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IT業界のコメントマニアが始めるブログ。いつまで続くのか?

ACCSの久保田さんのブログは、タイトルそのままな印象がありますね。たまたま勤務先に着任した COO が「愚直論」という本を出しているのも、何かの因縁でしょうか(←可能性はゼロ)。実際、今まで、このような立場の方が、こういうスタイルで意見を表明されることはあまりなかったように思うので、厳しいコメントはついていますが、今後とも継続してほしいとことです。

さて、最新のエントリ「著作権侵害が懲役10年以下になる意味」では厳罰化に否定的なコメントが(匿名で)ありましたが、厳罰化で困る人って誰なんでしょう。飲酒運転の厳罰化により、飲酒運転による死亡事故が減少しましたが、死亡事故が減って困る人はいないでしょう(捕まらないよう当て逃げが増えたという報告はあるようですが)。また、栗原さんの最新エントリでも、DRMフリーに対するバランスとしての厳罰化が挙げられていました。インターネットの普及により、かつてないほど著作権侵害が容易に行われるようになってきましたが、“冤罪”という問題を除けば正当な利用者にとって厳罰化は何の障害もないはずです。むしろ、正規ユーザーにとっては、不正ユーザーが罰せられないことの方が不満要因になりそうです。

もちろん、「正当な利用」がどこまで認められるかという点についての厳罰化とは別の議論があるでしょう。素材集の利用やクリエイティブコモンズの作品登録が“不正扱い”されることには断固反対します(そのような判断が下される可能性はないと信じますが)。しかし、「フリーライドは擁護されない」にも書いたとおり、著作者に対価が支払われない利用を擁護する“識者”はまずいません。久保田さんのエントリに対する否定的なコメントがすべて匿名で書かれていることが、こうした意見を発する人々の素性を物語っているようにも感じます。

mohno

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コメント
疑問 2007/03/20 00:37

匿名で申し訳ないのですが、厳罰化によって困るのは多くの国民だと思います。日本では、権利の制限規定が限定列挙する法制を採用しているため、ほんの些細な無断利用行為でも(それ自体対価を支払わない利用であることは間違いありません)、著作権侵害行為として犯罪行為とされています。しかし、これだけコピー機が設置され、コピー技術と言ってよいデジタル技術が普及した現在著作権侵害行為を行っていないと正面から言える人はどの程度いるのでしょうか?地図をコピーしたことのないビジネスマンはいるのでしょうか?雑誌を仕事でコピーしたことのない人はいるのでしょうか?新聞記事を無断でコピーしたことのない人はいるのでしょうか?
これらの行為を本当に犯罪行為としてよいのでしょうか?「著作者に対価が支払われない利用を擁護する“識者”はまずいません。」が、それと対価支払いを実現する手段として刑事罰の強化を選択するということは論理必然ではないと思います。もともと日本は、著作権侵害で刑事罰が適用され得る範囲が広い国なのですから(国際条約で刑事罰の対象とするべき、とされている範囲と比べればすぐにわかります)、さらに強化する必要があるのか疑問なのです。

mohno 2007/03/20 01:46

それは、まさに「厳罰化とは別の議論があるでしょう」と断った点ですね。「犯罪行為としてよいのかどうか」という論点は厳罰化とは別の話でしょう。疑問さんは、厳罰化しなかったらそうした小さな問題で訴えられても良い、と考えられているわけではないのですよね? 栗原さんが書かれている「フェアユース」の導入というのも一案だと思います。
http://blogs.itmedia.co.jp/kurikiyo/2007/03/post_3943.html
ところで、「刑事罰が適用され得る範囲が広い国」という点で、実際に「こんな小さな問題でも訴えられた」というような例はあるでしょうか。たとえば、地図の(私的な)コピーなんて訴えられようがないと思うのですが。
アメリカでは P2P による不正な楽曲交換が広まったときに、RIAA が手広く訴訟を起こしたこともありましたが(効果もあったらしい)、日本ではこういう話をあまり聞かないように思います。
http://hotwired.goo.ne.jp/news/business/story/20040106108.html

