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思ったより高い撤去費用(サーバーとかアナログテレビとか)

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実家のアナログテレビを買い換えることになったのですが、リサイクル費用が思ったより高いですね。約3000円で、今なら見合った額のエコポイントがつきますが思わぬ出費があると損した気分になります。

そういったことのないよう、企業会計では積立金(引当金)をしておくことがあります。コンバージェンスの一環として2010年4月から資産除去債務が適用になるということで大変な思いをしておられる会計担当者の方も少なくないのではないでしょうか。

実家のアナログテレビはひょっとすると2011年まで何かの用途があるかもしれない、ということでひとまず引きとってもらわないことにしました。となると時期を見て自分で回収拠点に持っていくなどしないといけないのですが、実家から車で10分ほどのところに回収拠点があるので困ることはなさそうです。

さてこれが情報満載のサーバ機器だと大変なことになります。会社の仕事として経験があるのですが、「足元見てるだろ」と言ってやりたくなるほど高い費用を請求されました。でもよくよく考えるとそういった費用になるよな、と思います。

細かな手順はあまり覚えていませんし、私の担当外の作業は憶えていないので非常に不完全ですが、こんな感じだったように思います。

  1. 障害検知システムから撤去対象のシステム一式を切り離します(忘れるとえらいことに)
  2. 撤去しないネットワーク機器で、撤去対象のシステムと接続のある部分は設定を修正します
  3. サーバのデータを消します。いわゆるグートマンのおすすめ(上書き35回など)ではなかったと思います。(そうだったとしたら恐ろしい時間がかかっていたはずなので)が、何かごちゃごちゃとやっていたような気がします。
  4. 抜線します。障害検知システムとにらめっこしながらです。緊張する作業です。
  5. サーバなどラックの中の機器を下ろします。
  6. ラックを分解します。
  7. 運び出されます(磁気テープなど付属物もいくらかは持っていってくれたような)→10へ
  8. 原状回復します(耐震補強、電源ケーブルまわりの整理、電源や空調などの設定変更など)
  9. サーバルームの見取り図やら配線などの構成図やら書類の整備があります
  10. 後日、物理的に破壊したりリサイクルしたりする工場の作業結果が来ます

この作業のいずれにも素性の知れない人や企業が入ってはいけません。また、データセンターですので入退館にはデータセンター側の人間が同伴するなど見えない負荷も高いです。もし山林かどこかにサーバが打ち捨てられていて生データが発掘されたようなことがあったらこの業界では生きていけませんので、本当にしっかりした回収企業を選ばなくてはなりません。

SIerとしてお客様の機器を撤去するということであれば、これらを撤去計画にまとめ作業内容や担当企業について承認をいただいておくことが必要です。もちろんデータセンター側でも撤去計画のレビューが必要です。場合によってはお客様の立会と、SIerのSE、メーカーのCEさん、場合によっては応援のIT技術者、データセンターのインフラ廻りの人、運送業者、など多くの人が一同に会します。サーバラックの鍵が見つからないとかそういう冗談は洒落になりません。事前に確認出来る範囲で配線図などが間違っていないかをチェックし、集まれる人間でリハーサルをしておきたいところです。そして作業が終わったら、作業レポートをお客様の納得する形で提出しなくてはなりません。サーバが粉々になるところまで見守ることはできませんので、信頼のおける企業からのレポートが必要になります。作業実績や、何とか認証の証明書などの添付が必要な場合もあるでしょう。

インターネットで業者が「いくらです」と相場を出しているところは見つけられませんでしたが、官公庁の開示資料を検索すると随意契約の情報公開でなんとなくその費用を見て取ることができます。具体的には示しませんが、思ったより高く感じるという方もおられるのではないでしょうか?これらは官公庁=発注者が請負業者に支払った額でしかありません。発注者も撤去計画を分析し、承認し、場合によっては立ち会い、作業が完了したレポートをチェックするという作業が発生します。

エコの観点からも、運用コスト削減という観点からも、仮想化などの技術によるハードウェア集約に注目が集まっています。しかし撤去コストが大変という観点からも軽量級サーバのスケールアウトよりも重量級のサーバへの集約にメリットがあると言えそうです。

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