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私の職場近くには筑波大学附属視覚特別支援学校(附属盲学校)があり、歩道には、黄色く着色され凹凸の付けられた50cm幅の誘導ブロックがあります。ところが、この誘導ブロックの上に、いつも自転車の後輪がはみ出して置かれていてとても危険です。こんな経験と情報モラルの観点からも、私は以前より、障がい者の情報へのアクセシビリティ(健常者と同等に情報を利用できること)の向上に関心を持っていました。

昨年来、社会福祉法人視覚障害者文化振興協会(JBS日本福祉放送)と、特定非営利活動法人全国視聴覚障害者情報提供施設協会(全視情協)の、それぞれ理事になっています。私の次男が知的障害を持っていることもあり、これまで、養護学校関連の活動や、障害を持つ子どもたちとの泊まりがけのキャンプなどに何度も参加してきましたが、実は視覚障がい者との活動は初めてで戸惑うことばかりです。

例えば、理事会の資料は、一旦、全て点字にするため準備に時間がかかります。発言するときは必ず名前を言い、資料を把握してもらうためには目で追うことが難しいため、これも時間がかかります。彼らは、メモも点字で取るため、会議中、卓上の器械をカタカタと叩いています。現在、全視覚障がい者のうち点字が使える人は徐々に減って今は10%強だそうです。ほとんどの人が、今は耳から情報を得ているそうです。

7月1日施行の著作権法の改正で罰則が厳しくなったことは前に書きましたが、同時に、著作権の制限規定である第37条も改正されました。今回の改正によって、視覚障がい者に対しては著作権者の許諾なく、録音図書をインターネット送信(自動公衆送信)できるようになりました。これまでは、図書の録音と貸し出しまでしか認められておらず自動公衆送信が認められていなかったため、点字図書館などはカセットテープなどに録音して、視覚障がい者の自宅に郵送していたのです。これでは、利用後にカセットテープなど返却するだけでも手間がかかります。

ITまたはICTは、障がい者にとって、社会との接点になる重要なツールであり、ライフラインです。今回の改正は素晴らしいことですが、法律で認められたというだけであって、実際の送信の仕組みや聴くためのシステムの整備はこれからです。障がい者の方には、今のシステムの使い勝手において、何が悪くて何が良いか、あるいは、今回の法改正で、自らの生活がどのように向上したか、どう良くなったか、何が足りないか、これから大いに声を上げてもらいたいと思っています。そうした声を私は、ソフトウェア技術でアクセシビリティを高めているACCSの会員企業などIT業界に届けて、協力を要請していこうと考えています。

kubota

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