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南北首脳会談とTCP/IP

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南北首脳会談のため、盧武鉉大統領が北朝鮮入りしています。ニュースで盧武鉉大統領が金正日総書記と並んで北朝鮮の多くの兵隊の前を歩くところを見ました。その横にサーベルを抜いた兵士が歩いていました。この人は抜き身の刀を手に持っていて良いのでしょうか?

このように国家元首級の人同士が会談を行う際には、いくつもの儀礼的な行事が行われます。このことをprotocol(プロトコール=国際儀礼)と言うそうです。TCP/IPやHTTPなどはそれぞれTransmission Control Protocol / Internet ProtocolとHypertext Transfer Protocolの略称です。確かにお互いに取り決めたルールに従って何かをするという点では一緒です。なお、国際儀礼・外交儀礼の場合はプロトコールと言われる事が多いみたいです。南北首脳会談の光景は、ホスト側がゲストを先導して歩き、軍人(偉い人)がサーベルを持って護衛するというスタイルの儀礼だそうです。

他に儀礼っぽいものと言えば礼砲があります。偉い人を乗せた外国の船が日本の港に入港するときに、船から先に何発かの空砲を撃ちます。そうすると、港から返事に空砲が撃たれます。そういった”お約束”をこなした後で港に入るという慣わしがあります。今となっては意味がないのですが、昔は一発大砲を撃つと次の弾を準備するのに時間がかかりました。それで空砲を撃って「私は今大砲を空っぽにしましたよー。だから攻撃する意思はありませんから入港させてください」という意味があるそうです。相撲で四股を踏むときに両手を合わせて水平に広げるのは「手に武器を隠していません」という意味だと言いますので、それと似ています。これは現役で行われる儀礼なのですが、昔と違って今の軍艦にはそう都合の良い大砲が積んでありませんので、わざわざ儀礼用の大砲を備えているそうです。軍隊というと質実剛健なイメージがありますが、正装とか楽団とか、こういう部分にはこだわるんですね。

他にもたくさんの儀礼があるようです。やって来る人の偉さに応じて出迎え役のグレードが王族・貴族⇒元首⇒政治家⇒官僚と変わったり、その時の服装のフォーマルさも変わったりします。今回の南北首脳会談のように兵隊を並べてその前を通るということもあれば、スタジアムに入って兵隊のパレードを見たりするということもあります。wikipediaには栄誉礼として紹介されていました。私が招かれる側だったらよっぽど仲の良い国の兵隊でなければ近くに寄りたくないものですが、これにはどういった意味があるんでしょうか。

他にも海上自衛隊の礼式という項目がありました。声が届かないほど遠い位置から行うコミュニケーションだけあって複雑です。今では無線などでコミュニケーションを取る事ができますから、間違ったシグナルを送ったからといっていきなり撃沈されるということはないでしょう。しかし昔だったらそれもあり得たはずですから、これらはかなり重要なことであったことでしょう。

HTTPなどコンピュータに関するプロトコルでも守らないと問題が起きます。例えばNot Foundを表すページが表示されているのにステータスコードが404じゃなくて200になっていることがあります。相手が人間ならばそれで良いですが、googleのクローラーなどは200を返されるとそれが正しいページだと認識してしまいます。そのため、googleでそのサイトを検索すると「Not Found」という要約が表示されてしまうかもしれません。

プロトコールのおかげで国と国との交流が円滑に行われますし、プロトコルのおかげでPCとPCの通信が正しく行われます。船同士の礼砲の決まりができたのは大砲をドンドコ打ち合っていたような昔のことですが、TCP/IPが完成したのもおよそ30年も前の話です。ITの世界で30年前というとかなり古いことのように感じますので、今もなお現役で使い続けられているということに驚きです。どちらも重要なものだからこそ簡単には変えられないということでしょうか。

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