匿名 2007/03/20 05:05

飲酒運転と著作権侵害との同一視は「傘の窃盗」のたとえと同じく適切とは思いませんが・・・。

刑事罰強化への評価は、たとえば「録画ネット」事件や「まねきTV」事件をどのように評価するかという価値判断に関わる部分が大きそうです。
大野さんはこれら事件をどのように評価しますか?

mohno 2007/03/20 12:26

いずれも民事ではありますが、やはり「犯罪行為としてよいのかどうか」という論点ではないでしょうか。個人的には、以下のサイトにあるとおり「録画ネット」と「まねきTV」において適法・不適法の判断基準が示された(とくに「まねきTV」が合法と判断された)というのが興味深いところです。
http://www.6ga.net/diffmanekitv.php
また、現在、まねきTVに起こされている訴訟は以下の指摘どおりの問題があると思います。
http://benli.cocolog-nifty.com/benli/2007/02/post_ad1f.html
アメリカでは(厳罰化しなくても)頻繁に民事訴訟が行われるのに対して、日本では(とくに個人に対する)民事訴訟は敬遠されがちであるので刑事罰に抑止力を求めてしまうことはあるかもしれません。

匿名 2007/03/20 21:21

少し聞き方を変えましょう。
大野さんは「録画ネット」や「まねきTV」の行為が著作権または著作隣接権を侵害すると解釈しますか?

heatwave 2007/03/20 22:52

単純に、自分に害が及ぶかどうかということと、それが妥当と思うかということは別問題ではないか、と思うのですが・・・。もちろん、不正ユーザは反発するでしょうが、正規のユーザであってもそれを妥当だと思わない人もいると思いますよ。私は妥当だと思っていないわけで、少なくとも正規ユーザでも反発している人がいるという反証にはなるでしょう。まぁ、1人ですが。

個人的には感情がこの反発を生む要因の1つになっているとも思います。JASRACによる小規模なダンススクールやバー、美容院などへの著作権使用料の請求や、それを拒否する人達への裁判など(最近はビートルズの楽曲を無許可で演奏した人が有罪になりましたね)に対する、疑問の声があることも事実です。このような行為は法に乗っ取って行われているわけですから、法律の面からすると全く問題はないわけですが、それを見た人々の感情としては、非常にネガティブなものだったでしょう。人々にとっては、それはやりすぎなんじゃない?ということであっても、法律は我々に味方しているといわんばかりに、強引に物事を進めているようにも思えます。もしかしたら、そのようなやり方に対して不快感を持つ人はごく一部の人達かもしれませんが、私が見た限りでは肯定的な意見はほぼ見受けられませんでした(私が選択的にそのようなところばかりを見ていただけかもしれませんが)。

そうした感情を持って、久保田氏の主張を見れば、何を言っているんだ?と思う人がいてもおかしくはないでしょう。単に感情に依存しているだけではないでしょうが、少なくとも彼らは全ての要因を加味して、それはおかしい、と声を挙げているのではないでしょうか。法で定められたことなのだから、そういうことなのだ、という主張に対しても、私個人としてはそれほど説得力を持つものではないと考えています。確かに法を定める国会議員は国民の信託を受けた人達なのでしょうが、実際に彼らの決める法律の全てが国民の意見を反映しているか、といえばそうではないでしょう。著作権問題は争点にはなりえないのですから、業界団体の意向が通りやすいのも必然でしょう。

変な例を挙げますが、たとえばスピード違反を厳罰化しましょうという話になって、じゃあスピード違反への罰則を強化して、死刑もありうるということにしちゃいましょう、という流れになれば、多くの人は反対するでしょう。道交法を遵守する人であっても、それはやりすぎではないかと言うかもしれません。自分には関係ないからスピード違反の奴らは吊るされればいいとは思わないでしょう。もちろん、今回の件はそれよりも遥かに現実的なものですが、少なくともそれを妥当だと思うか思わないかは微妙なラインなのだということです。

