人を呪わば読書感想文:ONE OUTS(野球漫画)で叫ぶ「リーダーシップ論なんてク◯だ」
もう最高です、ほんと。
タイトルの一文は、某大学生が「ONE NOUTS」というマンガを「オススメの1冊」としてプレゼンしてくれたときの言葉。
あ、正確には「リーダーシップ論が大切、そういう本を読め、という風に押し付けてくるのは、本当にクソなことなんだと、この本を読んで感じました」という言葉ですね(※この漫画の中では、様々な役割の人が活躍し、リーダー一辺倒でないことが描かれている、という流れの中での話です)。
マネジメントを専門にコンサルティングに携わっていた自分からすると、もう本当に痛快。言い得て妙だなと。実際、リーダーシップにばかり拘って、いわゆる「旗振り役」みたいなことを押し付ける頭の悪い場面を沢山みてきた身からすると、「よくぞ言った!」という快感でした。もう、自分の中で、共感しすぎて拍手喝采。最高に、興奮。
この言葉、8月28日に渋谷ヒカリエにて開催した「ビブリオ・アリーナ100」という、学生と社会人が、オススメ本の紹介というテーマで、1VS1で対決をし、約100名弱の観客が、どっちの本が読みたくなったかを、その場で投票して即決で勝敗を決めるという勝負での発表の1つです。
オススメ本を紹介っていうと、みなさん、あの恐ろしく退屈で苦痛な、小学校時代の「読書感想文」っていうのを思い出しませんか?400字詰めの原稿用紙2枚というノルマを課され、来週の国語の授業で発表するので、そこまでに書いて提出してくださいという、あの呪わしき読書感想文。
この「読書感想文」と、今回の「大人の読書感想文=プレゼンバトルでの発表」という2つのGAPが、今回の記事のテーマです。
今回の要旨です:
・読み書きの学習効率を高めるための仕組み「読書感想文」
・この仕組は「読書」と「自己表現」を遠ざける
・書籍そのものより、自己表現の方が遥かにセクシー
・「読書感想文」の呪縛から解放してくれるのが「プレゼン対決」というゲーム
・ゲームで開ける新たな可能性
■読み書きの学習効率を高めるための仕組み「読書感想文」
まず前提ですが、読書感想文って、小学校での学習効果という観点では、大変優れた仕組みです。このノルマを課すことで、
・自分が読みたい本は何かを探す
・論理だてて文章を読む
・本の中身を自分で再解釈・再編集する
・論理的に説明文章を書く
・多くの字を実際に自分の手で清書する
などなど、実に多くのことを学ぶことができます。そして、強制的に活字を読まされることをきっかけにして、それまで読書という習慣を持っていなかった子供のうち何割かは、読書をするようになるわけです。
■この仕組は「読書」と「自己表現」を遠ざける
ですが一方で、小学校時代に感想文を書くと、それによって大きな代償を支払うこととなります。それは「人の読書感想は退屈」「読書感想は、強制されるもの」という、暗黙裡の意識です。
まず、人の感想文が退屈なのは、小学校時代には、自分の人生よりも、その本に描かれている情報量や経験、世界観の方が圧倒的に大きく(小学生のみなさん、ゴメン)、感想文の内容のほとんどが、その本のちょっとしたサマリーになってしまう点です。
そうすると、「中途半端に本を紹介された」みたいな感じになって、読書感想を聞かされる立場からすると、なんともアクビの出る時間となってしまいます。
次に、読書感想文は強制的に書かされるため、自分がその時点で読みたいと本当に思ったものや、本当に伝えたいと思ったことと、タイミングが合わない場合がほとんどです。
言い換えると、自己主張なんて別にしたくないときに、「主張しろ」と言われるわけで、これでは、気持ちの乗った自分の主張などは、中々引き出されません。
■書籍そのものよりも自己表現の方が遥かにセクシー
さて、ここで冒頭の発表の感想なんですが、大学生ともなると、様々なことを考え、思春期から悩んできた葛藤、自分の経験、人生への捉え方など、その人独自のユニークで、かつ、ツッコミどころ満載な内容が、ある本を読んだアウトプットとして、泉のように沸き上がってきます。
これは、本当に本当にセクシー、面白くて、興奮させられます。さらに、その内容の多くは感情的で、いい意味でツッコミどころ満載、言い換えるとこちらが何かを質問したり、意見を表明したり、議論したりすることで、その考えがまた変化するかもしれないし、そこに関わったことで、自分も変化するかもしれない。
