ミスを絶対に許さないという考え
いずれの組織も必ず何らかの目的を共有し、その為に存在している。それを達成させるためにこれまでにも述べたような人材育成やコミュニケーション方法など、マネージャーには多くの資質が求められる。言い換えれば、やはり最終的には結果を出せる人でなくてはならないのである。
ミスを絶対に許さないという考え
人間は間違いだと分かっていても、注意されなければそれは許されていることだと勘違いをする。従い、ミスを繰り返してやってしまう人間と言うのは、それが間違いだという強い認識がない場合が多い。これは環境による影響が大きい。生まれ育った環境、家庭環境、学校の環境、会社の環境など、それまでの教育、いわゆる「躾(しつけ)」に影響されている。何を良しとし、何を悪しきと考え、行動するかである。
組織でもこの躾が人材育成の過程において重要な意味を持つ。組織として悪しき事柄と考えるものはやはりできるだけその場で注意をしなくてはいけない。そこには、相手への気持ちの配慮として言い方や伝える場所などは準備されるべきと思うが、何が良くて、何が悪いかの軸・指針はブレてはいけない。ここで組織の責任をおう立場のマネージャーとして求められるのが「ミスを絶対に許さない」という考えである。ちなみに、組織の責任者自身が正しく躾されずに育ってその立場になっていたりすると、その人がマネージする組織は規律・統制を守ることができない。組織で上に立つ人の人間性が良くも悪くも組織を変えるのであるからして、常に自分の合える影響力については、考えるべきである。
パワーハラスメントというような言葉が簡単に使われるようになってからは、企業は中間管理職を対象としたトレーニングなどをよく実施してるが、それでも”厳しく管理をする”ということを、プレッシャーをかけ追い込むように「恐怖」でチームメンバーをドライブするとイメージしている人もやはり実際には少なくないのが現実だ。確かに、これ以上プレッシャーがかかったら不正行為をしてしまう寸前まで追い込んで初めて結果は最大値に引き出せるという風に私も言われたことがあるが、これは一過性の手段に過ぎず絶対に長続きはしない。厳しく管理とは文字通り管理自体を厳しくすることである。
優しく言いながらも、妥協せずに言い続けることだ。やると決めたことは必ず何があってもやり通す、漏れること無く毎日毎回言い続ける、細かいデータをトラックして分析して示す、小さな矛盾も見逃さない・・・など、そのまま管理を厳しくするだけであるから、接し方は逆に接しやすい雰囲気でなくてはならない。やると決めたことは必ずやるといつ強い信念と絶対にミスを許さない・妥協をしないという執念を優しい気持ちで包んで、部下に丁寧に与え続けることである。とにかく、頭ごなしに自分の感情でメンバーを注意したりする上司がいたら、それは即刻失格といっても良い。松下幸之助も言っているように組織を守る人は常に人格者でもなくてはいけないからだ。人格者でない人が上司になるほど部下にとって不幸はない。