【覚書】コミュニティー運営〜「リーダー塾」9年目を迎えて
「リーダー塾」というコミュニティーを始めて9年目を迎えることができました。
これも色々な方のお力添えあってのことです。
塾のみなさん、運営メンバー、いつも気前よくお願いを聞いてくださったみなさん、システムコーチングなどでお世話に成った外部スタッフのみなさま。本当にお一人お一人のおかげです。本当にありがとうございます。
今回はこの「コミュニティー運営と私」ということがテーマです。
どうしてこんなことをテーマにしようと思ったのかというと、一つ自分がエネルギーを注いでいるものとして見つめ直してみたいと思ったのがきっかけです。
これまで2002年から始まったコーチングの勉強会「Coaching Shower!」に始まり、コーチングの勉強や啓蒙を目的としたコミュニティーの運営、2005年からはITエンジニアの皆さんに向けた「エンジニアの手でチームを元気にしてゆく」プロジェクトファシリテーションやふりかえりなどのメソッドの教育やネットワーキングのためのObject Club。そのような活動を絶え間なく続けているうちに、かなりの年月になってしまいました。
同時に似たような活動に心血を注いでいらっしゃる皆さんに、少しでもお役に立つことができましたらちょっぴり嬉しいです。
【わたしが勝手に想定している、似たような活動をしている方】
- 会社の中や社外で「勉強会」などをほぼボランティアで行っている方
- 非営利の活動を広め、色々な方に協力してもらっている(もらいたい)人
- 経営者、コミュニティーリーダーなどの組織を持って何かをしている方々
- 自分も一人のスタッフとしてこういった場に参加している方
- これからやりたいことを始め、いろんな人とともにやって行こうとしている方
-
本業は本業で自立していること
わたしは株式会社アネゴ企画という自分の会社を営んでおり、主な事業としてはエグゼクティブコーチングなどのリーダーシップ開発支援。そして、ワークショップやシステムコーチングなどを行う組織開発の支援。最近では同族経営パートナーズというビジネスユニットを立ち上げ、事業承継やビジネスモデルのシフトなど企業の様々なチャレンジをトータルで支援することを本業としています。
会社は一人会社なので現場の対応はもちろんのこと、営業・企画・経理などまでほとんど全部を自分でやっています。その他に、自分自身も勉強し続けています。最近では「ファミリービジネスアドバイザー」の資格取得や、「ファミリーコンステレーション」という家族療法の勉強もしています。勉強は自分のためでもありますが、もちろんクライアントのテーマに向けたサービスの幅を広げるために大変重要です。この業界で言ったら「仕入れ」のようなものでもあるので、即効性があるものばかりではありませんがこのような自己研鑽も行っています。
コミュニティー運営に話は戻りますが、リーダー塾のようなコミュニティーをやってゆく中で「本業は本業でしっかり成り立っていること」というのが私の信条です。ここが弊社にとって営業の場であるのであれば(そういうのもありだと思いますが)、多くの人に協力を得ることはできなかったと思います。会場をお貸しいただくことや、あたらしい期が始まるたびにネットで拡散いただいたり、たくさんの人をご紹介いただきました。企業活動として行うのであればそのような努力は自社で行わなければならなかったのだと思います。
そういった下心全開なコミュニティーにしたくないなと思っていましたし、社外のコミュニティーは中立性が必要だと考えて続けてそうしています。
もう一つは、自分が「コミュニティーを逃げ場にしても、なってもならんな」と思います。
本業が壁にぶつかっている時、他のことが思い通りに進んでいない時(たいていは自分の力不足ですが)、なんだかこのカオスのような勉強会が可愛く居心地よくなったりすることがあります(笑)
言い訳のようなアイディアで「呑み会でもやろうかな」とか「こんなアイディアを試してみよう!」という気軽で自分のコントロールが効きそうなことをやりたくってうずうずしてきます。実際に私もそういった時期がありました。
たとえみんなが楽しんでくれて良い時間だったにしても、自分が本業をおざなりにしたことは変わりありません。
しかも、主宰者がそんな感じだとたいていそういう仲間を引き寄せてしまいます。結局のところ、良い内容をやっていても、場が愚痴っぽくなったり本当のテーマに向き合わないままなので結果が出なくて個人の満足も低いものになってゆくんじゃないかなと感じています。
なので、仕事の他にこのような活動をしてゆくのはストイックさがありました。
