営業マンの朝青龍タイプと白鵬タイプ
営業マンには朝青龍のようなタイプの人と白鵬のようなタイプの人がいるように思います。
相撲には色々とおもしろいところがあります。横綱の土俵入りの際は拍手を打ちますがそれは手の中に武器のないことを示していると言います。また、廻しをつけるのは同じく武器を隠し持つ場所がないことを示しているそうです。そして四股は土中から邪気を払う儀式めいたものであり、土俵は神聖なところとされ塩で清めます。血を嫌うために女性は土俵に上がれないばかりか、力士の流血が激しい場合は土俵の穢れを防ぐため、勝負がついていなくても痛み分けとなることがあるようです。戦いもあり神事でもある相撲は非常に日本的なものと言えます。
さてそんな相撲に日本人横綱がいない期間が長く続いていますが、その間の相撲人気を牽引するのがモンゴル出身の朝青龍と白鵬です。実際の性格はわかりませんが、メディアから伝え聞くところによれば朝青龍は闘争心が激しく、白鵬は落ち着いた性格であるように感じます。営業マンにもこういった2つのタイプの人がいます。
朝青龍タイプ
朝青龍タイプの営業マンは全身に商品を売る気が充満しており、それを隠さないことを良しとします。売る気満々ですけど何が悪いんですか?という感じです。自分の商品に絶対の自信があり、その商品を買うことでお客様は幸せになるんだという強い意志を持って商談をまとめるタイプです。
白鵬タイプ
白鵬タイプの営業マンは商品を売る気は外に見せず、自分にできることは何かありますか?というような姿勢でお客様の意見に耳を傾けます。時には他社の商品情報も集めてお客様の相談に乗ってあげるようなこともあります。商談の大小に関係なく足繁く通い、信頼関係を築く事に力を注ぎます。
おおよそ朝青龍タイプは情報システムや工作機械などの大型の案件をまとめるのに向いていそうです。白鵬タイプは自動車や家、生命保険などに向いているでしょう。情報システムのように多額の投資を必要とする商談では「こいつに任せればうまくやってくれそうだ」と感じさせるエネルギッシュな姿勢がプラスに働きますし、個人の生命保険や家のような買い物ではエネルギッシュすぎると高いものを売りつけられそうで敬遠されてしまう可能性があります。人柄に誠実さを感じさせて信用で売るような方法が好まれるでしょう。
朝青龍の相撲を見ていると相撲の格闘技的な側面をよく感じますし、白鵬の相撲を見ていると相撲の神事的な側面、また奥ゆかしさを良しとする日本的な文化の存在を感じます。しかしどちらにせよ150キロの体をぶつけ合い相手を倒す激しいスポーツであることに違いはありません。
この2人がそれぞれに多くのファンを獲得しているところを見ると、相手を倒すという戦闘的な気持ちを隠さないことが好まれるか、隠すことが好まれるかは場面によって大きく異なるということを実感します。
今、完全復活を思わせるような朝青龍の連勝に好意的な意見が多いのは、この不況で重苦しくなりがちな雰囲気を吹き飛ばして欲しいという人々の思いがあるのかもしれません。初日の白星の際のダメ押しは、なんでもない時代であればもっと批判されていたのではないでしょうか。
私は朝青龍も白鵬も好きです。朝青龍は何度批判されてもカメラに媚びるようなところがありません。その正直さが好きです。白鵬は過去に朝青龍と一触即発のにらみ合いになったことがあります。確かに朝青龍が悪かったように思いますが、白鵬だって腹の底ではメラメラと闘争心を燃やしてるのか、と思うと普段は抑制を利かせた立派な横綱なんだと思い、それ以来好きになりました。
何を隠して何をアピールするか、営業マンが横綱に学ぶところは多そうです。