そういう、圧倒的にアクティブで一時的で、介在が可能で、自分が揺さぶられるものへと、「読書感想」が大きく変化していきます。
今回のイベントでも、以下のような自己主張が続出しました
・「キノコのおしえ」を読んで→社会で陽の目をいつも浴びるのが好きなわけではない人が、影でどれだけ世の中凄い貢献してるんだ!ということが、キノコが果たす役割と重なって、確信できた。
・「量子論」を読んで→人生、いろんなことが予測不可能なのが理論的にも実証されているわけで、だからこそ、むやみに結果を考えず、とりあえずどんどんやってみるのが大切だと思う。
・「山の音(川端康成)」を読んで→世代の違う人が、むっつりすけべ根性丸出しで、いろんな物事を捉えていることに、世代を超えた繋がりを感じる。
こんな話を聞いちゃったら、初対面でもその人が好きになってなって仕方ない。その発表者に語りかけ、色々と議論したり、仕事したり、飲み交わしたりしたくなる。そんな、人の個性や考えを、「書籍」というものがきっかけとなり引き出してくれる。これはもう、「読書感想」が持つパワーの凄さを感じずにいられないわけです。
小学生の頃に経験した「読書感想文」の無味乾燥感とは、まさに雲泥の差。それは、そこからの人生の積み重ねの多さ、とも言えるかもしれません。
■「読書感想文」の呪縛から解放してくれるのが「プレゼン対決」というゲーム
でも、突然会社や仲間内で「読書感想文を発表しあおうよ」となったら、普通ドン引きしますよね。あるいは、どれだけ暇なの?という風に。
そこで、こうしたことを幅広く、しかもクールに、みんなが集まって熱狂できるのが、「ゲーム」という仕組みです。人が何かにフォーカスし、集中するためにはゲーミフィケーションの理論より、
・ダイレクトなフィードバック(その場で反響が分かる)
・難易度コントロール(簡単じゃないけど、不可能じゃない)
・競争(誰かと勝ち負けを競う)
といった構造をもってくると、とても効果的。
※下図は、以前ゲーミフィケーションの勉強会を開催した内容をベースにした、簡単なまとめです
今回のプレゼンバトルでは、
「自分のプレゼン能力を駆使して、その場で相手との勝ち負けを競い、その反響が目の前ですぐに分かる。100人の前のプレゼンということで、簡単じゃないけど不可能じゃないくらいのハードル」
という設計があったため、小学校時代の「読書感想文」のイメージから脱却し、自分の自己表現を気兼ねなくできたかと思います。
そして、その結果として、先ほどご紹介したような、キノコや量子論や川端康成をきっかけとして、その人そものの観点や個性がぐっと引き出されたわけです。
■ゲームで開ける新たな可能性
このように見ていくと、小学校時代〜の中で、僕らは多くのことについて、方法論を学ぶことと引換にして、自己表現やオリジナリティを発現することを、暗黙裡に避けていたり、忘れていたりするのかもしれません。
こうした状況を打破し、本当にお互いの個性や魅力を発見していくには、今回のビブリオアリーナ100のような仕掛けを含め、今までにトライしたことのない、様々な形態のゲーム、「場」といったものに、積極的にトライしていくのが効果的です。
さあ、あなたはどんな新たなゲームを創りますか?
それでは
▼上記でご紹介したイベントでの各発表は、下記のリンクからご覧いただけます
1.↓↓↓「きのこの教え」など(きのこと人生について)
http://www.ustream.tv/recorded/25015786
2.「量子論」など(やってみなきゃあわからない)
http://www.ustream.tv/recorded/25016312
3.「山の音」など(むっつりスケベについて)
http://www.ustream.tv/recorded/25016312
▼このイベントを主催しているBiblioArenaのフェイスブックページ
http://www.facebook.com/BibilioArena
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