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今あらためて組織力が問われる時代に、”負け組をつくらない組織”の作り方を研究していきます。

人にモノを教えるということ -理解してもらうこと-

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コミュニケーションの目的の一つに、“理解させてできるようにさせる”がある。いわゆる“教育・コーチング”と言われるものだ。関連する書籍や方法論は色々と存在するが、現場で指導をする立場として本質的に理解すべきことは何だろうか?

まず、“教える”と言うことの本質的目的を考えてみる。目的は“教える相手が、教えた内容を理解して、実行できる様になる”ことだ。つまり、相手が出来る様になって初めて目的は達成されると言うことを忘れてはいけない。私もよく“伝えた”という行為だけで、“教えた”と勘違いしてしまうことがある・・・。これではコーチングにはならない。自分自身が何か新しいことを覚えてできるようになった=習得したと言える時のその過程を思い出して欲しい。口頭で説明をされただけで、いきなり出来るようになることは稀なはずだ。つまり、コーチングの本質的な目的が、教える相手がそれを習得することにあるなら、その習得過程に沿って考えられるべきである。

そういう意味では、”覚える”という過程には大きく分けて2つのステップがある。“理解”と”実行”の2つである。

教える → 理解する → 実行する

これらに沿ってコーチングは形成させるべきなのだ。


”理解”してもらうには

まずは素直な気持ちを引き出すこと。頭ごなしに命令をしてもこれでは、孔子も論語で記しているように恐怖で人を動かしていることとなり恐怖が消えればやらなくなる。相手の素直な気持ちの状態に、ちゃんと教えてあげることがコーチ役の腕の見せ所である。

> プレゼンターとしての準備 (声の大きさ、話内容・順番、身振り手振り、目の動き、服装・・・)
> 興味を持たせるエンターテイメント性・分かりいシンプルなメッセージ (頭に入りやすい言い回し、言葉・単語)
> 気を引く視覚的に鮮やかな資料 (興味を引きつける)
> 相手への理解 (相手の心理状態、性格、経験値や年齢、集中できるタイミングか?場所か?を考慮)
> 正直な気持ち (飾らずに本音で接して説得力を増す)
> 目的・理由を正しく説明する (本質的な意義を見失っては意味がない)
> 継続的なフォロー (コロコロ変わる指示はまず聞く気になれない)
> 熱意・強いリーダーシップ (信頼される存在になること)
> 自分自身の努力を認めてもらう (特にタフなことをお願いする際には、まず自分が努力をする)
> 学習の確認(テスト)の実行

など、他にも色々と効果的にコーチをするヒントはあるかもしれないが、いずれにしても大切なことは学習する相手にとって適切な”環境”が整えられているか?という点である。

これはミーティングとも同じなのだが、皆さんも会社などで参加者が退屈そうで消極的なミーティングを体験されたことがあるだろう。もし皆さんがそのミーティングの責任者やリードする立場だったとしたら、それに対して「もっと集中しろ」とか注意するのは危険である。興味を持ってもらい、すんなりと頭に入れてもらえるように・・・との環境配慮が足りてないことが先ず一つ目の問題だからだ。弱いリーダーシップ、熱意の伝わらない態度、見難い資料、分かりにくい説明、だらしの無い服装に覇気の無い喋り方・・・ 誰がこんな人の説明に興味津々に耳を傾けるだろうか?仕事の現場においては社員それぞれの仕事への責任感が幾分かはそれらを補うかもしれないが、最終的に理解をするにはそれなりに伝える・教える側に努力が必要だ。


伝える・教える側の心構え

上記のような環境への配慮の前提として心に留めておくべきことがある。それは”相手への過度な期待をしない”ということである。分かり易く言うと、「理解してくれるだろう」 とか 「これくらいは理解すべきだ」 というような、教える側の期待である。 コーチングにおいては、そのような油断が結果的にミスにつながる。そして、その結果に対しての責任は教える側のコーチにある。人間だから、体調や気持の波があるし、苦手な分野もあれば、相性の悪い上司と部下ということだってある。時には仕事への情熱や強いモチベーションが下降しているメンバーもいるだろう。とは言っても、コーチ役であるリーダー・マネージャーというのは結果を求められる。であれば、甘えを排除して相手が誰でもどんな状況でも最終的に”習得する”という結果を作ることがコーチのスキルになる。実際には組織・チームを作っていく上で、積極的に仕事に取り組んだり成長したいと思えるような環境を普段から意識することが必要なのだが、その前提として組織は人である以上、様々な要因でミスをすることが当たり前なんだと心しておかないといけない。リーダー・マネージャーも人間なのでそこまで割り切るのも時として難しい場面もあるとは思うが、これら全ての努力の上に最終的に“熱意”があって初めて“理解”は生まれる。


さて、”理解”という状況を脳科学的に言うと恐らくは論理・理屈を理解したということになるだろう。しかし、その殆どは実際に行動として活かされて初めて意味をなす。ということで、次回は”理解”から”実行”に転換する部分をいかにコーチがサポートできるか?についてです。

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