ちなみに、コメント欄で挙げているHotWiredの記事ですが、個人的にはBitTorrentのユーザを調べていないので信頼性は低いかなと思います。ちょうどそのころは、KazaaからBitTorrentの移行が進んでいた時期でもありますから。少なくとも、今でも違法ファイル共有ユーザは増加を続けており、RIAAによる訴訟攻勢の効果は、プロトコルの乗換えを促進したか、一時的な抑制にとどまる、と思われます。

余談ですが、匿名であることが、相手の素性を・・・という末尾の文章には違和感を覚えます。もちろん、人の感じ方ですから、そう思うこと自体は仕方のないことですが、匿名であることがあたかも不正ユーザであるからだという決め付けは、妥当だとは思えません。大野さんが思われたように、久保田氏のブログの文脈の中で批判的な意見を書くことは、著作権侵害者であるというレッテルを貼られるリスクがあります。実名で書けば、そのようなレッテル張りから逃れられるという保証はどこにもありません。そして、多くのインターネットユーザは一般の人です。彼らはネット上に自らの意見を述べることでなんら利益を得るわけではありません。むしろ、レッテルを貼られたりすることで、むしろそういうことがなくても不利益を被るリスクがあります。そうした意味で、私も含めその不利益を避けるために匿名であるという側面もあります。なので、実名でやれと言われてもそれはちょっと、となるわけです。

一方で、実名を挙げて発言をしたり、何がしかを発表する人達もいます。その人達は、ネット上で発言することで不利益を被らない人が多いようにも思えます。むしろ、そのことが利益に繋がる場合もあります。匿名であることで不利益を避けることと、実名であることで利益を得ることを考えると、不利益の回避、利益の獲得というベクトルこそ違えども根底にある部分では一緒のように思えます。大野さんがそうだというわけではありませんが、実名であることで益がある人が匿名性を非難するのは、いささか理不尽な面もあるなぁと思うわけです。

栗原潔 2007/03/20 23:31

大野さんの考えでは「厳罰化しても困るのは違法行為をしてる人だけだからどんどん厳罰化すべし、厳罰化に反対するのは違法行為をしてる人のみ」ということなんでしょうか?なんかすごいですねえ。参考までにどういう教科書で勉強するとそういう「大野法学」に至るのか教えていただけないでしょうか?その教科書では「罪刑謙抑主義」、「罪刑均衡主義」、「実体的デュープロセス」等はカバーされてないんでしょうか?

mohno 2007/03/20 23:41

>匿名さんへ
(専門家じゃないですが)現行法の解釈論としては、「録画ネット」と「まねきTV」の両方について裁判所の判断が「おかしい」と思うほどの理由はなく“妥当”だと思います。以下の小寺信良氏の解説にあるとおり、録画する主体が誰か(私的複製ならユーザー自身であるべき)という点が判断の分かれ目になったのだと思います。
http://plusd.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/0703/05/news007.html
一方、どうあるべきか(立法論)でいえば、「録画ネット」のような形態を許諾するような改正が行われてもよいと思います。前述のとおり、栗原さんが示されたフェアユースの概念を取り込むといったことです。しかし、この件に限れば「まねきTV」が合法とみなされたことで、その必要性はさほど大きくないとも思います。
ちなみに、フェアユース導入は基本的に賛成なのですが、日本だと「何でもかんでもフェアユースじゃ」という輩が続出した上に、企業も評判を恐れて個人を訴えられず、モラルハザードを招くという心配がないでもありません。

