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今あらためて組織力が問われる時代に、”負け組をつくらない組織”の作り方を研究していきます。

20代でのキャリアの考え方 - ②

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前回は、「キャリア」と言う言葉が持つ意味を考えてみた。恐らく、多くの人が簡単にイメージしやすいところで、仕事上や社会人としての経験や実績、また特に給与の高いような仕事をしている人だったりそれ仕事自体のことが、一般的な「キャリア」の捉え方ではないかと思う。「キャリア」が仕事における経験・実績・成功という意味が強いとして、そもそも何のために私たちは仕事をしてキャリアを磨いていきたいと思うのだろうか?

キャリアディベロップメント と キャリアデザイン

終身雇用の習慣が終わり、会社という枠にとらわれず個々のビジネスパーソンとしての成長プランと真の資質が求められることが多くなった。それまでの習慣として終身雇用が根強い日本では、いわゆる「良い会社に入る」 ことが重要視されがちであった為に、逆に入社後に個々の能力をいかに開発して成長させていくのか?ということに関しては、この20年くらいで大きく状況が変わった。そういった背景で、現在は「キャリアディベロップメント(Career Development)」という言葉は、広く浸透していると言えるのではないだろうか。ここで言う「キャリア」は前述の通り、いわゆる仕事・社会人としての経験や実績を指していることが多いように見える。給与、ポジション、経験値、責任範囲・・・ というような事柄を将来の目標に据えて、現在の働いている業界・業種・会社・立場の中でいかに実現していくかを考えることだった。 しかし、この「キャリアディベロップメント」、企業が考える意味と個々の社員が本来考えるべき真の意味には、大きな違いがある。企業側は「人的資源管理」という観点で、社員の視野、考え方を広げるために、多くの経験させ、個々が発揮できる能力の幅を広げ、大きな視野を持ったビジネスパーソンをサポートする。そして、優秀な人材の量と質をを確保したいと考える。しかし、そのサポートの仕方が継続性がなく中途半端だったり、キャリア自体を給与、ポジション、経験値、責任範囲・・・ でしか捉えていないとしたら、逆効果になるケースが多い。そして、これが負け組を作ってしまう組織につながるケースが多い。

個々の社員が考える将来に対する目標やその為に努力するべきこと、そしてそれらを発揮する場所・・・というものは大いに尊重するべきではあるが、企業側が社員に求める資質や提供できる成長の場というのは、必ずしも一致はしない。また、全社員に平等にキャリア開発の機会を与えることも無理である。分かりやすい例を出すと、評価されるべき人はプランに沿って、評価・環境が変わり成長を実感しつつ更に努力を重なる。しかし一方で、何年も同じ仕事で同じような評価しか得られない社員、中々組織自体に動きがない会社・部署などでは、思うように給与レベルが上がらない、思うようにポジションや業務内容が変わらないとなれば、いくらきれいにキャリアディベロップメントのプランを上司と一緒に考えても、段々とその意味は薄れていく。逆効果になりモチベーションの低下が起きる。これは、上司が給与、ポジション、経験値、責任範囲・・・でしか、キャリアを語れていないからである。 (これは余談だが、四半期制を取る企業が増えたおかげで人事の立場から言うと、それまでは3月から5月にかけて年に一度だけ、自身を取り巻く環境の変化と共に退職の相談やメンタルの問題を訴える人が出てきていたのだが、四半期制だとそれが3カ月に1回出てくる。マーケットも会社・組織もスピーディになった結果、より一層社員のモチベーションをケアする仕組みが必要だと言える)

「キャリアディベロップメント」をより効果的かつ実践的に行うには、まず考えないといけないのは ”何故、キャリアを磨く必要があるか?”と言うことである。そして、もっと言うならば ”何故、働くのか?”を自分なりの解釈でいいから理解しないと、何か仕事上うまく進まないことがあって落ち込んだりすると、本質的な目的を見失いモチベーションを下げてしまうのである。以前、中国で働いている時のこと、文化の違いを克服して本当の意味で信頼しあえるチームを作りたいと考え、何の為に働くのか?= 働くモチベーションは何か? を知ろうと、”何の為に働くのだと思うか?”と同じ質問を、日本のチームと中国のチームそれぞれで行ったことがある。結果は、日本でも中国でも 「生活をする為」 と答えた人が最も多かった。正直、少し残念な結果だなとも感じたが、それ以上に分かったことがあった。持てはやされる「キャリア」を実践的に求める人もいるが、多くはもっと現実的なところでしか「キャリア」を考えていないと言うことだ。 つまり、生活を良くする=豊かにする=心を満足させる=幸せになる 為に私たちは働き、努力をしてキャリアを磨くのだ。仕事が成功して得るものは、地位・名誉・経験、そして報酬。全ては人生をプラスに前進させるものだ。正直、会社なんて言うのは人生の一部分の時間を過ごす枠でしかない。会社はつぶれても、私たちの人生は続く。「キャリア」を考える前に、まず自分の人生はどのような生活であれば幸せだと素直に感じれるか?を知らないといけない。それが分かっていて自分の軸にすることができている人はやはり強い。求める最終ゴール=幸せな人生像 が見えているのだから、あとはそこに向かったプロセスを考えるだけだ。しかし、一方で表面的な言葉の意味でしかキャリアについて見れていない人は、ブレやすくモチベーションが下がるタイプとなる。

キャリアについては、もう一つ別に「キャリアデザイン(Career Design)」という方法で考えることもある。これは、仕事上の経験や実績にとどまらず、生活レベルや考え方、生き方についてまで視野を広げて、人生設計的な観点で自分自身をみつめて、その中に一つの要素しての仕事を見据える手法である。これからの組織は、まさにこのような仕事のみならず人生をどう語り合えるか?という部分で上司と部下の関係があると良い。人間としてまずはお互いに尊重もしあえる関係にも繋がるだろう。

ということで、次回はこの「キャリアデザイン」をサポートする立場としての上司がどのように部下にアドバイスなりをしていけば良いかについて書きたいと思う。

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