オルタナティブ・ブログ > 一般システムエンジニアの刻苦勉励 >

身の周りのおもしろおかしい事を探す日々。ITを中心に。

ゆうパックの遅延に垣間見えるクラウドコンピューティングの2つの問題

»

ゆうパックとペリカン便の統合に関連する混乱が収束に向かっているとのことです。

『ゆうパック、1週間でやっと正常化 応援要員派遣で混乱収束へ - ITmedia エグゼクティブ』
http://mag.executive.itmedia.co.jp/executive/articles/1007/07/news018.html

宅配便というのは「物流」の一部分を切り出して外注するサービスです。物流というのはトラックや倉庫などを用意する必要があるインフラビジネスですが、様々な会社から物流を受託することで専門企業となり、今の繁栄があります。もっとも、インフラビジネスである以上は巨大さがモノを言う部分もあり2大勢力を追う3番手が焦りのあまりに混乱を引き起こしたのでは、という見方もあるようです。

さて1番目の問題点ですが、他の業者にトラフィックが流れたことにより共倒れになる危険性があった点です。今回の混乱では「ならヤマトにするか」とか「なら佐川にするか」という観点で代替サービスに流れた人が少なくなかったと思われます。

誰もが自分のサービスに障害が影響することを回避したいものですから、代わりの業者を利用しようという発想は自然なものです。実際にさくらんぼ業者によるお中元の発送などでヤマトへの切り替えなどがあったようです。今回は報道レベルでこそ影響が確認されていませんが、その他の業者の取扱個数は異例なほど増えたのではないかと予想されます。金融機関では「統合」等のイベントに際しては万一のことを考えて他の金融機関が現金を多めに準備しておくという噂を聞いたことがあります。今回はもともとお中元でスタッフを厚くしていたのかもしれませんが、ひょっとすると混乱を予想して準備していたのかもしれません。

また、一部報道によれば板橋支店でゆうパックの影響が通常郵便にも現れた、とのことです。これは店内でのスタッフの振り分けの結果起きたとのことです。

クラウドコンピューティングですと、あるサービスが落ちた際に互換性のある別のサービスにトラフィックが集中するかもしれないということが言えます。クラウドコンピューティングそのものとは違いますが、twitterやFacebookに対する大規模な攻撃が発生した日、アキヒトさんはブログにこのように書いています。玉突き事故のようにクラウドコンピューティングサービスが次々と落ちていく事態があるかもしれない、そういったことを考えなくてはなりません。

また昨夜は「Twitter 避難民」「Facebook 避難民」がネットにあふれ出した関係で、類似のソーシャルメディア(FriendFeed など)が一時的に重くなるという影響もありました。僕も FriendFeed に避難していたのですが、断続的にアクセスができない状況が発生し、被害の大きさを実感しました。

『ソーシャルメディアが死んだ日:シロクマ日報:ITmedia オルタナティブ・ブログ』
http://blogs.itmedia.co.jp/akihito/2009/08/post-005a.html

2番目の問題点は、障害が大規模化する点です。

2008年にAmazon S3がサービスを停止した際にはtwitter等の他のサービスに影響が出ました。これもまたアキヒトさんのブログに記述があります。

ダウンは米国東部標準時間の15日午前7時30分頃に発生し、10時17分に復旧宣言が出たとのことで、Twitter など S3 を利用していたWEBサービス等に影響が出たそうです(Twitter は画像データ保管用に利用しているのだとか)。

『"Amazon S3"という発電所の停止:シロクマ日報:ITmedia オルタナティブ・ブログ』
http://blogs.itmedia.co.jp/akihito/2008/02/amazon-s3-19c8.html

例えば農家の人が自分でトラックを運転していたとしたら、ある農家のトラックにエンジントラブルがあったとしても報道沙汰になることはなかったでしょう。あるひとつのサービスに特化することでスケールメリットを発揮し、非常に大きな企業となった場合にはそういった危険性が伴います。

しかし考えてみれば高速道路に陥没があっても、7月7日にPCで炸裂する「七夕ウイルス」のようなものがあっても、トラックに対する最高レベルのリコールがあっても、新型インフルエンザの再来があっても、きっと影響を及ぼしたことに違いはないでしょう。そうすると今の世の中というのはなんと複雑に入り組んだ状態で運営されていることだろうと、そう思います。

お中元は本来自分自身で持参するものとされ、デパート等では必ず「持参」というオプション(一旦自宅に宅配され、持参できるようちょっと立派な紙袋がついてくる)を選べるようになっています。昔は礼儀の問題だけでなく、今ほど物流に対する信頼性がなかったということもある気がします。それがいつしか業界の努力によってお中元は届けてもらうもの、そして滅多に失敗のないものという地位を築くことに成功しました。IT業界も「障害は予見不可能」とか「ユーザの努力不足」というようなことを嘯いていないでそのような地道な努力を積み重ねる必要があると思っています。

Comment(0)

コメント

コメントを投稿する