「得手に帆あげて」生きていきたい
辻さんのブログで自分のために働け!というキーワードが紹介されていました。著者の高橋裕二さんは本田技研工業で人事関連のお仕事をされていたとのことで、ちょっと読んでみたくなりました。
というのも、自分も最近になって本田宗一郎さんの書いた「得手に帆あげて」という本を読み始めたからです。私が古本で入手した文庫本は1992年の第12刷です。単行本の「得手に帆あげて」が最初に出たのが1977年6月とのことですので、私が生まれる前の話になります。
私が汗まみれになって働いていたから、本田技研は成功したというのは、私にだけ通用する事であって、ほかの人には通用しない。
その人,その人によって、社長のやり方が違うのは当然である。 私は金をいじるのは不得手だから、人にやってもらう。
私は不得手なことはやらず、得手のことしかやらないことにしている。
人生は「得手に帆あげて」生きるのが最上だと信じているからである。
という部分がとても心に残りました。”得手”な仕事に生きる人は、下のような場面で力を発揮できる事でしょう。
発展のテンポは、絶えず急速の度を加えている時代である。寸刻も油断の入るスキマもなく、前進のための相違工夫と、同時にその失敗とその原因の究明にも、エネルギーを傾注しなければ、とてもついてゆけないと思う。創意、試み、反省がシャープに、急速に、連続しなければ他に一歩先んずることは、絶対不可能だ。言葉にすればこれまでのことだが、実際となるとこれは生やさしい作業ではない。能力を限界の線で、酷使することである。それも短時間の勝負ではすまないのだ。身も心も音を立てて消耗するような、労働なのである。これに耐え得るものは、強烈な若いエネルギーの他に、一体何があるだろうか。私は知らない。
私もかれこれ5年目の社員ですが、大変だった経験はいくつかあります。しかしながらここで言われているような「能力を限界の線で酷使する、身も心も音を立てて消耗するような労働」とまで表現されるような経験はありません。もしやったとすれば、それを乗り越えた場合にきっと大きく成長することができるでしょう。そのような厳しい場面は、上で引用したような「得手に帆あげて」働いているような人でなくては辛くて乗り切ることができないかもしれません。また、「若いエネルギー」というのも大切な条件と言えそうです。
こういう時代なのである。失敗したからといって、くよくよしている暇はない。間髪を入れず、その原因究明の反省をして、次の瞬間にはもう一歩踏み出さなければならないのである。(中略)木から落ちたサルは誤る言葉を探していたり、そこで消沈していたのでは許してもらえない。落ちたら、その原因を追究して、そこから新しい工夫のヒントを探し、次の試みに燃やせばいいのである。
失敗してはいけない、ということではなく、失敗したらすぐに立ち直りなさい、ということが書かれています。こちらも「得手」と関連づけて考えると、好きな仕事でなければ大失敗をした時に嫌気が差してしまったり、自暴自棄になってしまうことがあるかもしれません。好きな事での失敗は、その悔しさをバネにして成長するきっかけとできるのではないでしょうか。
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若いうちに
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得意な(好きな)事をして
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大きな苦労をし、
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失敗してしまっても
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それを乗り越える
それでこそ成長があるんだ、そのように言われたように感じました。こちらの本には若い社会人向けの薫陶だけでなく、教育論なども書かれていて子育ての参考にもなります。大切に持っておきたいです。