外国為替市場にインサイダー取引はあるのだろうか
ここのところ多くの人が景気のニュースを気にしています。
株式市場ではある特定の企業の悪い噂や良い噂を流して株価を操作したり、ある特定の企業の重要な秘密を知った上で公表前に株を売買することはインサイダー取引として禁止されています。
最近ではApple社のCEOであるスティーブジョブス氏死亡の誤報が流れるという事件がありました。
AppleのジョブズCEOが心臓発作で倒れたという偽ニュースに対し、米証券取引委員会(SEC)が調査に乗り出したとNew York Timesが伝えています。
海外速報部ログ > 「ジョブズ氏心臓発作」ニュースをSECが調査 : ITmedia オルタナティブ・ブログ
<http://blogs.itmedia.co.jp/burstlog/2008/10/sec-37f7.html>
もし誰かが利益を得る目的で意図的に誤報を流すとしたら
(1)Apple社の株を売る約束を取り付ける(このときはいつもの値段)
(2)誤報を流す(株が下がる)
(3)市場で株を買い付ける(いつもより安く買える)
(4)上の(1)で約束した人に株を渡す(3)と(1)の差額で(゚Д゚)ウマー
というようなパターンが考えられます。もちろん発覚したらお縄です。
さて株式市場とは比較にならないほどの多くのお金が扱われる外国為替市場、それも大量に流通している円やドルでは個人や企業レベルでの売買が大きな影響を持ちません。ですのでいわゆる「価格操作」ということは政府機関のような大きな力があれば可能かもしれませんが、あまり考慮されていないようです。
そういうわけか、これまで円やドルでのインサイダー取引で捕まったという話を聞いたことがありません。法律や金融の専門家ではないので確かな事は言えませんが、関係しそうな法律はすべて株式についての取り締まりであり、外国為替取引で云々というものを見つけられませんでした。
もちろん日銀や政府関係者であれば相場が反応する前に行動できるでしょうから、そんなズルいことしたらダメということになるでしょう。そこで日銀のサイトに何かルールが載っていないかと検索してみると
職員の金融取引等に関する特則 <http://www.boj.or.jp/type/law/fukumu/fukumu06.htm>
というのがありました。例えば(3)外国為替平衡操作またはこれを補助する事務に携わる職員というところを見てみると
(イ) 外貨預金の預入れまたは引出し
(ロ) 外国通貨で表示される有価証券等の取得または処分
(ハ) 通貨にかかる先物取引、オプション取引その他のデリバティブ取引またはこれに類似する取引
など色々な行為が禁止されているようです。そういった厳しいルールのもと、経済の混乱を立て直そうとしてくれている方々には頭が下がります。早くこの危機を乗り切れますように。