あなたは使っていますか?事業開発の現場でミーティングを円滑に進められる3つのTips
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さて、私は現在の事業開発という仕事上、およびかつてコンサル時代での経験上、初対面の方とビジネスミーティングを行なう機会に数多く直面してきました。
今回は、こうした緊張感が高く、ともすれば進行するのが難しい「対外ビジネスミーティング」について、個人的な経験と、脳科学的な背景を踏まえて、いくつかのTipsをご紹介したいと思います。
※本文中の脳科学に関する内容など、より詳しくお知りになりたい方は、「
SOCIAL INTELLIGENCE-The New Science of Human Relationships-(邦題:SQ:生き方の知能指数)」などが参考になるかと思います。
まず、進行するのが難しいミーティングは、感覚的な言葉で表現すると
「ぎくしゃくする」
「話がかみ合わない」
といったものが多いのではないでしょうか。
こうした状況、脳科学的に言い換えれば、
「自分と相手が、右脳と右脳同士でコミュニケーションし、シンクロする」
ということができていないことになります。
このような状況、心理学の専門用語ではラポールなどと呼び、営業ノウハウ本などにもよく出てくる言葉かと思います。
これをもう少し深堀していくと、主に下記の3つの状況で、右脳の動作が阻害されていることが多いように感じられます。
1.緊張感が高すぎて、右脳が開放できない
2.コンテンツ提供にフォーカスしすぎて、左脳が右脳を制圧している
3.言語化されていない大きな心配があり、右脳がそちらに集中してしまう
これらについて、1つ1つ詳しくみていきながら、それぞれの状況に対処するTipsをご紹介していきます。
■状況1.緊張感が高すぎて、右脳が開放できない
これは、対外的ビジネスミーティングでは特に、下記のようなときに、よく発生します。
・「相手の要求に応えなければならない」というプレッシャーがかかっている
・「今日は何をする場なのか、よくわからない」という不安にかられている
こうした状況を防ぐために、私はこんなことをいつも注意するようにしています。
まず、初対面のときは、事前に内容やアジェンダを詰めすぎない。
若手コンサルだったときによく私がやったミスなのですが、最初にお会いする前に、メールなどで相手側にびっちりと
「当日は、○○と○○を検討しましょう。そのための事前資料は添付の4つのファイルです。もしも他にアジェンダなどありましたら・・」
とすると、相手は「気が抜けないな」「気を引き締めていかないといけないな
」となってしまいます。
ですので、初対面のときは特に、こうした精緻だったり、難しそうなことを事前に投げないようにしています。
一方で、必ず以下のことは、事前に自分の頭の中で整理をしておきます。
・今日の目的(今日終わった時点で、何ができていれば成功といえるか?)
・それぞれの役割(この場で、自分および相手がすべきことは、それぞれ何か?)
・アジェンダ(上記目的を達成するために、どのように進行するか?)
