クロージングの流儀
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みんなの妊娠・育児日記という、ウィメンズパークのサービスが今年の7月末を持って終了した。
妊娠~出産~初めての子育て(中には2度目、3度目の方もいると思うが)という
人生にとって大きな、とても大きな節目の記録を残すサービスとして
とても良いサービスだったと思う。
しかしながら、mixi、twitter、facebookなど他のSNSでの日記、つぶやき、共有など、
代替となる他のソーシャルツールがたくさん出てくる中で、その役割を終えることとなった。
それでも、サービス終了するその日まで、お腹の中の我が子の成長や、
毎日出来ることが増えていく赤ちゃんとの感動の日々を綴ってくれる
お母さん達がいた。
そして、過去数年間に渡り、数万人のお母さんが同じように綴った日記があった。
最初にサービスを止めると聞いたときに、このサービスだけは、
WEBサービス担当者してだけでなく、一人の親として、
中途半端なクロージングはできないなと思った。
そして、今までこのサービスを使ってくれたお母さん、
今、使ってくれているお母さんに対して、自分が使えるリソースの中で何が出来るだろうと考えて、
そのとても大切な記録を、まとめてPDFでダウンロードしてもらえること、
引き続き、日記を書きたいと思うお母さんに、他のブログサービスへのお引越しができることを、
それぞれ実現しようと思い、それを実際に実現することができた。
(Special Thanks! 内製してくれたT本君、Seesaa Blog F田さん)
その機能を使ってお引越しをしてくれたお母さんのブログや、
PDFのダウンロードをしてくれたママのブログを見ると、
申し訳無いと思うと共に、この仕事をやってよかったなと思う。
ここ数年、開発言語や開発環境の進化や、各種モジュール、APIを使ったマッシュアップサービスなど、
新しいサービスを始めるのは格段に容易になった。
毎日いろんなサービスが生まれている。
ただ、サービスを始めるときに開発者には、
そのサービスがいつか終わるときのことも少し考えて欲しい。
もちろん、10年、100年、そのサービスが続けられるならそれで良いが。
毎日いろんなサービスが生まれていく陰で、同じだけのサービスが消えていく。
誰にも使われないサービスを作る人はいないだろう。
誰かに使ってもらえるように良いサービスを作り、
それを使ってくれるだろう人に伝え、
そのサービスのファンを作り、その人たちが、
サービスを使ってくれることでデータが蓄積されていく。
でも、そのサービスのマネタイズ(事業化)が成功しないと、
よほどのことが無い限り、そのサービスをクローズしなくてはいけなくなる。
その時には、使ってくれているファンの方を裏切ることになるし、
その人たちから預かったデータに対する責任も果たせなくなる。
アジャイル開発、リーンスタートアップ、ピボット、
ネットのサービス(事業)開発のスピード化が提供者目線で語られる中で、
10年、100年、腰を据えてお客様と向き合えるような(ウェブ)サービス、
事業って何だろうと、少し考えてみることも大事なのかもしれない。
そして、流行り廃り、技術の進歩の早いネットの世界で、
10年、100年続くサービスの提供が無理なのであれば、
サービスがクローズするその日まで、後はクローズした後にも、
ファンがいて、そのファンの人に感謝される仕事をしたいと私は思う。
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