オペ力(おぺりょく)を磨く
会社帰りにJRのみどりの窓口に行きました。息子のベビーカーを置きやすいように車両の端の席を探してもらうためです。東海道新幹線の座席は指定席券売機で細かい指定ができないそうです。その窓口に端末操作がすごく早い職員さんがいました。
普段からJRの人は総じて『早い』という印象がありました。しかしその人の操作はこれまで私が見た中でも比較対象がないくらい早かったです。JR端末のレスポンスがどの程度なのか知らないですが、telnetやwindowsのエクスプローラやExcelなどでは到達できないようなスピードでした。JRの端末はタッチパネルといくつかのファンクションキーで操作するようです。通常のウィンドウズ端末のようにマウスとキーボードという入力デバイスとは違い、両手で操作するUIになっていないようです。画面の切り替わり待ちの間に先読みして指を移動させておき、表示がリフレッシュされた瞬間にはもう画面またはキーが叩かれているような状態でした。おかげさまで良い切符が取れました。この場を借りてお礼申し上げます。
この職員さんは私の対応の前にお年寄りの方の対応をしていらっしゃいました。そのお年寄りの方はSUICAのチャージ方法がわからないらしく、窓口に相談に来たようです。職員さんは笑顔でカウンターから出てきてお年寄りの方と一緒にチャージ機まで行き、チャージ方法を解説していました。とてもまじめで優しい職員さんのようです。お客様に気持ちよく利用して欲しい、という気持ちが強い方なのではないでしょうか。だからこそ「窓口でお待たせしないようにしよう」という気持ちから端末の操作が高速化していったんだろうと思います。
端末操作が早くて正確な人をオペ力(おぺりょく)があるとか高いとか言うそうです。今日のJR職員さんはとてもオペ力が高かったです。SEの日常には色々なオペレーションがあります。中には間違えると大変なことになるものもありますので、早さよりも正確さが重要です。また、同じコマンドを毎日のように叩くのであればバッチやシェルにまとめてしまうという地道な努力が大切です。それはそれとして、間違っても構わないようなオペレーションを何度も何度も実行しなくてはならないような場合、JR職員さん並の高速オペレーションを見ることがあります。例えばOracleやIBM等が主催する技術的な研修に行くと講師がとんでもないスピードでコマンドを叩いたりします。あれはかなりオペ力が高いと言えます。また、開発環境でテストを行いながら再起動したりジョブを流したりする繰り返し系のオペレーションも高速化しやすいです。また、本当なら流して無くてはいけない本番ジョブを流すのを忘れていた事に気付いた場合は瞬間的にJR職員さんを超えるようなスピードでオペレーションが行われることがあるかもしれません。幸運なことに自分はまだ経験していません。
これらの「早くしよう」と思うモチベーションはどこから来るのでしょうか。JR職員さんは「待たせたくない」という思いであるように感じました。研修の先生は生徒の時間をつぶさないように配慮してくれていそうです。テストをこなす際の高速化は、早く終わらせたい、早く家に帰りたいという一心からの高速化でしょう。本番ジョブを忘れてしまったというのは言わずもがなであると思います。
考えてみれば日常のPC操作でも、ショートカットをよく知っている人は操作が早いです。しかしショートカット集のような本やサイトを見て覚えても、なかなか身に着けるまでが難しいように思います。自分にそういった経験があるため、今私と一緒に仕事をしている新入社員の方には頭ごなしに「このショートカットは必ず覚えろ」という押し付けをしていません。その代わり、一緒に作業するときに「これはこうするとこんなに早いよ」ということをやって見せています。そこで「あ、早い」という小さな喜びを感じる事で、そのショートカットを覚えられるかどうかが変わる気がします。
オペレーションを早くこなすことで、自分が嬉しかったり、他人が嬉しかったりします。今日のJR職員さんの姿を見て、その嬉しさがより一層のオペ力向上につながっているように思いました。
なお、JR職員さんの端末操作はザ・デイ・オブ・サジタリウス3をゲーム中にクラックして書き換えるのと同じくらい早かったです。