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今あらためて組織力が問われる時代に、”負け組をつくらない組織”の作り方を研究していきます。

部下に尊敬される上司

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これは私の独断だが、上司という立場の人は少なからず部下から尊敬されたいという思いを持っているはずだ。ポジションが人を成長させると言うが、ポジションが人に色々な意識を芽生えさせる。責任感に加えて、それまで以上に他人からどう思われたいか?ということについて考える結果、自意識がどうしても強くなってしまう。どうしたら部下に認めてもらえるか?尊敬してもらえるか?・・・こういったことで逆にストレスを感じて心身のバランスを崩す人も珍しくない。

特に現時点で20代の部下を多く相手にしている直属の上長は苦労が多いと聞く。簡単にこの一言で括ってはいけないのだが、いわゆる「ゆとり世代」という個性を主張できる強さを持った新世代である。彼らの世代が社会に出てくるころから、同時に「草食系」と言われるタイプも多く見受けられるようになった。一辺倒の価値観をある種、義務感のように共有しメジャメントとしてきたそれまでの世代に対して、「ゆとり世代」では個性を大事にすることを重要視していると見受けられる。そして、全ての世代の継ぎ目でそれは存在するように、そこには社会との接合部分においては様々な摩擦をもたらしている。その最たるものが会社などの組織における上司と部下の関係である。

これまでは会社組織にはそれぞれの立場の役割がある程度暗黙の認識(つまり、ルール)として存在していた。会社、上司の言うことをまずは素直に聞き実直に取り組むべきだ、自分の責任範囲外でも組織の為に自らの意思で取り組むべきだ、成長のために食わず嫌いを言わずにチャレンジする気持ちを持つべきだ、上司・目上の人には自分から挨拶するべきだ・・・などのルールが、上司とのコミュニケーションや組織での立ち回りを作っていた。このルールによって上司は尊敬すべきだという一種のルールみたいなものも存在していた。ただし、これからそういうことだけで上司の立場に固執していられることはなくなっていくだろう。相手が上司であろうとハッキリと白黒を言う人も珍しくない新世代には、何となくの雰囲気やルールで上司を尊敬するなんてことはない。そうすると上司は焦りはじめ、どのようにしたら部下の気持ちを掴めるのか?など色々と考えるようになる。どうにもうまくいかない状況であっても素直に”どうしたら慕ってくれるか?”なんて質問できる訳もなく、プライドが形を変えて高圧的な態度になったり、本気で部下の育成に目を向けられない上司がいることも事実である。

部下からどういう点で尊敬されたいか?という質問を、以前部下を持っている役職の人にしたことがある。はっきりと言わないまでも、ある程度は2つのタイプに分かれた。一つは、仕事ができる、営業力がある、知識がある、自信がある、頭がきれる・・・というタイプ。もう一つは、男気がある、心が広い、リーダーシップがある、人間力がある・・・というタイプ。この2つのカテゴリの違いは中々興味深いものであった。前者はどちらかと言うと、「能力」について認めてほしい、後者は「人間性」について信頼してもらいたいという見方ができる。そして、実際に多くの部下や、同僚からも信頼・尊敬を集めるのは後者であった。もしかしたら、部下との関係にぎくしゃくしている上司は前者の意識が強いかもしれない。そんな露骨な人は最近はいないのかもしれないが、過去の実績や栄光が継続的に周囲の人からの尊敬の念を集めていると考えてしまうケースだ。

自分よりひとまわり近く年上のチームメンバーが上司であった私に言ったこと、「自分自身が苦しんでいることを恰好つけずに積極的に部下にさらす姿は、時として上司への親近感を作っていると感じる。」と。あくまでも一つの例であるが、仕事以外の部分で人としての親近感や信頼感を上司自らが率先して努めれば、仕事が多少できないと思われていても逆に慕ってもらえるような気がする。つまりは、部下に尊敬される上司の一つのパターンとしては、素直になれる上司というのは言えるかもしれない。

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