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おやじが、とち狂ったのではない。老いらくの恋でもない。この歳にして、色魔の自己が表面化してきたわけでもない。実は、日本語のお話である。万葉集に、中臣女郎(なかとみのいらつめ)が大伴家持(おおとものやかもち)に充てた歌がある。

直(ただ)に逢(あ)ひて 見てばのみこそ たまきはる 命に向ふ わが恋止(や)まめ

「お便りだけでなく、じかにお逢いして共寝をすればこそ、この魂の極まる命を限りの恋心も、安らぐでしょう。」という意味だ。「たまきはる」は「いのち」を修飾することばだけれど、この「たまきはる」を分解すると、「たま=魂」「きはる=きはむ=極める」で、「魂の極まるところ」となる。

「いのち」は、「い」と「ち」に分かれ、「い」は「忌(い)む」「斎(いつ)く」という意味。「ち」は「血」や「乳(ち)」など生きているみなもと、霊(ち)と同じで、「斎(い)の霊(ち)」尊ぶべき霊格という意味になる。 

こい(恋)は、もともと「乞う」と同じ意味合いで、「たまこひ」「あなたのたましいをください」ということ。だから、上の歌をもっと紐解くと

魂の極まる、尊ぶべき霊格である命・魂を私にくださいと乞う私の恋も、直接会うことができて、まみえることができたなら成就します

という意味になる。この気持ち、わかりますよね。こう読めば、万葉集もなかなかいいじゃないですか。会いたくて会いたくて堪らない人、意中のひとっていませんか。 

さて、以上の内容は「ひらがなでよめばわかる日本語(中西進著、新潮文庫)」からおおよそは取ってきた。やまとことば(和語)は、和邇氏が「論語」などの本を中国から持ってきて、やまとことばを意味の近しい漢字に割り振ったので、始めには、おん(音)のみがあったわけです。日本語には、漢字から変遷した言葉も多いので、訓読みのことばがやまとことばって、大雑把には捉えられますね。

万葉集など、近しいけれどいろいろな漢字を使っているので、今の用法とは異なりますよね。元本はしろうとには、読めません。まず、音ありきで見てみましょう。たとえば、眼と芽は違う意味になっていますが、もともと「め」という同じ意味だった。とかね。

「さか」「さき」「さく」「さけ」はみな近しい意味で、「さいわい」は、「さい=さき」と「わい=はひ」に分れ、「はひ」とは「けはひ=けはい」と同じで状態が長く続くこと、「さき」は咲くと同意義で、「まわりに花がずっと咲いているような気分」を「さいわい」というそうです。

ここで、また異論もあり、「さ」とは神聖なものの接頭語だという考えです。「さつき」「さみだれ」の「さ」。「さくら」では、「さ」+「座(くら)」で、神聖なもの(精)のすわるところ、という意味もあると言われています。「座(くら)」は、神社の奥にある「磐座(いわくら)」のくらと同じです。「いわくら」は神のいらっしゃるところという意味なのです。

酒(さけ)も案外難しく、いろいろな意見があります。もともと「さき」と呼び、「き」は「しろき(白酒)」や「おみき(お神酒)」の「き」。それに神聖な接頭語で「さき=さけ」になったという意見もありますが、醤(ひしお)の原料のひとつ酒を「さ」と言っていた、それに朝鮮語の接尾語「ケ」を付けたという意見もあります。お酒を「ささ」とも呼びますので、こちらにも利がありそうです。外人が「さけ」と発音できずに、「サキ」「サキ~」といっているのも、あながち、本質に迫っているのかも知れませんね。

いずれにせよ、古代人がこっちが正解と本にしるしてくれてはいませんので、そういった古い言葉を紐解く旅にでるのもいいですね。ちなみに「たび」はなんで「たび」というのか、分かっていないそうです。どう思われますか?

とおる

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現在サン・マイクロシステムズにて、様々なミドルウェア・ソフトウェアの販売推進・ビジネス開発を担当しています。旅行、食べ歩き、読書が趣味。

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