プロジェクトのメンバーが病気をしたら
プロジェクトマネージャ試験で、プロジェクトのメンバーに病気で欠員が出たような場合にはどうしましょうか?というような問題が出たことがあります。
平成17年(2005年)の秋のプロジェクトマネージャ試験の午後2の論文問題の問3です。情報処理推進機構のサイトから過去問題がダウンロード可能になっておりますので、詳しい問題文はそちらでご覧いただけます。
問題としては
- どのようにメンバーに起因する問題が起き
- どのようにそれを特定して
- どのように交代メンバーの選定を行い
- どのように交代が発生する事を周知した上で
- どのように立て直しを行いましたか?
というような事が聞かれています。自身の知識・経験を動員してこの回答を書き、合格水準に達していればプロジェクトマネージャ試験合格です。ちなみに私はこの年にこの問題を選択して合格させていただきました。その時の回答は
- 設計書作成で遅れが発生した
- Aさんが担当している部分だけが遅れていた
- 類似プロジェクトや過去に同じお客様と仕事の経験があるメンバーを探し、Aさんには見習いになってもらった
- Aさんは設計より開発に向いてるよとフォローした
- 最終的にはちょっと押しになったところが出たので、年度末に実行するバッチプログラムなど一部を先送りにし、2回に分割してリリースした
こうして書くと単純です。2時間でそんなにひねりのある論文は書けませんので、こんな単純な内容でも合格点はもらえのでしょう。
さて、冬と言えばインフルエンザにノロウイルスなど怖い病気がたくさん流行ります。路面凍結による事故や日照不足により気分が落ち込む病気になりやすくなるなど開発プロジェクトにとって優しくない要因がたくさんあります。それではメンバーが病気になったら、という観点でこの問題を解くとしたらどうなるでしょうか。
- プログラム工程で遅れが発生した
- プログラム担当者がスキーで骨折して数ヶ月は帰ってこないことになった
- 代わりの人を探したが、参加が1か月後となった。全体として1人月分のロスが不可避となった
- プロジェクトが終わるまではスキーを我慢してくれるとありがたいとお願いしてみた
- 別プロジェクトのプロジェクトマネージャと相談して、当プロジェクトを途中で抜けて別プロジェクトに行く予定だったSE某さん(骨折した人と別人)を1か月延長して確保できることになった。遅れはそこで解消された
というような形が思い浮かびました。これで合格するかどうかはわかりませんが、論文試験はこのような論文の骨子となるようなものを早く正確に作ることが重要になります。特に「正確に」というところは重要です。論文試験での手戻りは相当なマイナスになります。消しゴムを使用した痕もあまりきれいと言えません。書いている途中で「ここおかしいな」という感じにならぬようにこうした事例を頭の中で考えるトレーニングをしていると良いと思います。
なお、プロジェクトマネージャの論文で問題への対応について問われる場合としては
- 不慮の事故に対するリカバリー
- 原因不明の問題に対するリカバリー
の2点が考えられれば安心できると思います。不慮の事故に対するリカバリーとしては、影響を把握して対策を考えて実行することになります。原因不明の問題に対するリカバリーとしては、原因を分析して対策を考えて実行することになります。
他にも、コミュニケーション、スケジュール、ネゴシエーションなどプロジェクト管理上の基本的なスキルについて工夫したことを問われる問題があるようです。知識は十分だけど経験が少ない、という人にとってはそうした問題のほうが取り組みやすいことでしょう。
リカバリーについて論文を書くと、どうしても自分が英雄になったように壮大な物語になってしまうという人がいるそうです。それはそれでおもしろいのですが、この試験はどうやらくぐった修羅場の数を自慢する論文ではないようですので注意が必要です。ちょっとしたトラブルだったけれども、それは自分が早期に対処したので結果としてそうなったんですよ、早期に対処できたのは普段からこういった点について目を配っていたからなんですよ、というような感じになると良いと思います。
以上、プロジェクトマネージャの論文試験についてでした。