今の所はこれで良かったと思っておりまして、決して皆さんに強いることはないんですが、振り返ってみると結構こだわっていたなぁと息巻いていた自分をふりかえっているところです。
-
スケジュール管理こそコミットメント
リーダー塾は1年間のプログラムです。1年間ずっと同じメンバーで学び続け、卒業するといった形式になっており、勉強会のようなインプット主体のものではなく、「自らの経験や考えを話す」ために安心で安全な場作りをしたかったためにそのような形にこだわってきました。
主宰者としてはこのスケジュールにコミットできるようになるまでに一山ありました。構想を始めた2007年当時はフリーランスとして働いておりましたので、「いいお仕事の話が来たら、そっちやらないと!」って自然に思っていました。
なので、真っ白な手帳のくせに先に自分の予定を入れることさえ抵抗がありました。このころ自分のコーチとも悪あがきのような会話をしていました。色々な経営者の方とも別に「法人化して大丈夫ですかね」などとも相談を重ねている時期で、結局は「自分が本当にやりたいことから時間を使って行けるようにならないと、経営なんてできない」という考えに至り、1年間のスケジュールをコミットすることができました。今思えばささやかなことなんですが、私にとっては世界の主導権を握ったぐらいの(笑)大騒動でした。
よく「会社の中での勉強会を立ち上げたけれどなかなか上手く行かなかった」という話を聞きます。最近では特に会社の役員などによる次期リーダー候補に向けた勉強会をオフサイトでやるといった話も聞きます。
難しいのが自分にいろんな予定が入ってくることとどのように折り合いをつけるのかということで、もちろん自分の活動よりも優先度や重要度が高いことも入ってこっれると思います。
私がやっているのは「まずは自分の予定を先に入れてしまって、その時間に他の予定がはいってきたら調整願えないかと交渉させて頂く」ということと、「もしものために、自分がその場にいなくても何かできることを準備しておく」ということです。要するに、何が何でもやるといった感じです。最終手段としては、皆さんに再度予定の調整をお願いするということです。
なるべく最終手段は使わないようにしないと、モチベーションが下がってしまいますのでこれは最後の切り札ですね。
-
コミュニティーの中に関係を積極的につくること
私自身も実際にいろいろな勉強会やコミュニティーに参加したことがありますが、内容が良くても次第と足が遠のいてしまうのが関係性が希薄なコミュニティーです。主宰者と1対1でつながりやすいというのもあるでしょう。主宰者が有名人であったりすると、なおのことそれも強くなってきてしまうのではないかと思います。
リーダー塾の初期の頃にふと「あなり話が弾まないな」と感じたことがありました。そこで必殺「呑み会」というのが私のパターンだったのですが、今となってみればお酒の力を借りたところでうわべだけの会話はすることができると思いますが本質的ではなかったように思います。
主宰者やスタッフのような人たち、または、そのコミュニティーのベテランメンバーのような方が共通点とかお互いに興味のあることや困っていることをつなげて会話を促進してあげる必要があるんだなと感じてます。ケアしすぎかもしれませんが、初めてこのような会社の外の勉強会に参加した時の自分の心細さやドキドキ感を思い出すと自力だけではなかなかハードルが高いんだなとも思っています。
リーダー塾も少しずつですが、こう言った場面が見られるようになりました。
地道な活動ですが、参加者が安心感を感じてくれたりコミュニティーの信頼度を上げるためには重要な関わりだと思っています。
-
ずうずうしく愚直に学び、改善し続ける
心情としては良くよくわかるのですが、1回の勉強会では成しえないのが「カイゼン活動」です。はじめっから最高のやりたいっていう気持ちは誰にでもあると思うんです。そして、参加してくれる人のためにもそうであるべきだとも思います。
しかし、コミュニティー活動を続けてきた一つの原動力は「まだ満足してない!」といった探究心だとも思います。
毎回「もっとこうだったらよかった!」というのは少なからずあって、リベンジし続けるかのごとくちょこっとずつカイゼン活動をしてきたんだと思います。今になってリーダー塾のOBたちも「昔はこうだったよねぇ〜」と笑い話にしてくれていますが、恥ずかしいような慌ててしまうようなエピソード満載です(笑
「失敗は成功の母」とはよく言いますが、「失敗し続けているおかげでまだやっている。」のが本音のようです。満足しすぎないことも大事なのかもしれません。
