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今あらためて組織力が問われる時代に、”負け組をつくらない組織”の作り方を研究していきます。

人にモノを教えるということ -実行してもらうこと-

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前回からのつづき。
「覚える」という過程には大きく分けて2つのステップがある。「理解」と「実行」の2つである。

教える → 理解する → 実行する

これらに沿ってコーチングは形成させべきということで、教える相手に理解してもらいやすい環境を作れるかどうかがポイントということを前回は書きました。本日は、次の段階である「実行」をサポートするコーチングについてです。

“実行”してもらう為には

これは具体的に何を教えるかによってサポートの仕方は違ってくるのだが、少なくとも頭で理解しているだけでは何も実行は出来ないということは共通して言えることである。言語の習得にしてもそうだが、教科書で単語、文法、発音を理解したとしても、そのまま話が出来るようになるかと言うとそうではない。つまり、インプット(理解)とアウトプット(実行)と言うのは別の回路なのである。例えば、世界最高プロゴルファーであるタイガー・ウッズは何故にあれまでの精巧なショットを打てるのか? 当然、科学的な分析に基づいた身体や筋肉の使い方は彼の頭の中で理解されているはずだ。しかし、それだけであれほどのショットは打てない。抜群の反射神経、鍛え抜かれた筋肉、そして何度も繰り返し訓練された結果、身体の筋肉・細胞がそのベストなスウィングを覚えたからできるショットなのだ。来る日も来る日も同じショットを繰り返し練習して、目を瞑っても同じ動作が出来るくらいまでに身体の隅々に覚えさせた結果である。

アウトプットとはどんな動作にしても必ず身体の筋肉を使う。話す、書く、動く、見る・・・何をするにも細胞や筋肉のレベルで理解しなくてはいけない。余談だが、運動神経が良いと言うのは頭で想像したことを実際に動作に変換できる能力を指すのだと私は思っている。では、「教える・コーチング」において教える側の立場になって「教える」ことの本質的目的を考えてみた場合、細胞や筋肉のレベルに働きかけるサポートをしないで教えたことにはならないのではないか。アウトプットのないトレーニング・コーチングは最終目的を達成し得ないのではないだろうか。従い、理解してもらいやすい環境整備に加えて、覚えたことを実際に実行させるテストやデモンストレーションをコーチングにおいては考慮しなくてはならない。アウトプットする作業無くして定着は無いというつもりで最後までサポートすることが大事だと思う。営業のトークであれば実際に話をさせるし、計算であれば実際に計算問題解かせるし、何かをリードするなら実際にミーティングなど仕切らせるし、とにかくやらせて実体験させることだ。私自身、本で読んだり、人から聞いたりして覚えたことは極力誰か他の人に実際に自分の口で話をするように徹底している。これによって単に本など他の情報の受け売りだったのが、自分の言葉として脳に定着をするからだ。ここまでのサポートをプログラム化することで、「教える・コーチング」の形になったと言える。

“やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ”

山本五十六のあまりにも有名な言葉である。人を教育する上での基本的な姿勢を言ったものであるが、実はこの言葉には続きがある。

“話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず”
“やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず”

人の心を動かす以上に、それを認めてあげなければ人は育たない・自信を持てない。そして、最終的に見放さずに信頼しているという気持ちと感謝の気持ちが人としての本当の成長を相手に与えるのだと、私はこれを解釈した。人に何かを教えるということは、本来心の底からの言葉でなければならない。大げさに言うならば、「教える」というのはその一つテーマを通して、人を育てていることと同じだと思う。愛情なくしては人は育たず。愛情を持って、小さなことにも配慮してサポートしてあげることが人にモノを教えるということなのだろう。結論として、人は何に動かされるのか? 答えは「情」になる。愛情、友情、根性、信念、誠意、覚悟・・・これら人間の心底から沸き上がる純粋な思いこそが心を動かすと信じている。相手がちゃんと聞き入れてくれない、何度教えてもやってくれない・・・などという問題は、実は教える側の自分たちに原因があるのでは・・・。本当に理解してもらおうと、ベストな環境を作れているか? 単に頭に入れるだけじゃなく実行(アウトプット)できるようにサポートしているか? 心から相手のことを考える自分がそこにいるか?コーチであるリーダー・マネージャーにとって、常にこれが勝負の分かれ目なのだと思う。

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