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新制度での情報処理技術者試験の合格発表がありました

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平成21年度から情報処理技術者試験が大きく変わりました。その新制度での合格発表が本日で出揃いました。

統計情報が発表されていますので確認してみましょう。その前に注意事項として新制度と旧制度での「プロジェクトマネージャ」や、「ソフトウェア開発技術者と応用情報技術者」や、「テクニカルエンジニア(セキュリティ)と情報セキュリティスペシャリスト」では新旧の合格者数や合格率の比較に大きな意味はないかもしれません。それはそれで新旧で内容が大きく変わったのかそれとも変わっていないのかが明らかになりそうです。そういった意味で新旧を比較してみます。

ITパスポート試験

まずはまったく新しく始まったITパスポート試験では46,845人が出願、39,131人が受験、28,540人が合格しました。実に合格率72.9%ということで、やはり合否よりも何点で合格したか、どの分野が強いかというスコアに注目していくようになるのではないかと思われます。

基本情報技術者

  平成21年度(春) 平成20年度(春) 増減
出願者 90,752 90,065 +687
受験者 64,544 62,607 +1,937
合格者 17,685 12,933 +4,752
合格率 27.4% 20.7% +6.7%

新旧で名前の変わらなかった基本情報技術者ですが、初級シスアドとの合体が行われました。90,752人が出願、64,544人が受験、17,685人が合格しました。合格率は27.4%です。平成20年度の春の基本情報技術者試験と比較してみると、合格率が上昇しています。初級シスアドは平成20年度春の合格率が32.6%なのでその中間に落ち着いたようです。今回、平成21年度春にはラストと思われる初級シスアド試験も行われました。そちらの合格率は33.4%になっています。

応用情報技術者

  平成21年度(春) 平成20年度(春) 増減
出願者 56,141 52,539 +3,602
受験者 36,653 31,602 +5,051
合格者 9,549 5,371 +4,178
合格率 26.1 17.0 +9.1

ソフトウェア開発技術者は応用情報技術者となりました。こちらもすっかりと合格率が上昇しています。試験前の印象からすると難しくなりそうな雰囲気でしたので意外です。受験者のほうも制度改定を意識してまじめに勉強したかもしれないですね。

プロジェクトマネージャ

  平成21年度(春) 平成20年度(秋) 増減
出願者 16,241 14,610 +1,631
受験者 9,372 8,741 +631
合格者 1,187 1,061 +126
合格率 12.7 12.1 0.6

秋から春に移籍したプロジェクトマネージャ試験ですが、それほど大きな変革はありませんでした。受験者が増えたことはめでたいことであるように思います。なお、同様にプロジェクトマネジメントの資格として知られるPMPの合格率は5割を超すと言われます。受験資格がない情報処理技術者試験と、何千時間などのプロジェクトマネジメント経験を必要とするPMP試験では自ずと合格率は変わってくるのでしょうが、輸入されてから早くも2万6千人を超す合格者がいるというのは少し増やしすぎではないかとう気もします。8年以内に大卒で4500時間、それ以外で7500時間のプロジェクト管理経験(プロジェクトマネジメントの指揮・監督する立場での経験)を積んでいる人が日本にそんなにいるんだろうかといつも疑問に思います。ただPMPの教科書は本当に勉強になりますね。会社が受験費用を持ってくれたら受けたいと思っています。

データベーススペシャリスト

  平成21年度(春) 平成20年度(春) 増減
出願者 18,538 17,849 +689
受験者 11,887 10,886 +1,001
合格者 1,912 1,242 +670
合格率 16.1 11.4 +4.7

テクニカルエンジニア(データベース)がデータベーススペシャリストと名前を変えて行われました。何年か前に2回の不合格の後に合格しました。難しいですがとても勉強になった試験でした。合格率は若干高くなっています。

情報セキュリティスペシャリスト

  平成21年度(春) 平成20年度(春) 増減
出願者 25,377 22,742 +2,635
受験者 16,094 13,665 +2,429
合格者 2,580 1,889 +691
合格率 16.0 13.8 +2.2

情報セキュリティに関する2つの資格、テクニカルエンジニア(セキュリティ)と情報セキュリティアドミニストレータが統合された試験です。意外だったのは受験者の伸びがさほど大きくなかったこと。昨今の情勢からしてごっそり増えるかと思いました。ひょっとすると資格を有効に使える立場の人たちには一通り行き渡ったのかもしれません。

エンベデッドシステムスペシャリスト

  平成21年度(春) 平成20年度(春) 増減
出願者 5,875 5,964 -89
受験者 4,080 3,995 +85
合格者 689 539 +150
合格率 16.9 13.5 +3.4

組み込みシステムに関する資格テクニカルエンジニア(エンベデッド)がエンベデッドシステムスペシャリストに改名されました。ほとんど変化は見られません。自動車業界では組み込みシステムの技術者が不足して大変だったと聞きましたが、違う方向で業界が大変なことから技術者不足が緩和されるのか、それともエコのためにスマートなドライブを実現すべくより高度な組み込みシステムが必要とされるのか、おそらく情報処理技術者試験の全区分の中で一番おもしろい資格なのですが、注目度が低いのが残念です。

システム監査技術者

  平成21年度(春) 平成20年度(春) 増減
出願者 5,313 7,347 -2,034
受験者 3,271 4,145 -874
合格者 455 422 33
合格率 13.9 10.2 3.7

システム監査技術者は集計をミスったかと思うほど出願者・受験者が減りました。他の区分が増えた分削り取られたのかもしれません。合格率は高めになっています。

私はこの「システム監査技術者」の区分を受験しました。情報システムの存在感が高まるにつれてシステム監査の役割は重要性を増しつつあります。例えば先日も「重要な欠陥」がニュースになりました。内部統制報告書の開示に伴い「重要な欠陥」が開示されたものです。

「重要な欠陥」の開示企業が3社、内部統制報告書の提出は250社超に
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20090622/332404/

今回の「重要な欠陥」にもあったのですが、例えば業務システムのバックアップに不備があって期中のどこかの会計データなどがLOSSしてしまうようなことがあると正確な会計報告ができません。ではバックアップの設計書のレビューをしっかりやって日々のバックアップオペレーションをミスらなければそれでいいかというとそうでもなく、例えばデータの増加トレンドであったりバックアップジョブの終了時間であったりということを定期的に点検して、危なくなる前に手を打つという体制が存在するか否かを調べてお墨付きをあげる人というのが必要とされています。システム監査というとカバー範囲が広くていまいち何をやっているのかがわからないのが受験者の減少にもつながっているんではないだろうか、と思ってしまいますが、ともあれそういったあたりもカバー範囲のひとつです。

今年やっとこさシステム監査技術者試験に合格いたしました。日々の運用や開発でこれほどためになる試験はありません。少なくとも応用情報技術者やデータベースの試験よりも助けられる場面が多いです。次はシステム管理かな、と考えています。

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