上手に失敗してみせる
上手に失敗をしてみせることで、相手に誤りを自覚させることができます。
今日、電車に乗っていると隣の席に座った男性の携帯電話から着信音がしていました。声をかけようかと思ったのですが、その前に自分の携帯電話を取り出して(少し大げさに)バチンと閉じると気付いてもらう事ができました。
ズボンのチャックが開いている人を見かけた場合や鼻毛が出ている場合など「さりげなく」知らせるには自分がその素振りをしてあげるのが良いと言われます。確かに、面と向かって注意されるよりは自分で気付けたほうが救いがあるように思います。
多胡輝さんの「頭の体操」という本の中にこんな問題がありました。
「婦人が2人向かい合った席に座って蒸気機関車に乗っている。窓が開いたままトンネルの中に入った。一人の夫人の顔は煙で汚れており、もう1人の婦人の顔はきれいなままである。ここで顔が汚れている婦人は席に座ったままであり、顔がきれいな婦人は席を立って化粧室に行った。どういうことだろうか?」
答は、顔がきれいな婦人は正面に座った婦人の顔が汚れたのを見て「自分も煙を浴びたかな」と思い化粧室に行き、反対に顔が汚れた婦人は正面に座った夫人の顔が汚れていないのを見て「自分も大丈夫だ」と思った、でした。
頭の体操 - Wikipediahttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A0%AD%E3%81%AE%E4%BD%93%E6%93%8D
他人の失敗を見ることで自分の失敗を見つけやすくなるということは、他人が失敗していないと自分の失敗に気付けないということでもあります。そうすると普段から他人の行動に注意を払わずに、ヘッドフォンをつけて本を読んでばかりいると自分のマナーが悪くなっている、ということもあるかもしれません。我が身を振り返ってみると、妻が里帰り出産中に自分ひとりで夕食を取っていた時は食事マナーが悪かったような気がします。
職場ではこれから新入社員を迎えるというところが多いと思います。失敗を活用して教育する事を考えてみると、新入社員の前で「よくある間違い」を敢えて犯して見せることでわかりやすく学習してもらう事ができると思います。また、新入社員自身に深い傷を残さない程度に「上手に失敗」をしてもらうことで大切な事を伝える事ができそうです。
最近の新入社員の方は優秀な方が多いので「こうしなさい」とか「こうしてはだめだ」ということをきっちりメモをとって完璧にこなすことができる人が多いみたいです。それでも「なぜそうしなくてはならないか」や「こうするとだめな理由」という部分を自分の頭で論理的に考えるためには自分で失敗して、自分で原因を考えて、自分で対策を考えてもらいたいと思います。
あ、私の『先輩としての経験が浅いためについつい口を出してしまう』というのもひとつの失敗ですね。うーむ。上司の誰かが敢えて野放しにして私にそう自覚させてくれたのでしょうか。