>heatwave さんへ
コメントありがとうございます。
まず、JASRAC の問題というのは、たとえば以下のようなものを指しているのだと思いますが、少なくとも必要な支払いのされない相手に対して督促をかけるというのは普通のことだと思います。
http://i.yimg.jp/i/evt/magazine/news/08.pdf
この記事で取り上げられている、丼勘定のような計算式、支払の透明性、組織のガバナンスといった問題が事実であれば、もちろん問題ですが(↓JASRAC から反論はされています)、そうした管理組織の問題と、著作物の不正使用とは別物と考えています。
http://www.jasrac.or.jp/release/05/11_1.html
それは「どうせあいつだって悪いことしてるんだから、俺だってかまわないだろう」という感心しない理屈にすぎないからです。管理組織の問題は、(事実なら)それを正していくべきでしょう。
実のところ、久保田氏が(氏は JASRAC ではないですが)最後のエントリで「法律で決まっているから」という話し方をされているのは私も気になっています。コメントにも対応してほしいとは思いますが、(私はあまり気にしませんが)匿名による反論に時間を割きたくないという感覚はあるかもしれません。また、産業として重視されているという理由や回を改めて書くという話はされているので、もう少し冷静に読むべきだと思います。
訴訟の効果については、ご指摘の通りかもしれません。
実名と匿名については以下にも書きましたが、匿名だからという理由だけでなく、そこに書かれている内容と合わせて考えているつもりです。
http://blogs.itmedia.co.jp/mohno/2007/01/post_f207.html
heatwave さんの書き込みを見て「著作権侵害者なんだろ」と思う人がいないのと同じように、「著作物の利用は知る権利だ」という書き込みは著作権侵害を意に介していないように見えてしまうのです。まあ、匿名で久保田氏を応援する“関係者”がいてもよさそうな気はしますが、自作自演と怪しまれて終わりかもしれませんね。

mohno 2007/03/20 23:57

栗原さん、当たり前ですが heatwave さんが書かれたような「スピード違反で死刑」というような例を肯定するわけではありません。栗原さん自身が何度か書かれているようなバランスの問題です。以下の冒頭でコメントしたとおり、「違法使用が増える→取締りが厳しくなる」といったバランスがあるのではないか、そうした取締りの強化があっても、正規ユーザーへの影響はあまりないのではないかというのが主旨です。
http://blogs.itmedia.co.jp/kurikiyo/2006/11/post_1adf.html

heatwave 2007/03/21 10:49

大野さん、返答ありがとうございます。

説明不足なところがあったかもしれませんが、JASRACのやり方が法に乗っ取っていない、とか、あやふやなものだという批判をしているわけではありません。どちらかといえば、JASRACの行っている行為が、法に乗っ取っているということに対する批判がある、ということを申し上げたかったのです。言い換えれば、現行法とそれを利用するものに対する批判です。大野さんはそれを妥当だとお考えですが、妥当だと考えない人もいるということです。もちろん、このことと今回の件は別問題ですが、1つ共通していることがあります。それは、彼らがまた法律を背景にしようとしている、ということです。前述の理由から、それに対して不信感を持っている人がいることからも、彼らの望むような法改正に対して、懐疑的な見方をする、というのも私としてはそれほど違和感を覚えるものではありません。法は物理法則でも数理法則でもありません。妥当な範囲での変容は、正当な手続きを経ればいくらでも実現できます。その点で、私は如何に現行著作権法をないがしろにするような発言であっても、そこには1つの議論する意味があると考えています(たとえば、著作権そのものをナンセンスだとするPiratbyrånの主張であっても:http://piratbyran.org/)。

法があるのだから、正しいというのは一種のトートロジーのような感もありますが、現実にはそのトートロジーすら成り立たないという側面もあります。先のコメントにも書きましたが、争点にはなりえない著作権問題については、その議論は業界団体の強力なエンジンと、識者の緩いブレーキによって進められているといった印象です。そうやって通ったものを国会議員が審議するわけですが、ほとんどの国会議員は著作権に関する問題意識があるわけではありません。そうなれば業界団体によるロビー活動が力を持つわけですが、一方でユーザの側がそうした活動を行なえるかといえば現実的には難しいでしょう。一方は法律によって経済的利益が増す側であり、一方でそれによって経済的な見返りはないのですから。

