iPadでボルトの付け忘れをチェック?
新幹線のボルト付け忘れが原因でダイヤ乱れがあったそうです。
最近何冊か飛行機の事故に関する本を読みました。人が忘れてしまうものはたくさんあるようでして、着陸時に車輪を出し忘れたですとか、ピトー管のマスキングテープを剥がし忘れたですとか、離陸時にフラップを出し忘れたということがあるようです。
それを防ぐため警告装置がなったり警告灯がついたりという対策が行われるのですが、緊急時に非常に多くの警告が現れると何が重要かわからなくなるという危険もあります。そういった場合には緊急用のチェックリストを用いて、焦らず順番に、重要なものから立て直していくということが行われるそうです。
一方で企業ではそのような緊急事態用のチェックリストよりも普通のチェックリストが用いられます。例えば何かの法令に違反していないかどうかを社員自らが点検するというようなチェックです。今回のボルトの付け忘れのような作業もチェックリストが適性に作成されていればミスを防ぐのに効果があると思われます。(情報システムの分野では「データ復旧作業チェックリスト」のようなものがよく見られます)
しかしながらチェックリストの作成や、維持メンテナンスにあまりに膨大な手間がかかるようであればチェックリストを用いることは現実的ではありません。精神論には限界があり、チェックリストを用いた上で最大限の集中力を発揮せよということは非常に難しいものです。チェックリストを用意すれば、それを過信してチェックが緩くなるのが人間というものです。
また、チェックリストの存在自体を周知徹底させることもまた難しいものです。ひとつの作業に対してチェックリストが5つも6つも必要になった場合、チェックしていないチェックリストが現れても発見できません。固くやるならばチェックリスト確認チェックリストというメタチェックリストのようなものが必要になるでしょう。それでも古いチェックリストを使用してしまったり、異なるチェックリストを用いてしまうということの危険性はなかなか減らすことができません。
それを解決するものとして、iPadのような大きめのデバイスは向いていると思います。例えば新幹線の修理のような用途では画像を表示することができますし、必要となるすべてのチェックリストを最新の状態で表示することができるでしょう。そして結果をネットワークごしに送信することができます。またチェックリストで最も怖い「後からまとめてチェックする」ということも防ぐことができますし、作業結果をiPad内蔵のカメラ……おっとこれは禁句でしたね。
他の分野でもiPadは重宝することと思います。以前私はコンビニでバイトしていたのですが、バイトし始めてしばらくはハンディ端末に搭載された5センチ四方くらいのモノクロ液晶とボタン入力で発注作業を行っていました。それがしばらくしてA5サイズくらいの液晶を備えたタッチペン入力式に切り替わりました。情報量が増えて発注の精度が上がったということもあったかもしれませんが、イマジネーションが豊かになると仕事も楽しくできます。コンビニやスーパーでは携帯情報端末が既に普及していますが、まだ普及していないような分野までiPadは侵食していくでしょう。それが安全であったり、おもしろいビジネスのアイデアであったり、そういったプラスにつながって欲しいと思います。