そして、これを口頭で1つ1つ簡単に述べ「大体こんな感じでいいですかね?」と、確認をとります。
こうすることで、「ああ、大体今日はこんなことをすればいいんだな」と、相手との間で「場違い感」が出てしまうのを防ぐことができ、緊張感を下げることができます。
■状況2.コンテンツ提供にフォーカスしすぎて、左脳が右脳を制圧している
この状況は、相手またはこちらが、特定の製品やソリューションの内容を提案するときなど、一方が説明しなければならない情報量が多いときに発生しがちです。
「どのような順番で説明しよう」「それそれのポイントは・・・」
といったことを考えるのは左脳の役割となりますが、こうしたことが気に掛かっているときは、左脳側が活性化し、その分、右脳の機能が低下してしまうわけです。
この回避のためにですが、実践で使いやすいのは、以下のようなテクニックかと思います。
まず、自分が提案を聞く側の場合ですが、提案された内容を、自分の状況に照らし合わせたときに、どんなことが起きそうか?といった観点で、いくつか質問をするのが効果的です。
こうすると、相手の方は「自分の説明している内容が伝わっている」「興味を持ってくれている」という風に感じることができ、左脳仕事からリラックスできます。さらに、相手とのやり取りを開始するため、右脳に着火するわけです。 次に効果的なのが、こちらから積極的に「感情」を表現する言葉を、会話の中に織り込むという方法です。
例えばですが、 「へ〜、この部分って面白いですね」 「ここのところは、僕たちも同じ課題に直面したら、正直困惑しちゃいますね 」 など。 こうすることで、会話の中に感情を織り込むことをこちら側が許容していること、そして、やりとり全体に感情が入り込んでくることを促進できます。 ちなみに、もしも自分が提案側だった場合ですが、これはとにかく練習に尽きるかと思います。
最終資料ができてから、3回ほどきっちりと最初から最後まで、誰もいない会議室や部屋などで通しのリハーサルをしておくと、内容の説明に関して心配が薄れます。
こうすることで、「左脳ががんばらなくちゃ!」というモードから抜け出せるわけです。 ■状況3.言語化されていない大きな心配があり、右脳がそちらに集中してしまう これは、相手が本当は気になって気になって仕方がないこと(主に心配事)があり、建前では平静な会話になっているものの、本音の部分では右脳がこの部分にフォーカスしてしまっており、会話そのものは上の空になる、という状況です。 こうした状況に対処する術ですが、まずはなにより、「相手にこうした心配があるか?」を見極めるところからスタートします。 具体的には、以下の2点に着目して、相手を観察します。 まず1つ目は、足の先の動き。人間は、よほどトレーニングされている場合を除き、足先には心配事などがあったり、集中できていないときに、必ずゆれたり、動かし続けたりするという習性があります。 ですので、こちらが会議室などを指定できる場合は、そもそもこの「足先」の動きが観察できる状況を作りだします。机は、お互いの足が見えるタイプのものにしておいたり、レイアウト的に足先が見える距離感をつくっておいたりするわけです。 次に2つ目は、微細な手癖です。私の経験では、 「ペンなどを揺らしたり、手で何か不必要なちょっとした動きをしている」 「髪をいじる」 などが、特によく見られる仕草です。 このようなサインが見えて「何かありそうだぞ?」と感じたら、いくつかの仕掛けをこちらから行ないます。 まず1つ目は、話題をさっさと変えてみる、という方法です。これは、特にこちら側が情報提供を行なう役割の場合に有効です。要は、 「ここは脈が無いな」 ということで、さっさと次のトピックに移るわけです。
これを、意図的にちょっと性急に行なうと、そのときの相手の表情や言動・しぐさの変化によって、「話題に関係ない心配事がある」のか「今までやっていたテーマが退屈だったり、的外れだったのか」といったところを見極められます。 特に、情報提供内容が、一般的なプレゼン内容だったり(これは、初回のミーティングでよくある状況かと思います)、分量の多いプレゼンだったりする場合、この方法を意図的に使うと、さっさと無駄なやりとりを抜け出すことが可能になります。 次に、2つ目の仕掛けとしては、以下のような質問を投げかけてみる方法が挙げられます。 「・・・と、ここで一般的な内容をお話してきましたが、何か気になることとかありますか?」 「これはさておき、まず考えておきたいことって、1つ2つ挙げるとすると、どんなのがあります?」 これらは、このセリフのままぜひとも直接試していただきたい表現です。