また、私は先のコメントで海賊ユーザを擁護しているわけではありません。相手が不誠実なのだからこっちだって、とか、買うほどの価値がないものだから、などという発言は、所詮言い訳に過ぎないと考えています。たとえば http://peer2peer.blog79.fc2.com/blog-entry-316.html

訴訟の効果については、その効果を一時的なものと捉え、それに即した手段に出ている例もあります。ドイツでは、今年から毎月継続して訴訟を起こしていくことを明言しています。果たしてこのような訴訟による脅威がユーザの著作権侵害を継続して抑制するのかは興味深いところです。
http://peer2peer.blog79.fc2.com/blog-entry-159.html

最後に話題がそれてしまいますが、確かに発言内容からも推測されたのであれば、その感情は確かなものなのでしょうが、それでも匿名であることが不都合なことを隠すためになされた、という解釈は違和感があります。常に実名で発言している人が、不都合な発言の際だけ匿名になるのであればおっしゃることはもっともですが、一般の人は常に匿名状態にあるわけですから、それがユーザの素性を反映したものであるかどうかはわかりえないでしょう。

mohno 2007/03/22 21:57

heatwave さん、まずは建設的なコメントに感謝します。
まず、前半ですが、「法にのっとっている JASRAC」に対する批判は、本来「法」そのものに向けられるべきなのでしょうね。まあ、厳しい取り立てをしているのであれば「JASRAC は警察のつもりなのか」という行動への批判はあるかもしれませんが、ご指摘のとおり、これは現行法への批判(が JASRAC に向いている)とみなせます。
著作権そのものを否定する意見があるのは認識しており、たとえば R.ストールマンが CopyRight をもじって CopyLeft という表現を使っているのも、その一例だと思います(これは Right=権利/右に対するパロディというだけでなく、右派/左派の意味合いが込められているのだというのが、かつての先輩の教えだったんですが、実際はどうなんでしょう^_^;) 立法論からいえば、以前書いたとおり著作権を所有権にする考えもあるでしょうし、著作権など認めるべきではないという考えもあるでしょう。
また、現在の法律によって経済的利益が増す側“しかない”のが明らかであれば、ロビー活動などなくても、国会議員(立法機関)はこれを維持しようとするでしょう(その方が税収が増える)。しかし、たとえば、池田信夫氏は著作権を制限することで google のような新しいビジネスが生み出される、あるいは強化は新たなビジネスの登場を阻害するという主張をされています。著作権団体や著作権者にしても、ビジネスを行き詰まらせるほどに強化したいと思っているわけではなく、利用が促進された上でビジネスを継続させたいはずです。実際には、このような視点がなければ、変化を求めることは難しいと思います。
気になるのは、一部の利用者が著作権者を“敵”のようにみなしていることです。かつて土地バブルが起きた時に、(土地を持たない人から)土地は公共性が高いものなのだから固定資産税や相続税を高くして土地を解放させようといった意見が出たことがありましたが、このときも、この人たちが土地所有者になった場合にも同じ主張を続けられるかどうか疑問に思っていました。
著作権についても、著作権者vs.利用者という敵対関係として語られることがほとんどですが、著作権者は同時に利用者でもあります。あまりに厳しい規制をかけたら、利用者の立場としてどのような不都合が起きるかを理解できるはずです。立法論からすれば私的複製すら認めるなという考えもあるわけですが、これが問題ないという著作権者は少ないでしょう。一方、利用者は利用者の立場でしか考えないことが多いように見受けられます。その点で、まず著作権者の意見を尊重すべきだと考えています。
なお、TechCrunch の最新エントリ↓では、CD の売り上げがダウンしたことを「朗報」と伝えており、これを「レーベル時代の終わり」だと歓迎しています。
http://jp.techcrunch.com/archives/good-news-cd-music-sales-down-20-from-2006/
実際に、ここで説明されている理屈(楽曲交換を自由にさせ、ライブを収益源とする)に沿って活動されているアーティストもいるわけですが、すべてのアーティストではないでしょう。アーティストは「選択」できるようにして、(自由を求める)利用者は、自由な楽曲を認めるアーティストこそを応援すればよいと思います。利用者の意に沿わないアーティストなど無視してしまえばよいわけです(ただし、彼らの“権利”を侵害すべきではない)。
匿名については、見解の相違としてください。

