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エクゼクティブコーチング・リーダー育成の現場から、思ったことや考えたこと、学んだことをつれづれなるままに発信してゆきたいと思います。リーダーなんてなりたくないという声も聞きますが、リーダーはカッコイイ!。一人一人がリーダーシップを持つ世の中の実現のために取り組んでいます。

リーダーを応援する~「Care」ではなく「acknowledgement」

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日本コーチ協会東京チャプターの勉強会を企画・主催し、その勉強会が無事に終わりました。
今回は解決型思考・ソリューションフォーカスの第一人者青木安輝氏と、承認について多数の著作を持つ同志社大学より太田肇先生をお招きしての勉強会でした。

今回私たちがテーマとしたのは「承認」。
承認と言えば、コーチングの中でもとても大切にされているエッセンスの一つ。
もうあたりまえのように職場や家庭でも必要性が伝えられており、マネージメント研修の中には必ずと言っていいほど組み込まれている。今や、マネージャー必須のスキルではないでしょうか。

私の個人的な考えですが、ビジネス書やコーチ養成機関のテキストなどに目を通すとどこか「スキル」としての印象が強く、の伝わり方に少し不安を感じていました。というのも、本当に心から相手の成長や変化を認める」ということと「人は褒められると嬉しいのでほめることが大切だ」という手段的な発想の間になにか大切なものが伝わっていないような気持ちがしてもやもやしてしまうのです。
多くの管理職が自分の手段のためではなく承認の必要性についてご理解いただいていると思う一方、どこかもう一度自分も考えてみたいテーマとなりました。

ミュニケーションとしての承認は多くの人が知るところですが、今回さらに承認についての理解を深めることを目的に「言葉以外の承認」について考えることにチャレンジしてみました。きっと皆さんにも思い出されるエピソードがあるとおもうのですが、言葉はなかったけれどこのときのこの出来事が自分にとってとても大きな「承認」として届いたという経験のことです。

青木安輝さんがかつて出版パーティーでこんなお話をしてくださいました。
ジョン・レノンとヨーコ・オノの出会いとなったエピソードです。
そのころ、ジョンはひどくバッシングされ、アイドル化してゆくビートルズに悩み、こころから疲れ果てていました。そんなとき、友人から「面白いアーティストがいる」と聞き、ある個展を訪れます。いくつかのアートのひとつとして、脚立が置かれていて、その脚立を登ると、天井からぶら下がっているルーペを手にすることができます。ルーペを手に取って天井に書いてあるなにかを見ろということだなと気がつきその文字を覗き込みます。そこに書いてあったのは「YES」という小さな小さな3つの文字でした。
その瞬間、ジョンは強い衝撃を受けたとされています。そして、その作品の主を会場で探し当てます。この瞬間が、ジョンとヨーコの出会いとされています。
ろいろと思いが巡りますが、ジョンはおそらくこの小さな「YES」という文字に心が解放されてゆくような気持ちとなったのかもしれません。大いなるものに背を押されたような、そんな気持ちになったとこのエピソードで知りました。

コミュニケーションのスキルは、結果として受け手がどう受け止めたかが大切です。それがすべてといってもいいと思います。そう考えると、相手との関係がどのような状態なのかということも影響しますし、誰からされるのかということも関係がありますし、受け手の心情や状況にもよるはずです。そして、言葉のやりとりばかりが承認ではないということにも、沢山気がつくことができるのです。

会場では上司がさりげなく自分のやる仕事に配慮をしてくれたエピソードや、仲間として受け入れられたと感じた瞬間などの話が飛び交いました。

広い意味で頑張る人や目的を遂げようとする人をリーダーとするならば、彼らに必要なのはCereのような手の差し伸べ方ではなく、ジョンが見つけたYESの文字に表現されているacknowledgementなのではないでしょうか?
ソリューションフォーカスの中では承認に類する考え方として『OKメッセージ』という考え方があるそうです。支援的な『OKメッセージ』をお互いに出すことが、承認のやりとりの本質ということを学びました。

職場やチームを元気にする。頑張る人を応援することのガソリン的な役目を果たすのが「承認」です。承認を起こす側に立ってみると、もっといろいろな関わりが結果として承認と伝わるということについて理解を深めること。そして、受け止める側は目に見えるものばかりではない承認に気がつけるようになること。どちらの要素も深めてゆきたいとリセットする機会となりました。

皆さんの周りには、どんな承認を発見することができますか?


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