではないでしょうか。ジョブズの姿をお手本にしているのですから、当たり前と言えば当たり前なのですが、本書に書かれているアドバイスは非常に実践的。それをどのように実際の業務で役立てて行けば良いのか、具体的なイメージを頭に描くことができます。
また本書はタイトルこそ『スティーブ・ジョブズ 驚異のイノベーション』ですが、アップル以外にも様々な事例が登場し(訳者あとがきから言葉を借りれば「アイスクリームやピザなどの食品からワインや靴の物販、修理サービスまで」)、イメージトレーニングの補強を行ってくれます。怪しげな自己啓発書のように、精神論を語るだけで「本当に現実で役に立つの?」という気分にさせられることもなければ、頭でっかちなビジネス書のように、理論ばかりで「何となく凄そうなんだけど」という不安を感じることもないでしょう。
というわけで、本書は2~3週間かけてじっくりと読み、読み終えたら本棚に(あるいはオフィスのロッカーに)鎮座させておくという種類のビジネス書ではありません。文字通り走りながら読み、読みながら走る、それを繰り返すという行動を取ってこそ真価を引き出せる本でしょう。もちろん表紙のスティーブに見とれてウットリ……というのも良いのですが、ボロボロになるまで使い倒してみたい、そんな気分にさせられる一冊だと思います。
スティーブ・ジョブズ 驚異のイノベーション―人生・仕事・世界を変える7つの法則 カーマイン・ガロ 外村 仁 解説 日経BP社 2011-06-30 売り上げランキング : 48 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
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