匿名 2007/03/23 06:15

>「「録画ネット」と「まねきTV」の両方について裁判所の判断が
>「おかしい」と思うほどの理由はなく“妥当”だと思います。以下の
>小寺信良氏の解説にあるとおり、録画する主体が誰か(私的複製
>ならユーザー自身であるべき)という点が判断の分かれ目になっ
>たのだと思います。」

「録画ネット」事件で、録画する主体がユーザーではなく「録画ネットである」とされたことが「妥当」である、とのお考えと理解してよろしいですか。妥当であるとするならば、それはなぜですか。ご自身の言葉で述べていただければ幸いです。

>一方、どうあるべきか(立法論)でいえば、「録画ネット」のような
>形態を許諾するような改正が行われてもよいと思います。前述のとお
>り、栗原さんが示されたフェアユースの概念を取り込むといったこと
>です。

言い換えれば、「どうあるべきか」といえば、録画ネットの行為は禁止されるべきものではない、とのお考えだということですか? 

>しかし、この件に限れば「まねきTV」が合法とみなされたこと
>で、その必要性はさほど大きくないとも思います。

こちらの事件は係争中です。今後どのような結論が出るかはわかりません。

mohno 2007/03/23 12:41

ご要望にお応えして「自分の言葉」で書きますが、先の解説の方が詳細であると思います。また、私は、双方とも裁判がニュースになって初めて知ったサービスではあることをお断りしておきます。
録画ネットは機材として一般販売していない独自システムを使っていたのに対して、まねきTVは市販品を使っていましたので、この点で比較してみます。
録画ネットの場合は、つきつめて考えると運営側がシステムを仮想化することで「現実の機材」がなくても提供できるサービスだと言えます。現実には、そうみなされないように「いったん機材を販売する」という形式をとっていたのでしょうが、録画ネットのハウジング利用者にしか機材を販売していなかったのであれば、これは偽装販売とみなされてもしかたがなかったとは思います。たとえば、ものすごく高性能な録画装置を“形式として”ユーザーに販売(回収)しておいて、実際の運営ではストレージの仮想化などで費用を抑えるといったことが技術的には可能です。しかし、その場合は録画の「主体」をユーザーだとは言いにくいでしょう。現実には、ちゃんと個別の機材で運営されていたのでしょうが、このような拡大解釈運営に歯止めがかけられたと思います。
まねきTVの場合、ユーザーが買った市販品(ロケーションフリー)を使っています。市販品は合法だとみなされているわけですから、これは、ユーザーが自分でどこかにアパートを借りて、アンテナを設置したり、インターネット回線を契約したり、機材を設置してもらうという作業を便利屋さんに依頼するのと変わりありません。この場合の録画主は、どうみてもユーザーでしょう。ちなみに、どんなに言いがかりに近いものでも民事で訴えられる可能性はあるので、これが「訴えられている」のは残念なことだというしかありません。
さて、現実的にユーザーが得られる利便性は、録画ネットでも、まねきTVでも、ほとんど変わりなく、個人が録画し、個人が視聴するというものです。放送局側にとっては、地方であろうと海外であろうと自由度が増える方が視聴機会を増やすことにつながるわけですから、取り立てて録画ネットを規制すべきという理由はなかったように思います。下記のサイトにはコンテンツの海外流出やオリンピック放送権の高騰などが訴えの理由に挙げられているようですが、これはロケーションフリーにも当てはまる特性で、放送局側は「録画の主体は個人である以上、問題ない」とすればコンテンツホルダーへの説明もできたのではないかと思います。あるいは裁判で負けたので仕方がないといえば、コンテンツホルダーはそれ以上の責任を放送局に問えないでしょう(実際には放送局はコンテンツホルダーでもあるわけですが)。
http://www.6ga.net/history_announce.php
とはいえ、以下に書いたように録画ネットの仕組みを認めてしまうことは、どんな拡大解釈が行われるかという不安はあるかもしれません。
http://blogs.itmedia.co.jp/mohno/2007/03/post_68d4.html
いずれにせよ、まねきTVが(現時点では)合法とみなされているわけですから、これが順当に落ち着くことに期待(応援)して見守ってはいかがでしょうか。録画ネットもロケーションフリーを使ってサービスを再開するようですね。

