ブログマーケティングは、マーケティングの問題なのか?
お知らせしていました通り、昨夜はアジャイルメディア・ネットワークのイベント“『ブログとマーケティング』を考える”に出席しました。マイクロソフトさんの協賛のイベントで、パネルディスカッション+ワークショップの2本立てという内容。余談ですが、ワークショップ中には軽食とお酒(!)がふるまわれ、極めて活発な議論とプレゼンが展開されていました。
パネルディスカッションは ITmedia でもおなじみの徳力さんがモデラーとなり、パネラーはマイクロソフトでマーケティングをご担当されている森屋さんと、僭越ながら私の2名。森屋さんは以前、ITで離島の島興しをしようというイベントを企画されたこともある方で、ユニークな発想とバイタリティに溢れたお話をしていただきました。
マイクロソフトでは、社員がブログを開設するのは基本的に自由。申請すれば誰でも始められるのだそうです(ブログのアカウントが発行されるわけではなく、どのブログを使っても自由)。「機密事項を書かない」などといった基本的なブログポリシーがあるだけで、記事内容の事前検閲といったこともなし。大企業であるにも関わらず、熱意のある社員が自由に情報発信できる環境になっていると感じました。もうマイクロソフトからは退社してしまいましたが、ロバート・スコーブルなど人気ブロガーが誕生したのも頷けます。
しかし単に「ブログを書いて良い」ということより重要だと感じたのは、マイクロソフトではブログに象徴される「個人が主体となって行動する」という動きが許容されている点です。例えば森屋さんは過去に様々なキャンペーンを手がけていらっしゃいますが、かなり個人的な思いも企画に反映されているとのこと。普通の日本企業であれば、稟議を通している間に立ち消えになってしまうような内容です。そういった行動でも許容される文化が(もちろん森屋さんご自身のバイタリティ、"PASSION"がそんな行動を可能にしたという面もあるのでしょうが)、ブログという個人行動のツールを活用する下地になっているのでしょう。
日本でもブログを通じたマーケティングやコミュニケーションが一般的になりましたが、なかなか「広報のツール」という範疇を超えられていないように思います。中央集権型で、発信される情報すべてが検閲され構成される、というイメージですね。ブログ本来が持つ「対話のツール」という側面が活用されるか否かは、現場がどの程度自由に動くことができるかにかかっているのでしょう。ブログ「マーケティング」というと、当然ながらマーケティングの側面に目が向きがちですが、本来は会社という組織全体をどうするのか -- という視点を持つことが重要なのではないかと感じた次第でした。