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知ってるようで知らないベルマーク

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息子の保育園の「ベルマークがかり」になりました。「いきものがかり」ではありません。知ってるようで知らないことが多くて驚きます。

まずはベルマークの活動は2008年現在59社の企業によって行なわれていることです。よく見かけるのでもっと多くの企業が参加していると思いきや、少ないんですね。

そしてベルマークは勝手に集められるものかと思いきや、学校や福祉施設などだけが集めることができます。(原則です。例外あり。詳細はベルマーク財団にご確認ください。)おそらくベルマークの主催者側の問題なんだと思いますが、学校単位での運用が求められるため、学級で集めたとしても最終的に学校単位で合算しなくては財団に送り出せません。もちろん財団がポイントを確認し積み立てられた後は、学校側の裁量でポイントを使えることになります。例えば学校全体で使うものを買ってもいいですし、集めた実績ベースで学級単位にポイントを振り分けることは自由です。

そしてそもそもベルマークとは何かというと、家庭、企業、財団の3者が協力し合って成り立つ仕組みです。

  • 家庭はベルマーク協賛企業から商品を買います。
  • 家庭でベルマークを集めて財団に送ると1点が1円分としてカウントされます。
  • そのポイントで自分の子が通う学校にブランコや教材を贈ることができます。
  • このときに同時に贈られた物品の1割に相当する額が財団側に寄付金としてプールされます。
  • この寄付金は企業から拠出されます。
  • この寄付金は必要とする方々に配布されます。
  1. 家庭はベルマーク協賛企業を少しだけ優遇して購買を行い、
  2. 企業はベルマークつき商品を購入してもらった恩を財団に返し、
  3. 財団はそれを分配するという関係にあります。

ちょっと恐ろしいのが集め方です。切って箱に入れて送れば終わり、そんな風に考えていた時期が自分にもありました。

集めた後がベルマーク担当者の作業の始まりです。すべてのベルマークを「企業ごと」に分類します。そして集計用紙を見た感じで「1点×   枚」「3点×   枚」と書いてあったのでおそらく点数の種別ごとに枚数を記入する必要があります。企業数は59社、点数の種別がそれぞれにあるので……。ちなみにベルマークへの参加を申請すると59枚の袋が送られてきます。その袋に間違わずにベルマークを入れなくてはなりません。下手すると保育園単位で数万枚のベルマークを200通りとか500通りというルールで分類するという恐ろしい作業が発生します。

各家庭ではばらばらのベルマークが出てくるため、企業ごとに合算するような情報量にはなりません。また全員分が集まるととんでもない量になるために集計に要するエネルギーがすさまじくなります。こんなところでロングテール。まさしく情報システムの出番であるわけなのですが、これまでベルマークは家庭の主婦の潤沢な労働力に支えられてきたためか、ベルマーク財団側での労力を最低限にし、家庭側に集計の労力を期待するような設計になっているようです。

これを改めて情報システムの力を借りて制度を作り直すというとただでさえ不況で減少傾向にある協賛企業が一層減りかねません。また難しくなってしまってはお年寄りや年季の入ったベルマークハンターの方々を混乱させてしまうでしょう。更に言えばシステム化によりQRコードなどに置き換えた場合は複製による違法請求を避けるためにランダム生成などが不可欠になるでしょうから、印刷方法を全般的に見直さなくてはなりません。(というか今のベルマークは紙質と印刷の質だけで偽造を防いできたのか……。誰もやろうとしなかった日本に生まれて幸せと考えるべきか……。)

OCRなどによりベルマーク自動分類システムなどを作れないか、とも思いましたが最終的には切り取られたベルマークの紙片が集計される世界です。スキャナの上にベルマークを並べてそれを集めることなど考えると中途半端なシステム化で太刀打ちできるとは思えません。ハード的な助けを借りなければ数万枚に及ぶと思われる「学校、幼稚園、保育園単位」でのベルマーク集計を自動化できないでしょう。

ベルマーク財団側での集計だけを機械化し、学校側での集計をなくすというのは一案と思います。両面スキャナで一括読み込みし、誤判定や真っ二つに折れて読めなかった分が通常どれくらい発生するかを一律で数値化して(例えばプラス3%補正など)くれたらどんなにいいことでしょう。しかしながら口で言うと簡単そうに見えてもベルマークがセロテープでまとめられたり、ホチキスで束ねたりと様々な送られ方をしてくるでしょうし、誰がパンパンになったA4封筒数袋に及ぶベルマークをスキャナの上にならべるか、という点を考えると現実的でないことを実感します。

保育園は両親とも忙しく働いている人が多くて、役員を決めるのにも大変なところがあります。そんな中で子供たちに遊具を新調してあげたい、何か良いものをプレゼントしてあげたい、という思いからベルマーク活動をしている保育園も多いわけですが、「ベルマークを集計する負担が重い」という状況があります。考え方を変えてみればこれまでベルマークを集計していたお母様方の労働力が、システム開発に、金融に、商品開発に、様々な分野で解き放たれ始めているわけで、男女共同参画がうまくいっている証拠なのかもしれません。ベルマークが生まれた時代は遠くに去りにけり、と思った「ベルマークがかり」選出でした。マージソート並に画期的なベルマーク集計方法をご存知の方がおられましたらこのエントリにコメントいただけると幸いです。

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