R 2007/03/26 01:07

そもそも、権利団体が声高に主張する、映像・音声のコンテンツやソフトウェアの著作権侵害について、侵害行為による逸失利益に関する民事係争でなくて刑事罰「を与えなければならない」理由はなんなんでしょうか。また、傘の窃盗の例や飲酒運転など、行う対象や事実に疑いの余地がない議論と、著作物のような、誰がどう作ってどのように「ライセンス」してどう使ったら違反なのかが必ずしも明確ではない知財権についての議論を(意図的になのか不用意になのかはわかりませんが)ごっちゃにして語るのは、良く言って不誠実、悪く言えば著作物を実体を持つ「モノ」と同様の取り扱いをして当然とするプロパガンダだと思います。モノを作る人々からすれば、「100%著作権を認定されない」魔法の創作手段はないわけですから、厳罰化には大反対です。

R 2007/03/26 01:10

失礼、100%著作権を認定されない→100%著作権侵害を認定されない、でした。

mohno 2007/03/26 08:08

刑事罰は「やり逃げ」を防ぐためではないですか? それこそ(今のところ)著作権侵害は親告罪なので「コソコソやっている限りお咎め無し」になってしまいますよね。まあ、親告罪なので、元々コソコソやっている限りお咎め無しに近いわけですが。
判断の不明確さというのは別に論じるべき問題では? 「あいまいな部分がある」からといって「すべてがあいまいである」わけではないでしょう。

yosuke 2007/03/27 02:28

近頃いろんな啓発活動のためか違法性のある物は避けるようになった。
個人的にはコンテンツにDRMをかけて海賊版ダウンロードを違法化してフェアユーズ以外のパロディーを取り締まっても、安くて便利で流通が確保されていればそれでも良いと思っています。
現状では音楽にしてもムービーにしても販売サイトが保有しているコンテンツは(余りにも)少なすぎるし、DRMはMS限定とか視聴期間制限ありとか無互換性とかライセンスバックアップ無し(ワンセグ)とかでほんと勘弁してほしい。これでは流行しないしビジネスにもならないんじゃないかな。
基本的に多少価格を安くしても皆がお金を払っていれば広告収入やマーケティング効果に頼るより十分な利益が権利者にいくという考えです。
音楽に関してはダウンロード販売サイトにおいて価格は下がってきたので良いと思いますが少しマイナーなアーティストでも登録されていないし前述のとおり互換性は無い。
ムービーに関してはISOイメージをダウンロード販売して高画質でDVDに保存させるという案があるようですが、これも高ければ市販DVDと変わらないでしょう。
どうも日本ではコンテンツはなるべく高品質なまま消費者に届けてその分価格を上げようとする傾向があるようですが、YouTubeから分かるように大勢の人は高品質ばかり求めているのではない。例えば映像の品質を複数用意して価格のグレードを変えるとかすると選択肢は増える。
結局企業が市場のニーズを正しく認識していないから横道にそれる人たちがいるのではないかな。
まあ結局既得権を持つ人がダメといえばそれまでなんだけどー。:-<

