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2009年衆議院選での対決から提案書のヒントをもらう

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とうとう民主党政権が始動しました。鳩山内閣の支持率は77%とのことです。

ビジネスの現場、特にわかりやすいのが情報システムの現場でも同じような構図はよく見られます。ある時点でお客様が情報システムになんらかの不満を抱き、それを現在のパートナーであるベンダーに相談します。その裏で別のベンダーとコンタクトして競争させるといった状態です。

さてこういったときに起こりがちな現象を考えてみます。会社の名前は自民システムズと民主データ開発としておきましょう。発注元の会社はジパング商事とします。なおこれは今回の選挙から着想を得て架空の提案を想像してみたものです。今回の選挙はこうであるという比喩や風刺といった意図で考えたものではありません。リプレース案件を経験するときの守るか攻めるかのどちらの立場でもヒントになるようなことがあれば幸いです。

-想像-

自民システムズはこれまで長い期間に渡ってジパング商事のシステム開発を受託してきました。ホスト全盛の時代からオープン系に変わるまで、IT化のほぼすべての時代を担当してきたと言えます。しかし景気の悪化に伴いジパング商事はIT予算の額、またITに関する考え方について疑問を感じます。そこで現在保有しているシステムのハードウェア保守契約の満了に伴い全面的なリプレースを考えることになりました。

ここでジパング商事の内部では自民システムズに相談する前に内部で反省会を開きます。その反省会ではいつの間にか「自民システムズの言いなりになってきたことが原因ではないか」という疑問が呈されます。そこで競合ベンダーである民主データ開発にもリプレースの提案の機会を与えることにしました。

民主データ開発はチャレンジャー側です。現在のジパング商事の役員の勢力配置や、末端レベルの業務フローのごちゃごちゃ感などあまり気にしないで威勢良く提案書を書き上げていきます。

そして自民システムズも提案書の提示を求められ、民主データ開発との提案競争になることを知ります。自民システムズは現在のパートナーであり、自らもその認識があるために「実情をよく知ること」を前面に押し出します。現実との乖離を感じさせるような提案書は営業サイドと現場サイドとの距離感を強調してしまいますし、何より手堅い内容こそが安心感につながり、現実味のない提案書など相手にされないだろうと信じているからです。

民主データ開発はそういった視点とは異なり、わかりやすい問題点を見つけ、それに対する改善案を記載していきます。それが実現しやすいかどうかはあまり問題ではありません。新たに参入するものとしては、実現性で戦うのは圧倒的に不利なことはわかりきっています。それよりは、これまでにない新たな視点から価値をできることを強調するほうが、後発参入するものとしての立場を有利に使うことができます。「新たな視点」は時に的外れになって失望感を伴います。しかしその新たな視点が共感を誘った場合は大きな期待感を生みます。

自民システムズの場合、何か問題点を認識したときに「実情」を知っているがゆえにアンタッチャブルなことであると判断し、その問題を追求しないことを選んでしまうかもしれません。もしくは対処が難しいことを認め、若干の改善策をひもづけるに留まります。また、そもそもその問題点を引き起こした責任の一端が自分たちにある場合もあり、その場合は「理由をつけて正当化をする」という提案とはまったく反対のアリバイ作りに向かってしまうかもしれません。反対に、そういったしがらみのない民主データ開発は容赦なく問題を問題であると断定することができます。

また、自民システムズはこれまでの長い付き合いの中で「ジパング商事」専用の部隊を組織し、「それしかできない」人員を多く抱えたり、これからもその関係が続くものとして開発環境や教育などに先行投資を行ったりしています。そうするとお客様が改革を求めているのに対し、軌道修正のレベルで対応を図ってしまいます。

一方の民主データ開発ではそもそもが新規案件の受注に向けた特別プロジェクトを召集している体制です。特にこれまでのしがらみなどはありませんので、集まった人が持つスキルの中から有効そうなものをピックアップして投入することになります。もちろんこれまで何年も包括的なサービスを提供してきた自民システムズと比べれば厚いところもあれば薄いところもあります。しかし新しく体制を作って挑むことで歪みの少ない提案を行うことができます。

これらをまとめると、

これまで長く付き合いのあるベンダーでは、

  • 解決が難しい問題は先送りする
  • その問題の責任が自社、またはお客様のキーマンにある場合はなかったことにする
  • 先行投資を回収したい

といった問題点があるように思います。一方、新しく参入してくるベンダーでは

  • 問題点は問題点であるとズバリと認識して課題発見力をアピール
  • その問題の責任が現行ベンダーにあるとなれば厳しく追及、お客様のキーマンにある場合もベンダーの責任として「うちに変わればすべてうまくいきます」と営業アピール
  • しがらみが少ないことから提案を顧客視点で考え、自社が利益を厚く取れるよう恣意的な提案を行って構成を歪めるようなことをしない

というメリットがあるように思います。特にそれぞれ1点目であげた問題は提案の結果に対して大きな影響を与えるのではないかと思います。

大きな問題があるのに、その問題の解決が難しいために言い出せなかった現行ベンダー、問題は問題として実現性などあまり考えずにキャッチーな提案を行う新規参入ベンダー。

リプレースの発注をかける側はリプレースに革新的な何かを求めてしまう傾向にありますので、(稀に「現行どおり」に固執するケースもありますけれども)そういった観点からは多少非現実なくらいの夢っぽい提案が好まれるのかもしれません。

そもそもそういった「革新的なリプレース」を求めたいと思わせた時点でベンダー失格ですね。普段からしっかりした仕事の積み重ねを行っていれば防げるのではないかと思います。いや、しかし要件定義(=顧客要求仕様)が腐っていてベンダーもなんとかがんばって対応したのに評価が得られず数年で見切られた、という話も聞かないわけじゃないなぁ(苦笑)。

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