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日本を遠く離れたり、国際的な仕事をしていると、かえって自分のルーツとしての日本を知りたくなる。特に日本史は、いま現在ここにいる自分は、いったい何なんだろう、と思いをはせる時、太古からのこの国の成り立ちと変遷を知りたいと思う。オルタナティブ・ブロガー、佐川明美さんの最近のブログ、『百姓は農民と同義ではない 』を読んで、その事を再認識した。

必ずしも、政治史だけが歴史なのではない。澁澤栄一のむすこ、大蔵大臣や日銀総裁を歴任した澁澤敬三が主宰した『日本常民文化研究所(現在は神奈川大学の附属)』が深く研究した民俗学、民衆の歴史も、重要な日本の歴史である。網野善彦氏は、大学卒業後、この日本常民文化研究所に入って、民衆の立場からの歴史を探求されてきた。これが、日本中世史に大きな影響を与えた。

『米・百姓・天皇――日本史の虚像のゆくえ』という本がある。網野氏と、これも日本中世史の碩学、石井進氏の対談を本にしたもので、対談なのでざっくばらんで、話も、あらゆる方向に飛び火し、飽きることがない。民衆と、宗教と、風習と、日々の糧と、多角的な視点で、日本人の本質に迫っている。佐川さんが書かれた、百姓という呼び方などについても言及されていますよ。

網野氏の Wikipedia を見れば、著書・共著などが列記されているので、こちらを参考にされると網野史観をより深く知ることができるだろう。

網野氏は、日本常民文化研究所で中沢新一の叔母にあたる人と結婚したので、宗教学者中沢新一の義理の叔父となる。その中沢新一氏が、網野氏との思い出を綴った本が、『僕の叔父さん 網野善彦』だ。この本で面白かったのが、1950年代、1960年代の研究者が、共産主義的な動きや考え方にいかに左右さていたか、だ。そういったノイズの中なら、網野氏は、民衆の歴史、文化に集中していく過程も書かれている。中沢氏の、たとえばチベット仏教などの本は、私には理解不能なものが多いけれど、この本は楽しく読めた。

網野史観も、日本人の好みの司馬遼太郎史観も、その時点で明確になった史実を元に成り立っているので、新しい資料が見つかって、史実でないことがわかる事もある。武田の山本勘介も、昔は架空の人物だと思われていた。歴史は変化するのである。

 
とおる

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現在サン・マイクロシステムズにて、様々なミドルウェア・ソフトウェアの販売推進・ビジネス開発を担当しています。旅行、食べ歩き、読書が趣味。

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