mohno 2007/03/27 03:26

コメントありがとうございます。
DRM については、携帯向けの音楽配信が(とくに日本で)ビッグビジネスになっているので“流行らない”という指摘は否定されてしまうかもしれません。とはいえ、平沢進氏( http://www.chaosunion.com/ )のようにDRM無しの配信は、その先のビジネスを考えたプロモーションだという意見をお持ちのアーティストもいらっしゃいます。また、かなり早い時期にプロモーション用に楽曲の無料配信を行った The Offspring のサイト( http://www.offspring.com/ )を見てみたら、楽曲が全部オンライン(96kbps)で聴けるようになっていました。:-)
もちろん、アーティストの意向はあるとは思いますが、Offspring は商業的に成功していますから、商業的な成功をもたらす方法がひとつだけではないことが理解されれば、色々な「選択肢」が提供されるのではないでしょうか。それこそ、こういうものは先行する方がプロモーション的にも効果が高いでしょうしね。
もっとも、著作権者を敵対視する意見が目立つと、そうした考えにブレーキをかけてしまうのではないかという懸念はあります。

yosuke 2007/03/27 13:21

そうですね。携帯電話についてはDRMもそこそこうまくできていてうまくいっていると思います。ただパケット料金は馬鹿にならないし他の携帯プレーヤーで再生できるわけでもない。中高生の携帯料金が1万2万となると親は問題にするでしょ。決して便利なわけではないと思いますよ。
またDRM無しの配信や無料で聴けるというのはまだ個人での取り組みでしかありませんし、そのプロモーションに乗ってこない人もいるでしょう。先に述べたように多少価格を抑えても皆がお金を払っていればプロモーション効果に頼る以上の収益はあるのではないでしょうか?熱心な人ならさらにCDも買ってくれるでしょう。

>もっとも、著作権者を敵対視する意見が目立つと、そうした考えにブレーキをかけてしまうのではないかという懸念はあります。

もっともです。あらゆる不便を解決する為には著作権利用を一括管理するデータベースが必要であり、それを作る為には権利者から譲歩を引き出す必要があり、またその為には著作権保護を作者の死後70年に延長するなど権利者の要求を呑む必要はあると考えています。
なにはともあれ今の状況では実質消費者にとっても不便すぎるので早く法律を改正してほしいところです。

mohno 2007/03/28 00:21

音楽ダウンロードを頻繁に使う人ならパケホーダイの類のサービスを使うでしょうし、他の携帯プレーヤーで再生する必要もないでしょう。それに(毎月)1万も2万も中高生に携帯使わせるな:-)
(閑話休題)
DRM 廃止がビジネス拡大につながるのであれば(そのように供給側を説得できれば)、新たな方向性も見えてくると思います。
http://blogs.itmedia.co.jp/mohno/2007/03/drm_1b0a.html
の理由付けは、まだ弱いと思いますが、Steve Jobs のいうとおり、DRM 廃止によって「デバイスによる囲い込み」はなくなりますから、音楽配信市場が拡大するチャンスにはなるでしょう。
「すべての著作権(著作物)」を一括管理するデータベースというのは、なかなか難しいと思います(著作権は、すべての創造活動についてまわるので)。ただ、「楽曲」(楽譜や歌詞以外の原盤権など)や「動画」(番組・映画など)については、JASRAC のような仕組みがあってもよいでしょうね。データベースへの“登録”は自由意志であるべきと思いますが。


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平成元年にIT業界に入って以来、開発ツールに関わり、主にマーケティング中心に活動してきました。現在はフリーランス。

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