これまで幾度となく、この2つの投げかけによって、相手が文字通り「堰を切った」ように話始めるという場面に遭遇してきました。 以上、今回は特に「初回の対外的ビジネスミーティング」をスムーズに進めるためのTipsをご紹介しましたが、これらのTipsはすべて、相手とこちらが、よりよい関係を築き、積極的な検討を進められるためのものであることが大切かと思います。 ですので、個人的には「このTipsを相手にも伝えて、知っておいてもらったほうがいい」かどうかが、よいTipsかどうかの見極めポイントだと思っています。相手に教えられないTipsなのであれば、それは「出し抜いたり」「打ちのめしたり」する目的のものとなってしまい、よりよい関係を築く妨げになってしまう、というのが持論です。 それでは
こうすると、相手の方は「自分の説明している内容が伝わっている」「興味を持ってくれている」という風に感じることができ、左脳仕事からリラックスできます。さらに、相手とのやり取りを開始するため、右脳に着火するわけです。 次に効果的なのが、こちらから積極的に「感情」を表現する言葉を、会話の中に織り込むという方法です。
例えばですが、 「へ〜、この部分って面白いですね」 「ここのところは、僕たちも同じ課題に直面したら、正直困惑しちゃいますね 」 など。 こうすることで、会話の中に感情を織り込むことをこちら側が許容していること、そして、やりとり全体に感情が入り込んでくることを促進できます。 ちなみに、もしも自分が提案側だった場合ですが、これはとにかく練習に尽きるかと思います。
最終資料ができてから、3回ほどきっちりと最初から最後まで、誰もいない会議室や部屋などで通しのリハーサルをしておくと、内容の説明に関して心配が薄れます。
こうすることで、「左脳ががんばらなくちゃ!」というモードから抜け出せるわけです。 ■状況3.言語化されていない大きな心配があり、右脳がそちらに集中してしまう これは、相手が本当は気になって気になって仕方がないこと(主に心配事)があり、建前では平静な会話になっているものの、本音の部分では右脳がこの部分にフォーカスしてしまっており、会話そのものは上の空になる、という状況です。 こうした状況に対処する術ですが、まずはなにより、「相手にこうした心配があるか?」を見極めるところからスタートします。 具体的には、以下の2点に着目して、相手を観察します。 まず1つ目は、足の先の動き。人間は、よほどトレーニングされている場合を除き、足先には心配事などがあったり、集中できていないときに、必ずゆれたり、動かし続けたりするという習性があります。 ですので、こちらが会議室などを指定できる場合は、そもそもこの「足先」の動きが観察できる状況を作りだします。机は、お互いの足が見えるタイプのものにしておいたり、レイアウト的に足先が見える距離感をつくっておいたりするわけです。 次に2つ目は、微細な手癖です。私の経験では、 「ペンなどを揺らしたり、手で何か不必要なちょっとした動きをしている」 「髪をいじる」 などが、特によく見られる仕草です。 このようなサインが見えて「何かありそうだぞ?」と感じたら、いくつかの仕掛けをこちらから行ないます。 まず1つ目は、話題をさっさと変えてみる、という方法です。これは、特にこちら側が情報提供を行なう役割の場合に有効です。要は、 「ここは脈が無いな」 ということで、さっさと次のトピックに移るわけです。
これを、意図的にちょっと性急に行なうと、そのときの相手の表情や言動・しぐさの変化によって、「話題に関係ない心配事がある」のか「今までやっていたテーマが退屈だったり、的外れだったのか」といったところを見極められます。 特に、情報提供内容が、一般的なプレゼン内容だったり(これは、初回のミーティングでよくある状況かと思います)、分量の多いプレゼンだったりする場合、この方法を意図的に使うと、さっさと無駄なやりとりを抜け出すことが可能になります。 次に、2つ目の仕掛けとしては、以下のような質問を投げかけてみる方法が挙げられます。 「・・・と、ここで一般的な内容をお話してきましたが、何か気になることとかありますか?」 「これはさておき、まず考えておきたいことって、1つ2つ挙げるとすると、どんなのがあります?」 これらは、このセリフのままぜひとも直接試していただきたい表現です。
これまで幾度となく、この2つの投げかけによって、相手が文字通り「堰を切った」ように話始めるという場面に遭遇してきました。 以上、今回は特に「初回の対外的ビジネスミーティング」をスムーズに進めるためのTipsをご紹介しましたが、これらのTipsはすべて、相手とこちらが、よりよい関係を築き、積極的な検討を進められるためのものであることが大切かと思います。 ですので、個人的には「このTipsを相手にも伝えて、知っておいてもらったほうがいい」かどうかが、よいTipsかどうかの見極めポイントだと思っています。相手に教えられないTipsなのであれば、それは「出し抜いたり」「打ちのめしたり」する目的のものとなってしまい、よりよい関係を築く妨げになってしまう、というのが持論です。 それでは
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