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微妙に違う?朝日と毎日の Twitter 感

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既に ITmedia 等で報じられている通り、毎日新聞が Twitter に公式アカウントを設置、アップデートを開始しました。日本の大手新聞社としては、朝日新聞に続き2社目となります:

毎日jpがTwitter開始 記事に投稿ボタンも (ITmedia News)

念のため、それぞれの Twitter アカウントへのリンクも貼っておきましょう:

asahi (asahi) on Twitter (朝日新聞)
毎日jp編集部 (mainichijpedit) on Twitter (毎日新聞|日本語)
Mainichi Daily News (mdnjp) on Twitter (毎日新聞|英語)

Mainichi Daily News アカウントの壁紙が、New York Times の Twitter アカウントをかなり意識しているように感じられるのですが、それはさておき。朝日と毎日がつぶやく中身を比べてみると、両者の間で若干意識の差が見られます。

まずは朝日。開設当初こそサッカー日本代表の試合を実況するなど、「中の人」が感じられる情報発信を行っていたのですが、

asahi_twitter

という6月17日の書込みの後は、宣言通り朝日新聞のRSSをそのまま流すという状況になっています。そもそも Bio には「朝日新聞社が運営するアカウントです。各種速報やニュースをお届けします」と記されており、もともと「中の人」が感じられるようなスタイルを取る予定はなかったのかもしれません(担当者のゲリラ的な行動だったのか、はたまたフォロワー集めの戦略だったのか?)。ただし「すいませーん」というお詫びが書かれているということは、運用を担当する現場レベルでは「Twitter はRSSを配信するだけのツールではない」という認識があるようにも感じられますが……。

一方の毎日新聞。mdnjp の方は憧れの? New York Times 同様、記事のRSSをそのまま流すスタイルなのですが、mainichijpedit では一手間加えられています。例えば以下は、国立西洋美術館の世界遺産登録が見送られたことを伝える記事の紹介文:

mainichi_twitter

ご覧のように、毎日jpへ誘導するための情報発信という点は変らないものの、元記事のタイトルをそのままコピペするのではなく、友人に語りかけるような口調が使われています。当然ながらRSSをダイレクトに流すのではなく、流す記事を人力でピックアップして、見出しを考えているようですね。さらに「フォローありがとう!」のように、記事紹介以外のコメントが入ることも。そもそも mainichijpedit の Bio には「毎日jpを編集しています」とだけ記されており、一見しただけでは公式アカウントなのかなりすましなのかよく分からない程で、外部から見る限りかなり「ゆるい」運営がなされているという印象を受けます。

RSSフィードに準ずる形での運用と、「中の人」を感じさせる運用。どちらが正しいというわけではありませんが、朝日と毎日の Twitter 感が垣間見えて興味深いのではないでしょうか。ただ蛇足気味に個人的意見を述べさせていただくと、「公式アカウント」という点では朝日新聞の方が好ましいように感じます。ニュースのアカウントに期待することは「一目で(仮に元記事にジャンプしなかったとしても)ニュースが伝わること」であり、「一体何が起きたんだろう?」という疑問を抱かせることではありません。パーソナリティを感じさせるような情報発信がしたいのなら、公式アカウントとは別に、記者や編集者、コラムニストが実名で別アカウントを立てれば良い話でしょう(例えば New York Times 等でもコラムニストが実名アカウントをアップデートしていたりします)。個人的には、そういった形で「実在する中の人」が見える方が親しみが湧きます。

とはいえ、大手新聞社がソーシャルメディアに関心を示すようになっている、という動きは歓迎したいと思います。両社とも運用を始めたばかりで、まだアップデートが500件にも達していないですし、経験を積む中から最適なスタイルが模索されていくのではないでしょうか。また日経、読売、産経など他の大手新聞社が、Twitter に対してどういったアプローチを取るのか注目ですね。

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