そして、ある意味「一喜一憂しないで、淡々とやる」というのも奥義だと思います。目的を見失ってしまうと、毎回の集客や参加者の感想、内容の精度に一喜一憂してしまいます。
しかし、本来やりたいことは1つのイベントの成功ではなく、その会の目的があるんですよね。そのことを忘れてしまいやすいんです。
企業でいうところのミッションがそれに当たります。
リーダー塾で言えば
活動趣旨
「自分の強みを発揮し、自分自身の価値の世界を生き(自分を大切にすることができている)幸せである。」ことが、「仲間や組織への貢献となる」「会社や社会への貢献となる」「地球にとってもいい」に繋がっている。1年の時間の中でこのストーリーを構築し、実践につなげてゆきます。そういった仲間との研鑽しあうためのコミュニティーです。
こそが原点です。
うまくいっていない時ほど、この一文を眺めます(笑
不思議と悶々としながらも、次の一手が見つかってくるもんです。
この知恵も尊敬するオーナー経営者から仕事を通じて教わったものです。本業も同じことですが、こうやって私は今を歩いてきたのかもしれません。自分を許しながら。
-
他人と比べない。他人にならない。どうせ、なれないし。
活動を通じて、絶対と言っていいほどすごい人に出会います。
影響力があって、スマートな考え方があって、軽やかにやてゆくような。直接お目にかかってニコニコと「こんにちは。リーダー塾やってます。上田です。」と名刺交換しながら、嫉妬の嵐が吹き荒れている心の天気です(笑
もちろんその人を見たりであったりすることで自分がもやもやするということは、自分に原因があるんです。勝手に比べて勝手に落ち込んでいるようなものです。
そんな時、「他人と比べない。他人にならない。どうせ、なれないし。」と思うようになりました。焦りは良くない煙となって自分自身もコミュニティーそのものも覆ってしまいます。最近ストレス体質だと自覚するようになった私は、本当に体に良くないことだなとも思います。人と比べないというのはなかなか難しいことではあるのですが、そのモヤモヤとした感情は私にとっていいサインで、「なんか焦っているのかな!?」と自分の内側を見つめてみる機会になりました。自分と上手に付き合えてこその活動です。
ここに至るまで紆余曲折あったのも事実です。
しかし、この時代があったからこそ、他人とも自分とも上手に付き合えるようになってきたのだと思います。まだまだな私ではありますが、発展途上中ということで!
-
お金は綺麗に
リーダー塾は参加費というよりも、教材費として参加者の方からお金を頂いています。これまでもずっと実費で行ってきました。ちなみに9期は1年間で24,000円という破格の値段です。(書籍などの購入費、会場費、スタッフなどの交通費などと想定)ずっとこのことについては賛否両論耳にしてきましたが、今の所はこのぐらいがリーダー塾にとっては丁度良い感じなのではないかと考えています。
リーダー塾では卒業生にも大いに関わって頂いて運営をしています。「メンター制度」と呼ばれる一人一人に着くチューターのような役割をやっていただいたり、「7つの習慣」を使ったコンテンツでは、リハーサルなどの準備に始まり、自分自身も経験を語ったりしていただきます。一昨年ぐらいから少しずつ運営委員会を立ち上げて運営をしていますが、みんな手弁当で参加してれています。持続可能性を考えるとこういった活動は慎重に行われれることが必要であって、搾取した形になることがなく金銭以外でのその人のメリットや得たかったものがあるといいなと常々考えています。(結構真面目に)
経営者にとって給料って最強の武器だなと感じることもあります。
その関係を持たない選択をしている以上、違った形で純粋な協働がしかるべき目的のもとで行われることが理想です。(これがまた大変!)
人の気持ちはうつろいやすいですし、些細なことでも気持ちに影響してしまいます。なのでお金だけはなるべくクリーンにと思い、努力し続けています。お金以外にも色々な決定プロセスなどまだ努力が必要なことはたくさんありますが、勝手に高い理想を掲げてもがいて行こうと思っています。きっと良い筋肉になるんだと信じて。
まだまだあるのだと思いますが、時々継ぎ足しながらこの「秘伝のタレ」をレシピとして完成させて行こうと思います。
長いオチのない文章に気長におつきあいいただきありがとうございました。正直に書いたつもりです。
また来年の春ぐらいからリーダー塾の案内が始まって、9期が卒業し、10期の幕開けにつながるんだなと思います。その頃このブログを自分で読み返して、運営に反映して行こうと思います。
https://www.facebook.com/Leaderjyuku (Facebook)